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第2話 俺は異世界トリップしたようだ

「わっ!?」


 いきなりのことに俺は驚く。

 突然人が来たのにも驚いたが入って来た少女の容姿を見てさらに驚いた。


 歳は十代だろうけど、赤い髪に赤い瞳。

 髪は赤く染めていたとしても赤い瞳なんて見たことない。


 あ、もしかしてカラーコンタクトでもしているのか?

 いや、でもメガネをかけてるしメガネかけながらカラコンしてるのか?


 さらに服装もだ。

 RPGやファンタジーな漫画とかで着てそうな服装をしている。


 コスプレしてるのか?


「気が付いたようだな。私は朱里あかり、医者をしている。気分の方はどうだ?」


 朱里と名乗った少女は俺のベッドに近付くと俺の右手を掴む。

 俺は自分が裸だったこともあり毛布にくるまるようにする。

 ていうか、名前は日本人と同じようだな。


「大丈夫。ちょっと、脈を見るだけだ。うん?脈が速いな」


 それはそうだろう。密室で可愛い女の子と二人きりで俺はパンツ一枚なんだぞ。


「お、俺は藤枝賢一というんだが、俺の服は?」


「ふじえだけんいち?長い名前だな。長いから賢一と呼んでいいか?」


 長い名前?そうかな?

 まあ、別にいいけど。


「ああ、賢一でかまわない。それより俺の服は?」


「今、洗濯中だ」


 朱里は素っ気なく言う。


「洗濯中?」


「ああ。森の泥で汚れていたからな。汚れた服を着ていて傷口から菌が入ったら困るし」


 森の中? 

 都内の稽古場の近くの中華料理店で俺は中本先生と飲んでいたはずだ。


 そして帰ろうとしてお店を出て眩暈に襲われたんだ。

 だが、俺は森の中で倒れていた。どういうことだ?


 俺は自分の頬っぺたをつねってみる。


「痛い……」


 ということはこれは夢ではない。

 意識が飛んだあと、俺は朱里の言う森の中で倒れていたということだろう。


「あの、俺は本当に森の中で倒れていたのか?」


 俺は朱里に聞いてみる。

 朱里はメガネを手でくいっと上げると、俺をジッと見てきた。


 なんだ?俺の顔に何かついてるか?って言う前にこの朱里って娘、めっちゃ可愛い顔をしているじゃないか。


 俺は内心焦りまくる。


 24年の人生の中でこんな美少女にジッと至近距離で見つめられたことはない!

 付き合った奴は過去にもいたけど、これほどの奴じゃなかった。


「ふむ。お前をここまで運んで来たのは月治つきじ様と望海のぞみだ。頭以外に外傷はないがお前は闇族やみぞくのどこの村の者だ?」


「は?闇族?む、村?」


 朱里の言っている意味が分からない。


「俺は東京の練馬駐屯地にある第一普通科連隊所属の陸上自衛官だ」


「はあ?とうきょう?ねりま?そんな村の名前聞いたことないぞ。てっきり近くの闇族の村の者だと思ったが、お前の村は遠いのか?それにりくじょうじえいかんとはなんだ?」


「え……」


 朱里は真面目な顔で俺が横になっているベッドの側に椅子を置いて座った。

 そして俺をジッと観察をしている様子だ。


「本当に知らないのか?」


「初めて聞く」


「マジかよ……」


 さすがに俺も焦ってきた。


 東京を知らない日本人がいるか?

 日本にいて東京を知らない奴なんていないよな?と、いうことはここは外国か?

 いつの間に俺は外国なんて来たんだ?もしかしてテレポート?


 いや……………もしかして。


「すまん。ちょっと教えて欲しいんだがここは何という国だ?」


「お前、頭大丈夫か?ここは華天国かてんこくの華天国軍第二部隊の野営地だ」


 かてんこく……?

 そんな国地球上にあったかな。少なくとも聞いたことあるような国名じゃない。


「その……朱里さん。もう一つ聞きたいんだが朱里さんは日本って国知ってるか?」


 俺は僅かな希望を託して聞いてみた。


「にほん?そんな国は知らんな。少なくとも私の知識の中ではこの世界にそんな名前の国はなかったはずだ」


 やっぱりだ。

 考えたくはないけど、最近流行りの小説や漫画みたいに異世界にトリップしたらしい。

 そしてここは日本じゃない。っていうか地球でもない。


 異世界だ!


 異世界トリップものの小説は好きで読んでいたが、まさか自分が異世界トリップしたなんて………。

 ってことは、俺はこのままなのか!?帰れないのか!?


 俺、自衛隊を脱柵したことになるんじゃないのか!?

 特殊作戦群の試験を受けるどころかこのままならクビだぞ!!


 そうだ!そんなことよりも中本先生だ!!中本先生は一緒じゃなかったのか!?

 中本先生まで一緒にトリップしちゃったんじゃ………。


「あの朱里さん。俺の他に近くに倒れている人間とかいなかったですか?」


「いや。そんな話は月治様から聞いていない。どうもさっきから賢一の言動はおかしいな。余程頭を強く打ったとみえる」


 朱里は「ちょっと待ってろ」というと天幕を出て行った。

 俺は軽いパニック状態だったが自分に冷静になれと深呼吸を繰り返す。


 とりあえず異世界とはいえ言葉は通じるようだ。呼吸もできる。

 だがさっき朱里という少女はここは華天国軍第二部隊の野営地と言っていた。


 華天国という国がどういう国かは分からんが軍隊を持ってるということだ。

 これは迂闊なことを話すとどこかのスパイだと認識される可能性もあるから気をつけなければならない。


 そして俺をここに連れて来たのは月治という人物らしい。

 まずはその人物と会って話してみる必要がありそうだ。

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