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波動~自衛官の俺が異世界の華天国を護るために戦った理由(わけ)~  作者: 脇田朝洋


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第24話 先生、分身の術ないですか

「なるほどな。志乃舞は賢一のことが好きなのか」


 俺は背後で女の声が聞こえて心臓が飛び出るほど驚いた。

 即座に銃を手にして振り返るとそこにいたのは望海だった。


「の、望海!?」


 ホッとして俺は銃を下ろす。

 俺は忍術も習っているから人の気配には敏感な方だが、望海の気配に気付けなかった。

 そのことが純粋に俺を驚かせた。


 だが俺は思い出す。

 望海や月治などは闇族だ。闇族は戦闘能力が高いと聞いている。

 もしかしたら気配を消すのが上手いのかもしれない。


「フフ、どうかしたのか?」


「いや、望海の気配に気付かないとは俺も未熟だなと思ってな」


「それは仕方ないんじゃないか?女と抱き合ってればそっちに気を取られるだろ」


 まあ、それはそうかも……って、志乃舞と抱き合ってるのを望海に見られてたのか!?

 それって俺でも少し恥ずかしい。


「いや、あれはだな……」


 俺が言い訳をしようとすると望海は悲しそうな笑みを浮かべる。


「志乃舞は私と張り合って月治様の側近をしているんだ。水族が「戦闘能力」でも闇族に劣らないということを証明するために」


「ん?水族が闇族に戦闘能力が劣らないと証明することはそんなに大事なことなのか?」


 この世界では成人しているとはいえ志乃舞はまだ十代の少女だ。

 前線で戦うことは本来なら避けるべき人間のはずだ。

 もちろんここは異世界だから日本の常識は通じないのは分かっているが。


「そうか。賢一はこの華天国の成り立ちを知らないんだな」


「成り立ち?」


「そうだ。この国は女王を中心にして六部族がそれに従い国を形成しているが、華天国が建国される前はその六部族は敵対関係にあったんだ」


「え?敵対関係?」


 この国が女王を中心に各部族から選ばれた王配たちによって成り立っている国だとは聞いたが、その部族同士が昔は敵対していたとは知らなかった。


「ああ。その六部族の争いを無くし女王が各部族から王配を選ぶことでこの国はまとまっている。だが火種が無いわけではない」


「その火種ってなんだ?」


「どの部族も自分たちがより優れているという思いがあるのさ。表面上は六部族が争うことはないが建国時から六部族が自分たちの部族の人間同士が集まり先祖代々の土地に住んでいることがそれを表している」


「つまり闇族は闇族の土地で暮らして水族は水族の土地で暮らしているのか?」


「そういうことだ。もちろん闇族に水族の者が移住しても誰も文句は言わないが現実的にそういう人物たちは少ないんだ」


 なるほど、自分と同じ種族同士が基本的には集まってそれぞれの土地に住んでるのか。

 日本は基本的には単一民族の国だったからあまり気にしなかったが、他民族が集まり一つの国家を形成するのはそれはそれで問題も多いんだな。


「だから華天国の主力戦力は闇族出身者が多いが他の部族からも腕に自信のある者がこの戦に参戦している。もちろん第一目的はローラン帝国を撃退すること」


「もうひとつは自分の部族にも腕の立つ者がいるってことを他の部族に見せるためか?」


 俺が望海の言葉の続きを言うと望海は「その通り」という顔をする。


 俺は少し華天国という国を単純に考えていたのかもしれない。

 一人の女王に六人の夫って聞いて「逆ハーレムかよ」って思ったがそのシステムはこの国にはなくてはならないシステムなんだろう。


 他民族が一つの国家を形成するのが難しいのは俺の世界もこの世界も大きな違いはないようだ。


「志乃舞はああ見えても並みの男よりも強い。だから月治様の側近になった。そして志乃舞は同じ側近であり女でもある私とは仲間であり負けられない相手でもあるんだ」


 つまりは望海と志乃舞は仲間でもありライバルってことか。

 この二人は仲が悪いのかな。

 見た目では仲が良さそうだけど。


「望海と志乃舞は仲が悪いのか?」


 俺は率直に聞いてみた。


「いいや、仲はいいぞ。これは上辺だけでなくな。だがお互いに負けられない相手でもあるんだ。だから私も賢一を取られるわけにはいかない」


「あ~それなら良かった……ん?」


 今、望海のやつ「賢一を取られるわけにはいかない」って言わなかったか?

 そ、それって……まさか。


「い、今の言葉って……」


「ああ、私も賢一のことが好きだからな。志乃舞におめおめと取られるわけにはいかない。私も志乃舞と同じく強い男が好みでな。月治様はいとこのせいか恋心は持てなかった。だが、賢一は手に入れるべきだと私の勘が告げている」


 マジっすか!? 望海まで俺のことを!?

 でも自分の勘だけで結婚相手決めていいのか?


「望海は自分の勘だけで結婚相手を決めるのか?」


「フフ、戦闘民族とも言われる闇族の勘を甘く見るなよ、賢一。戦闘は危険を察知する勘が鋭い者が生き残る。私は自分の勘を信じる。この戦が終わったら覚悟しとけよ、賢一」


 望海は笑いながら部隊の方に戻って行った。


 こんなことが人生で起こっていいんですか神様!?

 っていうか風花に春香に朱里に志乃舞に望海の誰かを選ぶって無理だろ!?

 マジで中本先生に「分身の術」とかないか聞きたいんだけど!


 そこでふと俺は中本先生を思い出す。


 中本先生、無事だといいけど。

 先生、先生がいない間に俺は大変な事態に巻き込まれてる気がします。助けてください。


 そう心の中で呟きながら俺は自分のテントに戻った。

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