#4 第4節
————廃校にて再び一同は集合した。
「さて、私から情報共有しておきたいことがある。それはシャルディーンが幸斗を狙う理由だ。奴の目的は彼を生贄としたエネルギー製造機の開発だ」
「ってことはやっぱり、幸斗の力はその絶え間ないエネルギー供給なんですね」
「そっちも何か見つけたようだな。ということは彼のうちに眠る怪異の正体も悟っているか」
「そこは憶測ですけど、まあ普通の祈現怪異とは違うようだってことは」
「そこは順を追って説明しよう。まずあの怪異の正体は龍神の分霊だ」
「分霊って……誰かが意図的に分けたってことですか? ってことはシャルディーン個人以外にも関わっている人が?」
「ああ、奴の家と合わせて三つの家系がこの計画に参加している。敵が複数で攻めてくる可能性を考慮せざるを得ないのは厄介だな」
八敷先生は赤銅色の髪を払いながら言葉を続けた。
「そしてもう一つはヤツの狙いだ。先程言った通り幸斗を捕らえエネルギー製造機にすることを目的としているヤツだが、それには条件があると私は推測している。おそらくは幸斗が戦うことでその力を最大限に引き出し、その状態で確保しなければならないのではないかということだ」
「でしたら幸斗さんを戦わせなければいいのではないでしょうか。そうすれば相手の計画を阻止し、無駄に戦わずに済みます」
「いや、それは難しいな。そうなったら相手は強行手段に出るだろう。それに相手がいつでも攻められるという状況ではこちらの警戒も保たん。こちらが攻めれるうちに対峙した方がいいだろう」
「攻めるとは言ったが……この空間の先はどうなってるかわからねェですよ、先生。相手のフィールドで戦おうって言うンならあまりいい作戦とは言えねェですね」
浄の言うように、魔術師の拠点に攻め込むということは自殺行為に等しい。
だが、彼の意見にも八敷先生は既に策を案じていた。
「もちろん、そこは考えているさ。だからここで集まったんだ。美佳も同じ考えだったろう?」
「そうですね、ウチはアジトの周りにゴーレムでも配置しているんじゃって思いましたけど、そうじゃないならやることは簡単ですね」
「ああ。要は相手のフィールドで戦うのが不利になるなら、相手をそこから出してやればいい————そして出た先を私たちの有利なフィールドへ変えておく……これが魔術師たちの戦いさ」
「しかし、その出すまでが大変じゃないですか。そこはどうするんです?」
「そこは実際に入ってみなければわからんが、おおよそのセオリーはこうだ——私が先に潜入し、小競り合いをする。そして機を見てお前たちが後に続きヤツを包囲する。相手の退路を塞ぐことで已むなしにこの校庭に出てくるというわけだ。浄の能力を使えば出入りは容易にできるだろう。最悪マズい時は途中で脱出するのもありだ…………と、ここまで大雑把にまとめて話したが、幸斗——おまえは大丈夫か」
「————、僕がどうかしましたか?」
幸斗はいきなり指名されたことに驚きの表情を浮かべる。
「奴の目的を聞いて、そこに恐怖はなかったか?」
「…………どうなんでしょう。あまりにも突拍子もない話で理解が追いついてないみたいです」
「それならそれでいい。安心しろ、私が守ってやる」
それは覚悟の伴った宣言。
傍らに佇む浄を横目に、この言葉だけは嘘にはしたくないという心が込められていた。
痾裡栖─アリス/了




