第21話 いきなり子作りはまずいだろ
俺は目を覚ました。
どこかで見たような天幕の天井が見える。
「ここは?」
俺はベッドに横になって毛布を掛けられていた。
そして気が付いたがまたしても俺はパンツ一丁で寝かされていたらしい。
何でいつもパンツ一丁なんだよ! わざわざ脱がす必要ないだろうが!
心の中で叫んでいると、そこに天幕の入り口から誰か入って来た。
「気が付いたか?」
入って来たのは朱里だった。
俺は慌てて毛布で体を隠す。
「訓練中に倒れたと聞いたが気分は大丈夫か?」
そこで俺は自分の倒れた時の記憶を思い出す。
そうだ望海たちに波動を教えている時に倒れたんだった。でもあれは武器の召喚の後に運動したからだな。
原因が分かっているなら問題はない。
自分のスキルの使い方を改善していけばいいだけだ。
「大丈夫だ。ちょっと召喚の力を使い過ぎただけだから」
「そうか……」
俺は朱里に大丈夫だという顔をしたが朱里は俺をジッと見てる。
何か俺の顔についてるか?
あまりに俺を見つめてくるので俺は少し不安になる。
「賢一……」
「な、何だ?」
「私はあらゆる医学のことを勉強している」
まあ、それは既に聞いているが。
なんでいきなりそんなこと言い出したんだ?
「はあ……」
「賢一が異世界人だと聞いてどうしても試したいことがあるんだ」
「なにを試すんだ?」
「異世界人とこの世界の人間との間に子供が産まれるかということだ」
「は?」
俺は朱里の大胆な発言に間抜けな声を出した。
子供って俺とこの世界の人間とのだよな?
俺はチラリと風花と春香のことを思い出した。
確かに結婚したら子供は欲しいよな……。
どちらと結婚するかわからないが、伴侶となった人との子供は欲しい。
「そこで私は決心した。私と賢一の間で子供を作ってみようと」
「へえ、子供を作るねえ……って!? 子供を作るっ!?」
俺は驚いて叫んでしまった。
朱里と子供を作るってことは、ああいうことやこういうことをするってことで……!?
「幸い私は男性との経験はない。だから他の男の子種が混ざることはない。賢一、今すぐ子作りをしよう」
淡々と言うが、朱里の目は真剣だった。
「ちょっと待て!落ち着け、朱里!」
朱里は自分の服を脱ごうとするが、俺は必死にそれを止める。
「私では不満か?」
朱里が俺に聞いてくる。
いやいや不満なんて全然ありません! むしろ子作りするならしたいぐらいです!
だが俺は自分の最後の理性を総動員して朱里に言う。
「朱里の医学への探求心は分かったが、そんなに簡単に体を許すものじゃない! こういうのは気持ちがないとしちゃダメだ!!」
「それなら問題ない。私は賢一が好きだ。だから賢一と子作りがしたい」
朱里は照れることなく言い切る。
マジっすか!? これで結婚相手の候補が三人目!?
嬉しいけど、さすがにいきなりこんな展開はまずいだろ!
「いや、俺も朱里のことは嫌いじゃないけど、ここで妊娠しても今は戦争中だから朱里が身重になったらみんなが困るだろ?」
俺はもっともな言い訳を考える。
朱里と子作りなんて滅茶苦茶嬉しい展開だが、今はローラン帝国との戦闘中だ。
ここで医療班の朱里が妊婦になって戦線を離れたら大きな痛手だ。
「それもそうだな。華天国はこの戦に負けるわけにはいかない」
朱里はようやく服を脱ごうとするのを止める。
「賢一との子作りは戦が終わってからにしよう」
乱れた服を整えた朱里は何事もなかったかのような表情だ。
「賢一の服はここにある。体調が戻ったなら自分のテントに戻っていいぞ」
「分かった。ありがとう」
危なかった。もう少しで俺の理性が飛ぶところだった。耐えられたのはレンジャー訓練のおかげか?
俺も迷彩服を着てテントを出ようとする。
すると朱里が声をかけてきた。
「戦が終わったら子作りさせてもらうぞ。賢一」
そう言った朱里は魅惑的な笑みを浮かべている。
俺はその表情に胸がドキッとした。
「あ、ああ……戦が終わったらな」
俺は逃げるようにテントの外に出た。
正直まいった。
朱里も俺から見れば充分結婚相手の候補になる。
風花に春香に朱里……戦が終わったら俺はどうなるんだろう……。
そんなことを考えながら俺は自分のテントに戻って行った。




