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第5話 この世界は美人が多いようだ

 やがて望海が俺のテントにやって来た。


「賢一、月治様がお会いになるそうだ。動けるか?」


 望海は俺の心配をしてくれたが俺は問題ない。

 軽くケガをした頭を振ってみるが頭のケガもそんなに気にするほどではないようだ。


「大丈夫だ。案内を頼む」


 俺は望海とテントを出る。

 太陽の光に一瞬眩しさを感じる。


 異世界でも太陽があるんだな。


 俺はなんとなくホッとした。

 たとえ俺が前の世界で見ていた太陽とは違うものかもしれないが太陽らしきものがありその日差しが辺りを照らしているなら俺にとってそれは太陽だ。


 望海は俺の前をゆっくりと歩いて行く。

 テントの周りを観察しながら俺は望海について行った。


 いくつものテントがあり多くの人がいる。

 男たちが多いが女の姿もある。皆、望海と同じような鎧をつけているようだ。


 ここは軍隊の野営地ということだから鎧をつけて剣を提げているのは兵士なんだろう。

 イメージ的には中世ヨーロッパの騎士に近い。

 剣や槍・弓を持っている者が多いということはこの世界に銃はないのかもしれない。


 容姿は黒髪に黒い瞳の者が多いが、他にも朱里と同じ赤い髪に赤い瞳の者もいるし銀髪や茶髪や金髪までいる。

 肌の色も白い者から茶褐色の者までいろいろだ。


 さすが異世界という感じもするが俺もこの世界の人間たちから見れば不思議な存在なのかジロジロと見られている。


 そりゃ、俺の恰好は珍しいから目立つよな。

 少なくともこの世界に自衛隊の迷彩服があるとは思えない。


 だが今は少しでもこの世界の情報が欲しい俺はそんな視線を気にせずに、キョロキョロと辺りの様子を見ながら歩いていた。


 少しして望海が大きなテントの前で止まる。

 テントの前には兵士が二人立っていた。


「月治様はおられるか?」


 望海が兵士に聞くと兵士が答える。


「は!いらっしゃいます」


「では通させてもらう。この者は月治様の客人だ」


 俺は兵士にジロジロ見られたが兵士は何も言わなかった。


「賢一。入るぞ」


「ああ」


 俺は望海に続いてテントの中に入る。

 テントの中は思いのほか広い。


 布で仕切ってあって何部屋もあるようだ。

 その中の一つの部屋の前で望海が止まる。


「月治様。望海です。昨夜保護した者を連れて来ました」


「入れ」


 中から入室許可の返事がある。

 男の声だ。


 俺は緊張した。

 この月治という人物がこの後の俺の運命を左右すると言ってもいいだろう。

 俺が異世界人であることを信じてくれるかどうかが分かれ道だ。


 中に入ると机が置いてあり月治と思われる人物が椅子に座りながら書類を見ていたが俺たちが入って行くと顔を上げた。

 黒い髪に黒い瞳は望海と同じ。見た目だけなら日本人と言ってもいいくらいだが日本人と呼ぶには幾分肌の色が白い。


 そして中にはもう二人の人物がいた。

 一人は月治よりは若そうだが同じ黒髪に黒い瞳の男性で鎧を着て剣を提げている。


 もう一人は長い銀髪に青い瞳の女性だ。

 望海よりスレンダーだがこちらも美人だ。


 この国には美女しかいないのか。


 俺は勝手にそう思ってしまった。

 朱里も望海もこの女性もタイプは違う美人だが俺好みの女たちだ。


 でも美人が多いのは俺としては嬉しいな。

 いやいや、今はそんなこと考えてる場合じゃないか。


 その女性も鎧に剣を提げていた。


「初めましてかな。私が華天国軍第二部隊の隊長をしている月治つきじだ」


 月治はそう言うと椅子から立ち上がった。

 すると身長は俺より高いことが分かる。おそらく190㎝くらいはあるだろう。


 月治も鎧に剣を提げている。


 やはりこの世界に銃はないのかもしれないな。

 銃があったら軍隊で使わないわけないもんな。


「初めまして。藤枝賢一と言います」


 月治が握手を求めて来たので俺は月治と握手をする。


 この世界にも握手という風習はあるのか。

 全てが元の世界と違う訳じゃないのは今後の参考にしよう。


「ふじえだけんいち?長い名前だな」


「あ、賢一だけでいいです」


 この世界には苗字というモノは無いのかもしれないな。


「私も月治でいい。では賢一、まずは私の側近たちを紹介しよう。この男は甲夜こうや。私の弟で側近の一人だ」


「よろしく賢一さん」


 甲夜は俺に軽く頭を下げた。

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