ピザも食えよ
「森山、きいてくれ」
高橋匠は、こわばっていう。
「放課後ファミレスにいかないか」
こんな言葉を発する日がこようとは、神もまひろも思うまい。誰かを誘うなど家族以外は、何年ぶりだろう。Discordの連中は、部屋へ適当に出入りしているし、21時ごろ集合が暗黙のめやすになっている。なので誘う必要もない。誰かこなくてもなにか用事があるんだろ。と、適当だ。それが、なんと、日時指定どころか場所まで指定してクラスの陽キャイケメンを誘ったのだ。
どうかしている。
失笑しながらも、どこか誇らしい一歩をすすめた気がする高橋匠だった。
「あー海のことな。結奈ちゃんからLINEきてたわ」
それより。と、森山健治は、高橋匠の肩に手をおいて「詩織もこれるように手を回してくれたんだろ?ありがとうな」
と、すこし影のある笑顔をみせた。
なんでだ?
「森山の都合があわないなら別日にかえてもいいが」
まさか陽の森山が、自分と同じように多人数で集まるのは、正直めんどくせー。とは、思わないだろうし。
「ちがくて。ぜんぜんいくし。むしろ楽しみ」
と、森山健治は、サムズアップした。
では、なんでそんな顔をするんだ。
そういえば。
昨日の昼休みからこちら、森山健治と腰を据えて会話をしていないことに高橋匠は、気づいた。それだって、若菜あかりの登場であやふやにされていた。
「森山、集合まえに時間もらえるか?すこしでいい」
「いいけど、なんで?」
なんでって
「話があるんだろ?森山が、オレに」
森山健治は、驚いた顔をしていう。
「そんなに洞察力が優れているのになんで、高橋は、ひとりでいたんだ?」
「余計なお世話だ。友達がいなくてもフレンドは……まあ、いい。そんなことより放課後———は、秒で若菜さんたちに拉致られるか。時間がとれないな」
昼休みもあと5分でおわる。
こめかみをトントンする高橋匠をみて、森山健治はいった。
「じゃあさ、このままばっくれてファミレスいかないか?高橋がよければだけど」
なるほど、さきに現地へのりこみ女子たちがくるまえに男2人の会話をしようと。
しかし、ばっくれ。なんて悪くていい響き。嫌いじゃない。一度やってみたかった。ワクワクする!
「いいぜ。ただし山盛りポテトは、森山のオゴリな」
イキリ混じりの高橋匠へ
「ピザも食えよ」
と、森山健治は、はははと笑った。
続く




