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『祈現の碧』Prevalent Providence Paradigm  作者: 宇喜杉ともこ
第3章 華隷彌─カレイド
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魔術メモ その4

 八敷先生の魔術工芸品について

 

 

 魔術師が作った魔力を通して作用する道具、所謂呪具を魔術師の世界では「魔術工芸品」と呼んでいる。英語ではアーツクラフト、また日本での略称として魔工品という呼び方もある。

 彼女の家はとりわけ呪具作成に特化した家ではないが、彼女自身の才能はそちらに向いていた。

 

 

 梵辿刻書・去潮/由在/来果

 

 

 八敷意が作り出した筆型の魔工品。それぞれ上から順番に、過去、現在、未来を司る。

 筆の先に溜まっている魔力の込められた墨があり、それを対象に塗布することで効果を発揮する。

 効果の対象は物体のみならず、空間にも作用するが、その場合はその魔工品を破裂させて中の魔力墨を拡散させる必要がある。しかし一時的、部分的な範囲であればその限りではない。

 

 効果の詳細として、去潮は過去の再現を行う。空間であればその空間で起こった出来事を再生させ、物体であればその物質に起こった現象、或いは過去に起こった動作の再現を行う。

 ただしこれらの効果には強度があり、古くなる程再現に綻びが生まれ強度は弱くなる。

 

 由在の効果は複数に重なった可能性を具現化させる。

 平行世界があると仮定し、現在までの情報を基にあらゆる可能性を抽出することができる。

 例えば拳に塗布した場合、ストレートで殴る可能性とアッパーで殴る可能性、頭を狙うか腹を狙うかなどさまざまな選択肢がある中で術者本人が頭を狙ったストレートを放ちながら同時に顎へアッパーを繰り出すことが可能になる。

 この効果は実際に本人が行った行動と近いものほど強度が増す。

 

 来果の効果はその特性故に強度が低くなりやすい。

 効果は単純で、対象の未来を仮想して具現化する。これも多くの可能性がある中で実現度が高いものほど強度が増す。

 本人はあまり使いたがらない。

 

 余談であるが、これらの魔工品は戦闘のためだけに作られたものではない。

 魔術師はそれぞれ何かしらの目標があり、そのための研究の過程でこういった魔工品は作られる。

 科学と同様、より良い未来を思って生み出したものが、世界を滅ぼす終末兵器になってしまうものなのだ。

 

 

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