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波動~自衛官の俺が異世界の華天国を護るために戦った理由(わけ)~  作者: 脇田朝洋


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第33話 こいつ喧嘩売ってるのか

 月治の後について行くと野営地の中央部分にたくさんの黒い鎧を着た集団がいた。

 鎧も黒ければ鎧の下に着ている服も黒い。


 そして彼らのほとんどが黒髪に黒い瞳だからまさに闇の化身のようだ。

 これなら夜の闇に紛れて移動してくれば敵の目は欺けるだろう。


 その集団に近付き月治が一人の男に声をかけた。


夜吹やぶき


 月治が夜吹と呼んだ男がこちらを見る。

 まだ若い男だ。年齢は俺と同じぐらいか。

 この男も黒髪に黒い瞳だから闇族で間違いないだろう。


「月治。遅くなってすまんな。四暗隊長から第二部隊に援軍で行くように言われて部下の者を選ぶのに少し時間がかかった。四暗隊長から『戦を左右する部隊だから実力のある者を連れて行け』と言われてな」


 夜吹の言葉を聞いて俺は少なからず驚いた。

 四暗から部下を貸してもらえるだけでもありがたかったのにどうやら四暗は第一部隊でも実力のある精鋭部隊を送ってくれたようだ。


「そうか。まあ、父上の言うことは正しいからな。夜吹、紹介したい者がいる。ここにいる男が「賢一」だ。賢一はこれから夜吹の上官になるからな。賢一。彼は夜吹。私の親戚に当たる人物で第一部隊で小隊長をしている男だ」


 なるほど、月治の親戚に当たるから第二部隊の隊長の月治のことも呼び捨てにしていたのか。


 夜吹は俺の方を見た。

 その瞬間、俺の背筋がゾクリとする。


 この夜吹って男も四暗と同じ戦を知っている奴の目をしているな。

 さすが第一部隊の精鋭部隊を四暗から託されるだけのことはありそうだ。


 鋭い視線で俺を見た夜吹はニヤリと笑う。


「へえ、この男が四暗隊長が言っていた異世界人か。あの四暗隊長が認めた男だからどんな奴かと思ったがたいした男じゃなさそうだな」


 たいした男じゃないだと? こいつ、俺に喧嘩売ってるのか?


 思わずムッとする俺だったがそこで四暗に言われた言葉を思い出した。


 『闇族の兵士は自分より優れた者にしか従わない』って確か言ってたよな。ってことはこの夜吹を俺の部下にするには俺の実力を見せないといけないってことか。


 それに四暗からは俺が召喚した武器の威力を兵士たちに見せてみろとも言われている。


 本来なら今すぐにでも小銃の威力をこいつに見せたいが今はもう夜だから小銃の威力を見せるのは明日の昼間の方がいいだろう。


「夜吹。言葉が過ぎるぞ。賢一はお前の上官だって言っただろ?」


「いや、月治。俺は気にしてないから別にかまわない。夜吹さん、俺が夜吹さんの上官に相応しいかは明日の昼間に俺の実力を見てから判断して欲しい」


「俺のことは夜吹って呼んでいいさ。俺も賢一って呼ぶから。だがそこまで自信があるなら明日その実力を見せてもらうか。だから今夜は自己紹介だけにしておく。俺は四暗隊長からこの援軍の小隊長を任されている夜吹。四暗隊長からは賢一の側近になるように言われている」


 そこで初めて夜吹は俺に握手を求めてくる。

 俺は夜吹と握手をした。


「俺は賢一。夜吹は知ってるようだが異世界人だ。だからこの世界のことには疎いかもしれないがよろしく」


「それは分かってるさ。だから四暗隊長は俺に賢一の補佐をさせるように側近になれって言ったんだろうからな」


 ぶっきらぼうに夜吹は言うが俺はその言葉を聞いて四暗に感謝した。

 俺がどんなに自衛隊の武器を召喚できる能力があっても武器だけで戦はできない。


 それを扱う兵士がいてこそ戦ができるのだ。

 この世界では俺は外国人のようなものだから部隊の兵士との通訳者的な存在がいるのはありがたい。的確な指示が部隊の者に通じなければ戦は勝てない。


 やはり四暗は伊達に戦闘民族の闇族の族長をやっている訳ではないようだ。

 僅かしか俺と会ってないが俺が戦うために必要なモノを瞬時に判断してくれたらしい。


 この夜吹を俺の側近にできれば部隊の兵士とのコミュニケーションも取れるだろうし、俺の知らないこの世界の「常識」も夜吹に教えてもらえるだろう。


 そのためにも明日は俺の実力をこの夜吹に見せないといけないが。


「それと俺の他にこの部隊には三人の分隊長がいる。今からその三人の分隊長を呼ぶから」


 三人の分隊長? この援軍は三分隊に分かれているのか?


 夜吹はピーッと口笛を吹いた。

 すると援軍の方から三人の人物が俺たちの方にやってくる。


「え?」


 その三人を見て俺は驚いた。

 三人の顔も身体つきもまったく同じに見える。年齢は10代後半ぐらいか。

 まるで分身の術を使ったようにそっくりだ。


 違うのは一人は腰の周りに短剣をいくつも持っていてもう一人は槍を背中に装着している。そして最後の一人は大きな斧をこれまた背中に装着していた。


 なんだ、こいつら? なんでこんなにそっくりなんだ?


「この三人は俺の三つ子の弟だ。左から「天狼てんろう」、真ん中が「銀狼ぎんろう」、右が「玄狼げんろう」だ。お前たち、この男が賢一だ。一応俺たちの上官になる男だから挨拶しろ」


『よろしくお願いします』


 三人はまったく同じ声で同じ言葉を同時に発した。

 夜吹の紹介で分かったが短剣の男が天狼で槍の男が銀狼で斧の男が玄狼らしい。


 それにしても三つ子とは驚いたぜ。しかもこんなそっくりな三つ子は珍しいぐらいだ。

 見分けがつくようになるまでとりあえずそれぞれの持っている武器で見分けるか。


「俺が賢一だ。これからよろしく。えっと…天狼、銀狼、玄狼って呼んでいいか?」


『はい!』


 再び三人の言葉が重なった。


 なんか夜吹よりは素直そうな三人だけど見分けがつかないのは別の意味で苦労しそうな気がするが。

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