母との別れ
胸の苦しさから涙は、何度も倒れた。
その度に愛ちゃんに助けてもらっている。
医師にも涙はそう長くは無いと言われていた。
私が先に死んだら可哀想な母はどうなるのだろう⁉️
不安が追いかけて来る。
愛ちゃんが居るけど、愛ちゃんは優しいがやはり母は本当の母では無い。
どうしよう…。
そんな頃、80になった母が寒空の下、秋に亡くなった。
呆気なく亡くなった。
老衰だった。
涙にとって生きる力だった母が亡くなったことは、これから先、自分が生きて行かなくてはならないと言う強い信念を根底から奪った。
もうどうでもいいと思うようになった。
可哀想な母の介護は、5年間だった。
泣いたり笑ったり胸の苦しみの中、母との思い出がひとしきり思い出され泣いた。
愛ちゃんも私に寄り添って悲しんでくれた。
私自身もう長くは無い。
自分が残す物は全て愛ちゃんだけの物になる。
涙は、痩せた自分の体が干からびそうな感じがした。
何度も倒れ病院に搬送される事が続き、愛ちゃんも心配そうだ。
でも病院は嫌だ。
愛ちゃんのそばでパライバトルマリンを眺めて暮らしたい。
死に支度をしたい‼️
そんな中、パライバトルマリンの濃厚な濃紺の小さなルースの涙のリングは、どうしても気になった。
祥子さんに調べてもらおうとリングを送った。
グリニッシュブルーと出て非加熱の判定が出てないが、どうもこのルースは今まで見て来た非加熱GIAブルーの暗いストレートブルーだ。
祥子さんもGIAに聞いてみると請け負ってくれた。
祥子さんは、英語バリバリでGIAの鑑別官とは英語で話す。
その時もアメリカの男性上級官だったが祥子さんの話を英語で聞いてくれた。
上級官も上に何度も聞いて、とうとうそのリングのパライバは非加熱GIAブルーとしてGIAで認めてくれた。
祥子さんは、IJTにも出向きその特設会場でのGIAでもリングのルースの確認も取ってくれた。
晴れてGIAブルー非加熱の冠を得たGIA鑑別が出来上がった。
0.07ctと小粒なルースのリングだったので100万超えは無いと思うが、ルースでリングを作った時の作製料金をはるかに超える価値となった。
業者間ではGIA鑑別が物申す。
このリングも愛ちゃんに!
母の遺産もあり、その中で祥子さんから0.3のウィンデックスブルーも買い、今までのコレクションのルースをリングにオーダーした。
近くの宝石店の社長が30代だがオーダーのプロの職人さんだった。