表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/27

エビチリ辛くなくない?

 昼休み。高橋匠は意を決して、白川結奈のまえにたった。

「白川さん。昼メシおごるんで、い、一緒に学食へいかないか?」

 悩んだあげく、たどり着いた高橋匠のシンプルな誘い文句は、白川結奈にとって想定外でもなかったようだ。

「いいよ。いこか」

 と、あっさりしている。

 なぜだ。陽の人間にとっては、普通のことなのか。こっちは、胃がキリキリしているというのに。

 白川結奈は、まるで高橋匠の意図をわかっているかのように、ついてこようとする若菜あかりを華麗にかわして教室をでた。

「結奈、エビチリがいい。エビチリ定食。ご飯少なめ」

 祭り会場ですか?と、高橋が学食の雑踏に圧倒されるなかでも、白川結奈は通常運転だ。

「席は、結奈がとっておくからヨロ。高橋くんのお弁当、結奈がもっててあげる」

 おおせのとおりに。

 高橋匠は、行列へならび、エビチリ定食ののったおぼんを危なっかしくもって、あたりを見渡した。

 白川結奈が窓際の席から手を振る。

 ひとにぶつからないよう細心の注意をはらったので、白川結奈の向かいへ座ったころには、疲労困憊の高橋匠だった。

「おつー。あんがとね」

「はい。疲れました」

 白川結奈は、きゃははとわらって「そんな高橋くんに結奈からカフェ・オ・レのプレゼンだよ」と、小さなパックを弁当と一緒にわたした。

「ねえねえ、食べていい?」

「どうぞ」

「やった。ごちになりまーす」

 高橋匠も弁当のふたをあける。だし巻き卵にタコさんウインナー、野菜の肉巻きとほうれん草のごまあえ。今日もうまそうだ。

 よし!

 まひろの弁当に癒しと勇気をもらった高橋匠は、

「それで、夏休みにいく海水浴のことなんだが」

 と、きりだした。

「あーね。あかりからきいてるよー。A組の市川さんでしょ。ケンジくんの幼馴染」

 このエビチリあんまり辛くないな。と、食べながら白川結奈はいう。「まさかケンジくんまで好きな人がいたとか。結奈は、この夏どうしたらいいんよ」

 なるほど、あかり経由で知っていたか。そして、やはり恋愛対象においていたか。危なかった。

「それより、結奈のエビチリ食べてみて。はい、あーん」

 考えごとをしていた高橋匠は、反射でくちをあけてしまった。

 恥ずかしい!

「ね?このエビチリ辛くなくない?」

 無邪気にきゃははとわらう白川結奈。

 たいして、高橋匠は、どうにかなりそうな表情筋をなんとかただして、カフェ・オ・レのパックがぱこんと音をたてるまでいっきに飲み干した。

 まわりの視線が怖くて、味なんてわかるか。これだから陽キャは!

 コホン。

 高橋匠は、ひとつ大きな咳払いをして、本題にはいる。

 長居は無用だ。

「話をもどすが、オレは、その幼馴染二人を仲直りさせたいと思っている。しかし、当人からすると迷惑なことなのだろうか」

「んーどうだろ」

 と、白川結奈は、一考してくれた。

 やはりオレの目にくるいはない。白川結奈は、ギャルの中では、常識人だ。その証拠に走りだすこともない。でも、もう、あーんは、やめてほしい。本当に。

 席にすわったまま白川結奈はいう。

「ケンジくんは嬉しいんじゃない?市川さんのことは、結奈は、よく知らんからわかんない。でも高橋くんは、市川さんのこと知ってるんでしょ。だって———」

 そして白川結奈は、驚くべきことを平然といった。

「だって、今朝、非常階段で土下座させてたってコマちゃんがいってたよ」

 なぜ知っている。あの場にひとけはなかった。それにあれは、土下座は、させたんじゃなくて、勝手にされたことで。あと、コマちゃんてだれ?

 焦る高橋匠にたいして、白川結奈は、きゃははとわらう。

「コマちゃんは、花小町遊さんだよ。ハナコマちゃん。コマちゃんがね、たぶん昼休みに高橋くんが話かけてくるっていってて。———そうだ。コレわたすようにいわれてたんだった」

 白川結奈は、ポケットからポチ袋をとりだした。かるく手アイロンをしてから、高橋匠へ手渡す。

「中身なに?」

 と、白川結奈。

 情報が多すぎて混乱したまま袋をあけた高橋匠は、中身を確認するや否や、バチンと、手で、袋ごとテーブルに押し当てた。

 は?は?はー?

 コンドームじゃねえか!


続く

 



 




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ