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波動~自衛官の俺が異世界の華天国を護るために戦った理由(わけ)~  作者: 脇田朝洋


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第35話 食事も交代制とは用心深いな

 俺が突然の琴音の告白に呆然としていた頃、北の大国ローラン帝国では。


「陛下。今回の華天国との戦の為の本隊の準備がまもなく整います。整い次第本隊は華天国に向かって出発します」


 ローラン帝国軍最高司令官のタイトンはそう報告をする。

 タイトンの前に座っているのはローラン帝国の皇帝であるリカルドだ。

 リカルドは30代のまだ若き皇帝で野心家だった。


「うむ。華天国の女王の病気で結界が弱まっている今こそあの国を攻め落とす好機だ。「赤き狼」と呼ばれるお前であれば絶対にこの戦に勝てるはずだ。必ず勝利せよ」


「承知いたしました。では失礼いたします」


 タイトンはリカルドに深々と頭を下げた後に部屋を出て行く。


「ククク、必ず華天国を我がものにしてやる。それから他の二大国にも攻め入って私は大陸の覇者となるのだ」


 薄気味悪い笑い声を上げるリカルドの様子を気付かれないように見ていた者がいた。

 リカルドの弟のルードルフだ。


「さて、兄上の思った通りになりますかねえ。私もそろそろ準備を始めましょうか」


 ルードルフはそう呟き姿を消した。





 俺は琴音の告白に驚いたがやはり身体が疲れていたのかいつの間にか寝てしまい気付いたら朝になっていた。


 朝か。今日は夜吹たちに銃の威力を見せないとだったな。気合い入れろ、俺。

 まずは朝飯を食べないとな。


 朝食を配っている場所に行くとそこにはいつも通りに春香が笑顔で兵士たちに食べ物を渡していた。


 春香の奴。昨日、敵に襲われたのにもう笑顔で仕事してるのか。

 無理してなければいいが。


 俺が朝食をもらおうと列に並んでいると夜吹が現れて俺に声をかけてきた。


「よお、賢一。今日はお前の実力を見せてもらうぜ」


「ああ、夜吹か。もちろんそのつもりだ。俺の実力をしっかりと見てくれ」


 そう答えた俺はあることに気付いた。

 昨夜、夜吹の部隊が到着したので新たにこの野営地には夜吹の部隊がいる。


 だが、朝食を配っている列に並んでいる夜吹の部下らしい黒服の奴らは少ない。

 俺も確認したが夜吹の部隊は俺が四暗に頼んだように約100人ほどいたはずだ。


 しかし、配食を待っているのはその半数ぐらいだ。

 他の奴らはどうしてるんだ?


 疑問に思った俺は夜吹に聞いてみる。


「なあ、夜吹。お前の部隊って100人はいたよな? 配食に並んでいる奴らはその半数しかいないが残りの半数の奴らはどうしたんだ?」


「あ? 今朝の配食をもらってない奴らは自分たちで持っている非常食を食べているのさ。この配食に毒物でも仕込まれていてそれを全員食べていたら部隊は全滅するだろ? だから炊き出しの飯を食べるのは交代制にしている」


 夜吹は当たり前のように答えるが俺は少し驚いていた。

 確かに敵が食べ物や飲み物に毒を入れる可能性は否定できない。


 しかし、それを見越して部隊の半数は常に別の食事をするなど自衛隊でさえそこまで徹底はされていなかった。


 もちろん訓練時などは自分で飯や飲み物を用意したが部隊の炊き出しさえ用心する夜吹たちが本当に戦闘民族なのだと分かる。


 そんなことを考えていると俺の番が回ってきて春香が俺に肉の炒め物をくれる。


「はい! 賢一。いっぱい食べてね!」


「ああ、ありがとう」


 俺はおかずを受け取りながら少し小声で春香に声をかける。


「春香。大丈夫か? あまり無理するなよ」


「はい、大丈夫です。昨夜は朱里と賢一のことを話していたので落ち着きました」


「そ、そうか……それは良かった」


 次の人間が待っているのでその場は離れたが春香の言葉が気になる。


 俺のことって何を話したんだろう。まあ、春香が元気になってくれたならそれは嬉しいが。


 元気よくおかずを配る春香の笑顔を見ているとその笑顔を消してはいけないという想いが湧き上がってくる。


 現実の戦は訓練より厳しいことを実感し始めてる俺だがそれでも彼女たちを守りたいという気持ちは揺るがない。


 朝食を食べようと座れる適当な石みたいのがないか探していると朱里の姿が見えた。

 朱里は少し大きめな平らな岩に腰を掛けて食事している。


「朱里。俺も隣りで食事していいか?」


「ん? ああ、別にかまわんが」


 俺は朱里の隣りに腰を掛けた。


 朱里に春香と何を話したか聞いてみようかな。


「な、なあ、朱里は昨日は春香と一緒だったよな?」


「当たり前だ。賢一が一緒に居てくれって言っただろう」


「そうなんだが……春香と何か俺のこと話したのか?」


「いろんなことを話したぞ。賢一の身体の筋肉の付き方とか腹筋の割れ具合いとか…」


「な、なに!? なんで俺の身体のこと朱里が知ってるんだよ!」


「ん? 治療した時に賢一の裸は見たからな」


 そこで俺は朱里に最初に治療された時のことを思い出した。


 そうだった。あの時はパンツ一枚で寝かされていたんだよな。

 俺の身体を診察した朱里なら俺の身体を見ていておかしくないか。それでも少し恥ずかしい。


「そ、そうだったな。あの時は確かに俺は裸だったが……。そ、そんなこと春香と話していたのか?」


「ああ。春香も興味津々で聞いてたぞ。あれは自分も見てみたいって顔だったな」


 朱里は魅惑的な笑みを浮かべて俺を見た。


 う~ん、好意を持ってる女たちが俺の裸の話題をしていたなんて聞くとやっぱり恥ずかしいな。

 だが俺も彼女たちとのムフフを考えてたから責められないか。


「それ以外に何を話したんだ?」


「他の話は女同士の秘密の話だから賢一には話せん」


 女同士の秘密か。

 くっ! 気になって仕方ねえがこの朱里相手に聞きだせるような気がしないしな。

 まあ、仕方ない。この話はここまでにしよう。腹ごしらえしたら夜吹たちに見せる小銃の準備をするか。


 俺は頭を切り替えて飯をパクッと口に入れて腹を満たした。

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