暖かいですね。
ロベルトを、見つけた。
窓から声をかけて、彼が驚いた顔をしていたから、つい笑ってしまった。
そして、彼から紡がれた言葉は。
「今日の、君の夜を、貸してくれるだろうか。」
「え?」
思いもよらぬ言葉。
でも、嫌じゃなかった。
彼に、私の夜をあげるのは。
「今夜、舞踏会があるんだけれど、君と一緒に出れたらなって。」
舞踏会。
初めて聞く言葉。
初めて見る彼のはにかむ顔。
目の前がキラキラしている。
ああ、眩しい。
綺麗。
私の中に溢れたものはきっと止まらずこの胸を満たし続けるんだろう。
それも、彼の隣でできたらいいな。
「っええ!もちろん!私を舞踏会に連れて行って!」
明るい世界。
ロベルトが連れ出してくれた世界。
きっと、あなたが隣にいると、世界はなお綺麗に見えるのだろう。
***
「あ、美味しい。」
ティーカップに注がれた紅茶を飲んで、ロベルトと話をしていた。
私はソファに座っていて、ロベルトは執務机で公務をこなしている。
「よかった。それはね、南の国の茶葉なんだ。」
「へぇ…!それはどんな国?」
「そうだなぁ…
こうやって、知ることが増えていく。
それがとても嬉しい。
ロベルトの執務室にある本棚を見て回る。
それを適当に取って読んだり、ロベルトが読み終わった議案書などを覗き見する。
ロベルトの本棚には、経済の話とか、これまでの歴史、地形の地図とか、色々ある。
ロベルトに許可をもらって、それを読む。
窓から見える夕日。
静かな部屋に響くのは、ペンを走らせる音と、ページをめくる音。
この沈黙が、心地良い。
ーしばらくして、あっという間に日は暮れた。
「…失礼致します。ロベルト様。舞踏会の準備を。」
こん、と扉がノックされ、奥から男の人の声がする。
「…ああ。そうだね、もうそんな時間か。」
ロベルトは随分前に公務を終えていて、今は私の隣で本を読んでいた。
「…準備、いく?」
「うん。カナリアもおいで。メイドたちにやってもらおう。」
「わかった。」
席から立って、ロベルトが開けてくれたドアを潜る。
出た先にいたのは灰色の髪の男性。
「え。」
なんか、信じられないようなものを見る目で見られている。
「…え?」
すごく呆けた顔で私たち二人を見ている。
「ああ、ごめんね、レイ。言い忘れていたよ。ああ、それと僕、今日はカナリアと舞踏会行くから。」
どうやらこの人はレイというらしい。
「…もう一度言っていただけますか?」
微笑んでいるけど、目が笑っていない。相当お怒りなのでは…?
「カナリアと舞踏会に…」
「そうではありません!なぜ、そのようなことになったのか、説明を!お願いします!」
ロベルトに詰め寄って問いただすレオ様。面白い。
「う、う〜ん。長くなるなぁ…あとで、ね?」
「はぁ…わかりました。で、ロベルト様はカナリア様と共に舞踏会に行かれるとのこと。カナリア様にはドレスなどをご用意させていただきますので、少々お待ちを。カナリア様。こちらへどうぞ。」
「あ、ありがとうございます…」
促された方へ進む。後ろをチラリと見ると、ひらひらと手を振るロベルトが見えた。
慣れない場所で、初めての人と二人きり。本当はロベルトも一緒が良かったけど、ロベルトもロベルトの準備があるから、そこは邪魔しちゃいけない。
私もそっと手を振り返し、それに気づいたレイ様がロベルトを見てとても驚いた顔をしていた。
なんでだろう?
案内された部屋に着くと、女性がたくさんいて、ニコニコと挨拶してくれた。
なんでも、これから行く舞踏会は大掛かりなものらしく、気合を入れておめかししましょう!と言われた。
コルセットはいらない、って言われたし、この服装はなんだか落ち着かない。
でも、ロベルトがこの格好を見たらどんな顔をするのかが楽しみで、いつもと違う感覚も、楽しく思えた。
今回の題名、Googleなどで調べてみてください!
それはカナリアの思いなのか、ロベルトの思いなのか。それとも…
主人の自由さにいつも頭を悩ませるレイ君なのでした。




