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波動~自衛官の俺が異世界の華天国を護るために戦った理由(わけ)~  作者: 脇田朝洋


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第47話 志乃舞はスナイパーの素質があるぜ


 俺は狙撃に必要な物を召喚した後にテントを出て少し高台になっている場所へと移動する。

 ここには俺たちの軍の見張りもいて敵が来たら分かるように目を光らせている場所だ。

 高台から見下ろすと駐留地の先にある山が見える。

 そして俺は途中に出しておいた、駐屯地の売店に売っていたODのフォールディングマットを二枚敷く。



「まずはこういう姿勢でこのようにライフルをかまえる」



 俺はその上に伏せてМ24の二脚を立てて構えてみせる。

 そしてスコープを覗き込む。



「それは何?」


「これはスコープと言って遠くの標的が近くに見えるものだ。志乃舞も覗いてみろ」


「分かったわ」



 志乃舞の方へライフルを置いてやる。

 そして俺と同じようにライフルをかまえてスコープを覗き込んだ。



「え! なにこれ!? 嘘っ! あんなに遠くのものが近くに見える!」



 志乃舞は初めてのスコープに大興奮している。



 まあ、初めてスコープを見たらこの反応は当たり前かもな。

 そういえば、この世界って双眼鏡とかもないんだな。

 だったら部隊にいくつか双眼鏡も配備しておくか。その方が便利だしな。

 ちなみに俺は双眼鏡と単眼鏡の両方を持っている。演習とかで任務によって使い分けていたのだけど、俺がこのまま行方不明のままだったら誰かが勝手に持って行きそうだ。



「中に線が引かれているけど、これは?」


「縦と横の線が交差しているところを標的に重ねて狙うんだ」


「なるほど」



 俺は説明しながら先ほど召喚したスポッタースコープで山肌を見る。



「それで向こうの山肌に向かって試し撃ちしてみろ。そうだな、ちょうど山肌に小さな木があるからその枝を狙ってみたらいい」



 距離にして約300メートル。



「やってみるわ」


「まずはこの槓桿こうかんを引いて、弾を込める」


「こうね」



 言われたとおりに弾を装填する。



「なんかすごく軽いわね!」


「ああ、89式小銃と違ってこの狙撃銃の槓桿はすごく軽いんだ。慣れれば小指で引くことできる」



 俺も初めて触れた時にはその軽さに驚いたな。

 ちなみに引き金も普通の小銃と比べて軽い。



「これで弾は装填された。後はしっかりと狙って引き金を引くんだ」



 そして志乃舞は狙いをつけるように真剣な表情になる。その表情はまさに獲物を捕らえる鷹の目つきだ。



 まあ、最初から当たるわけないだろうけど外れても頑張れば当たるようになるって励ましてやらないとな。



 志乃舞が一瞬の呼吸をしてトリガーを引いた。



 ズバアアアァーンッ!!



 辺りにライフルの銃声が響き渡る。



 いけね! 消音器つけるの忘れた!



 十六夜たちが今の発砲音に驚かないか不安を抱いたと同時に志乃舞の喜ぶ声が聞こえる。



「やった! 当たったわ!」


「嘘だろ!?」



 慌ててスポッタースコープで確認すると確かに木の枝が撃ち抜かれて下に落ちたのが確認できた。



 この距離を初めてのライフルで一発で的に当てるなんて志乃舞は天才か!?

 まさかの天才スナイパーの誕生なのか!?

 それとも『狙撃』というスキルでも持っているのか?



「すごいじゃないか、志乃舞! 志乃舞は一流の狙撃手になれるぞ!」


「ありがとう、賢一。賢一が褒めてくれるなら百発百中を目指して練習するわ!」



 そうだな。志乃舞なら百発百中も夢じゃないかも。



「ああ、志乃舞ならそれぐらいの腕前になれるさ。頑張って練習してくれ」


「百発百中の腕前になったら賢一の心臓も私がこの狙撃銃で撃ち抜いて賢一を私のものにするわね」



 ニコリと笑う志乃舞がとんでもなく怖い発言をする。



 え? もしかして志乃舞はヤンデレ系なのか?

 それはそれで萌えるが俺が志乃舞に殺されたら他の女たちがキレそうだよな。

 女同士で血で血を洗う戦いにならないように俺は志乃舞に殺されるわけにはいかないか。



「そう簡単に俺を手に入れられると思うなよ、志乃舞。俺は志乃舞より強いからな」


「フフッ、だから賢一のこと好きなのよ♡」



 う~、このまま志乃舞を押し倒したいが我慢だ、俺!

 でもこれで優秀なスナイパー候補ができたな。


 まてよ、志乃舞をサポートする観測手が必要だ。

 本来なら観測手は狙撃手よりも経験豊富な年長者が任命されることが多く、指揮官的な立場で狙撃班の行動を主導するものだ。

 だが、俺が毎回それをやる訳にもいかない。

 だったらもう一人狙撃手が必要だ。そしてそいつに観測手をやらせればいい。



「なあ、志乃舞。女性兵士で誰か弓の得意なやついないか?」


「いるけど? 私と同じように狙撃手にするの?」


「それもあるが、志乃舞の観測手をやらせたい。狙撃手というのは観測手と二人一組で行動するのが基本だ。だからこそ志乃舞の観測手は女性の方が効率がいいんだ」


 

 本当は野郎がついてそいつと仲良くなってしまうのが嫌なだけなのだがそれは言わないでおく。



「わかった。その中から一番優秀なの連れてくるわ」


「ありがとう。どういうことをやるかはこれからしっかりと教育していくからしっかりと身に着けてくれ」


「しっかりと教えてね♡」


 

 志乃舞はまたも可愛い笑顔を向けてきた。



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