森の中の少女
ここは、とある森の中。深い深い緑の中に小さな家が一軒建っていました。その家から出てきた人の瞳は夏の新緑の色でした。
その少女の手には沢山の本が抱えられていました。
少女がその瞳に映したものは、何だったのでしょう。
………
鳥がどこか遠くで歌を歌っている。
川が朝日を喜ぶように煌めいている。
人が、目を開ける。
私の一日は、夢から醒めて始まる。
こんにちは。私はカナリアです。
私がここに住み始めて十数年。日々他愛ない日常を送っています。
私はあの方に監禁されていますが、全然大丈夫です。
外の世界を見てみたい気持ちもありますが、今はまだその時ではないので大人しく監禁されています。
さて、この世界には魔法というものが存在します。
四大元素と呼ばれる炎、水、風、光の元素があり、これは一般的に「属性」と呼ばれています。
私は魔法が大好きで、よく魔導書と呼ばれる魔法の詠唱が記された本を読んでいます。
今日は珍しくお客様がいらっしゃいました。
普段と変わらない日常に、何やら新しい風が吹き始めたのです。
この出会いがとても美しいものの道を示したなんて、この頃の私は少しも思っていなかったのです。