第46話 優秀なスナイパーを育成しないとな
「なぁ、志乃舞は視力はいいんだよな?」
「当たり前じゃない。弓で的を射るのに的が見えなくてどうするのよ」
志乃舞は俺の問いに呆れた様子で答える。
そりゃ、そうだよな。確かに愚問だったな。
志乃舞が弓の腕前を見せてくれた時の的も相当の距離があったしな。
志乃舞にスナイパー訓練をさせるために必要な視力を確かめるための質問だったが志乃舞の弓の腕前は既に確認している。
あの時も志乃舞のことをスナイパー向きだと思ったことを思い出した。
「それだけの視力があれば志乃舞にはスナイパーをやって欲しいんだ」
「すないぱあ……? 何よ、それ?」
おっと、スナイパーじゃ通じないか。やはり狙撃手と言っておくか。
「スナイパーは狙撃手のことだ。銃で遠くにいる敵を狙う兵士のことさ」
本当は偵察・監視、野砲・航空支援などの火力誘導、対狙撃戦等多岐にわたる。
しかしいきなりそんなこと言ったところで理解はできないだろう。
「ふ~ん、銃はまだ練習中だけどあの小銃ってやつでそんなに遠くの敵を狙えるものなの?」
「いや、狙撃手は専用の狙撃銃を使うんだ。実物をお見せしよう。レミントンM24A2出ろ!」
ポポポンッ!
俺はその場にライフル銃を召喚した。
自衛隊で正式採用されているレミントンM24A2だ。
それまで採用されていたレミントンM24の改良型だ。
ストックの調整ができるようになっていて、マウントレール等も改良されている。
さらにはサプレッサーも装着可能だ。俺が動画で見た時もサプレッサーが装着されていた。
かつては64式小銃に専用のスコープをとりつけて狙撃をやっていたが、本格的な狙撃専用銃に比べて有効射程や命中精度などが劣るし長距離よりも中距離の狙撃銃として扱っていた。
そして2004年からレミントンM24が導入され始めて、中隊に狙撃班という分隊も編成されるようになった。
「89式小銃とは形が違うのね。どうやって使うの?」
それを志乃舞はそれを興味深そうに眺めている。
「そうだな。実際に撃ってみた方が実感できると思うから試し撃ちしてみるか」
俺はそう言ってやる。
「いいの? 使ってみたい!」
志乃舞は嬉しそうだ。
本来ならいきなり撃たせるようなことはしたくない。
かつて俺も狙撃課程へ行く話があったことがある。そのことを米軍の特殊部隊の友人に相談したら、まずはVSR10の電動ガンでも買ってきてそれに適当なスコープ乗っけて空き缶を撃つトレーニングをしろと言われて実行したことがあった。
結局狙撃手の話は流れたが、できれば同じようなことをさせたい。
とはいえ電動ガンなんて召喚できないだろうし、かなり強引だが撃たせて覚えさせるしかない。
友人に話したら間違いなく怒られるだろうけど……。
「そうするとあれも必要だな」
ポポポンッ!
とりあえず自衛隊の狙撃班の観測手が使うスポッタースコープを出す。
正式に採用しているBUSHNELL LEGEND TACTICAL - T シリーズのスポッティング スコープ 15-45X60だ。
狙撃手は観測手と二人一組で行動するのが基本だ。観測手がこれを使って目標までの距離測定や風速の観測、射撃の着弾点に関する指示などを行う。
今日は俺がその役割を行うことにして志乃舞に体験させようと思う。
ちなみに俺も観測手なんて初めてだが、スポッタースコープを出した時にやり方を瞬時に理解していた。




