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おやさしいクリームシチュー

 おはようございます。女子高生の土下座です。

 校門前で待ち伏せられ、連行された非常階段の踊り場。

 なぜこのようなことに?

 オレが知りたい。

 高橋匠は、市川詩織の美しい土下座を見下ろし、その華奢な身体をながめていた。

 ふむふむ。ただ細いと思っていたが、お尻の肉はそこそこ。そのスカートの広がり、嫌いじゃない。オレは胸だけではなく、尻もいけるのか。意外な発見だ。

 て、そうじゃない!

「な、なに?」

「昨日は、申し訳ありませんでした」

 市川詩織は、土下座のままいう。

「わたし、テンションあがってて。うかれついでに高橋さんに失礼な態度を。けんくんのこともいろいろいってしまって。あかりさんのお友達になんてことを」

 一万円札をさしだす市川詩織。

「これでご容赦ください」

「いや、いらない」

「しかし、わたしには、これくらいのことしかできないです」

「昨日は、まひろのカレーで癒されたから問題ない」

 それより、早くその物騒なものをしまって。と、高橋はいう。

「謝罪は、うけいれるから安心してくれ」

「ありがとうございます」

 市川詩織は、ようやく顔をあげた。

 目と鼻が真っ赤だ。

 高橋がハンカチを差し出すと、ありがとうございます。と、それで目をおさえる。

「昨晩、あかりさんからLINEをいただきまして。それをみていたら、わたしのやろうとしていることは、わたしを迫害した人たちと同じなのでは、と思い。とても恥ずかしくて」

 ちなみに、これがそのLINEです。と、スマホを高橋匠へわたす。

「みていいのか?」

 コクンと頷く市川詩織。

 一晩で改心させたLINEの内容。気になる。

 高橋匠は、スマホをタップした。


『こんばんは〜似合いそうなのみつけたよ』

 添付画像メガネ

『これとかもよき』

 添付画像メガネ

 添付画像メガネ

『これは?』

 添付画像メガネ

 添付画像メガネ

 添付画像メガネ

『これも』

 添付画像メガネ

 添付画像メガネ

 添付画像メガネ

 添付画像メガネ

 添付画像メガネ

 ・

 ・

 ・


 ざっとみただけでメガネ画像は、三十はあった。

 怖い。

 改心要素も見当たらない。

 けれど、市川詩織は、嬉しそうにいう。

「心優しいメッセージをいただいて、わたしも、あかりさんのように、優しい心になろうと決めたんです」

 えー怖い怖い怖い。

 市川詩織は、泣いたあとの顔を隠さないでいう。

「だから、まず、高橋さん。わたしとお友達になってください」

 なぜそうなる。意味がわからない。理解が追いつかない。怖い。

 高橋匠の気持ちをすくいとったのか、

「高橋さんなら、わたしの悪いところを躊躇なく指摘してくれるでしょう」

 と、市川詩織は、にっこりわらった。

 まひろさん。お兄ちゃんは今夜、おやさしいクリームシチューが食べたいです。


続く

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