婚約指輪
私は命に別状ないこころの病いと自覚し始めてから少し元気になった。
そして愛ちゃんが買出しに行く日が多くなり、ある日私も買出しに誘われた。
日曜日で、山本先生が私達を待っていた。
「あら、山本先生いらっしゃるけど…愛ちゃん、特別なお話?」
愛ちゃんは、長いまつ毛を伏せて顔を赤らめ
「山本先生が涙ちゃんにお話があるって言うからちょっと…お茶しましょう」
と小さな声でささやいた。
山本先生の車でこじんまりとしたカフェに3人で行き、中の静かな席に着いた。
「病院では、こう言うお話は出来ないので愛さんに頼みました。」
と、山本先生はおもむろに涙に話しかけた。
向い側に愛ちゃんと山本先生が座り、私と相対して座っている。
「コレは何かあるぞ」と私は身構えた。
だいたい想像は出来た。
山本先生は、
「私たちは結婚を前提にしてお付き合いしてます。時々愛さんと会うお時間を下さいね。
涙さんの病状も安定しているし、頼むんですが、愛さんに婚約指輪を作っていただこうと今回、お願いに参りました。愛さんの好きなパライバトルマリンの極上のリングをお願い致します。金額には糸目を付けません。よろしいでしょうか?」
と照れながら言った。
愛ちゃんは、余計な言葉を使わず、山本先生に
「ありがとう」とささやいた。
私はパライバトルマリンと聞いて水を得た魚のように山本先生に話した。
「ありがとうございます!今、0.5ctのパライバトルマリンの中でもトップクラスのウィンデックスブルーを手に入れたところです。少々お高くなりますが、ウィンデックスのマーキス2つとイエロービビット3つとデマントイド大きいな1つでアシンメトリーな豪華な婚約指輪をお造り致しますね。」
と話した。
それからは、愛ちゃんが
「わぁ!涙ちゃん、ありがとう‼️
0.5ctのウィンデックスなんてあるの?
大きいのね!
先生もありがとう。」
と、山本先生の隣で蒸気した顔で嬉しそうに笑顔を浮かべていた。
それからは3人で笑いながら会話して楽しかった。
「結婚したら涙さんのお宅の隣のマンションに新居を持ちますから…」
と涙にとっても嬉しいお話だった。
買出しは少しだったが、山本先生と愛ちゃんが楽しそうにして、私は後ろにくっ付いている感じだった。
涙は、若い2人を応援するような気持ちでいっぱいだった。
婚約指輪だから私からもお祝いとしてお値引き少ししようかなぁと考えていた。




