タカシ君の事が大大大好きなマウスちゃんと素直になれないツンデレなスマホちゃん♡
※別名義で以前投稿した作品になります。
☆彡マウスちゃん
某大型量販店のワゴンセールで
売られてたコードレスマウス
スマホちゃん購入時に発生した
ポイントで購入されたので実質0円
タカシ君の事が好き
☆彡スマホちゃん
某大型量販店でマウスちゃんと
同じ日にタカシ君が購入されたスマートフォン
海外ITメーカーが開発した
5G対応の最新スマホ
タカシ君には手厳しいが、愛情の裏返し
☆彡タカシ君
やや内向的だが優しい大学生
マウスちゃんとスマホちゃんの持ち主
趣味はゲーム、アニメ、
ライトノベル、カードゲーム
外見はマウスちゃん曰く優しさが溢れてる
スマホちゃん曰く髪の毛を整えて
少し痩せればカッコいいかも
今は午後8時です。私は今日もタカシ君の帰りを待っていました。
ず~っとず~っと待っていました。だって私には待っている事しかできないからです。
すみません! 挨拶が遅れました。
こんばんは
はじめまして
私はマウスちゃんです。
タカシ君がお家で使っているパソコンのマウスです。
自分で『ちゃん』を付けるのも変かもですが
『マウス』だけだとネズミさんみたいなので
『マウスちゃん』って呼んでくれると嬉しいです。
タカシ君は私のご主人様で大学2年生、最近は履修科目が多くて大変みたいです。
でも今日は大学の用ではなく別の理由で遅くなってるようです。
その理由ですが……
ななな、なんとタカシ君に彼女さんができたかもしれないのです!
どうして彼女さんができたかもしれないのかっていうと
……ふふふふっ
昨日、あのタカシ君が新しい服と靴を買ったんですよ!
あ、タカシ君の普段を知らないですよね…… ごめんなさいです。
タカシ君は私がこの家に来てから新しい服を一着も買っていません。
いつも着てるネルシャツは襟がヨレヨレになってます。
ジーンズにも大きな穴が開いてます。
おしゃれで開けた穴ならいいですけど…… あれは多分違うと思います。
私はオシャレをしないからわからないですけど違うと思います。
そんなタカシ君がおしゃれをする理由は
彼女さんが出来たとしか思えないじゃないですか!?
彼女さん♪ 彼女さん♪ タカシ君の彼女さん♪
どんなひと? どんなひと?
私も会ってみたいです!
早くタカシ君の帰って来ないかな――!
なんてことを考えていたら……
私がドキドキしてきちゃいました。
でも私はマウスだからどこがドキドキしてるんですかね~?
故障かな~?
あ~~もうわかんないのです!
でも……本当はちょっと複雑なんです!
もうお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが
私がタカシ君の事が好きだからです!
大好きだからです!!
だから嫉妬します、嫉妬しちゃいますよ……!!!
今晩は、ヤケ酒ですよ~~! ムキ~~って!
でもマウスだからヤケ酒もできないですよ~
切ないです……
あ、廊下から足音がします。タカシ君の足音です!
毎日タカシ君の帰りを待っていたら足音を覚えてしまいました。
すごいですか? これは愛がなせる技ですよ! ふっふっふっ~♪
――ガチャ!
しまりの悪いドアが開きタカシ君がゆっくり部屋に入ってきました。
「おかえりなさい~タカシ君! 」
私の精一杯でタカシ君をお迎えします。
タカシ君には私の声が聞こえません。
「今日もお疲れ様です。いつもより疲れた顔してるけど大丈夫ですか?」
やっぱりタカシ君からは返事はありません。
でもタカシ君をお迎えるお嫁さんみたいですごくすごく嬉しいのです!
タカシ君はカバンを机の横に置き、薄手のジャンパーを脱ぎました。
そしてカバンからスマートフォンを取り出すと机の上にポンと置きました。
「あ、いた――! ちょっとタカシ! いつも丁寧に扱ってって言ってるじゃない!
また壊れたらどうしてくれるの!?」
スマートフォンはすごい剣幕でタカシ君を怒鳴りつけてます。
でもタカシ君からはやっぱり返事がありません。
「おかえり――スマホちゃん、大丈夫?」
「ただいまマウスちゃん、タカシったらデリカシーがないのよ! まったく……」
彼女の名前はスマホちゃん
スイカのマークでお馴染みの海外有名ITメーカーが開発した5G対応の最新スマホさん
高速処理、大容量、高画質写真、動画再生機能が彼女の自慢です。
「でもタカシ君はいつもはスマホちゃんのことを大切にしてるよね」
「当然よ! タカシはアタシがいないと何にもできないからね~!」
スマホちゃんはタカシ君に厳しいです。
でもそれはタカシ君の事を思ってのことです。
スマホちゃんもきっとタカシ君のことが……
「いいなぁ、スマホちゃんは…… いつもタカシ君と一緒で……
私はいつも家でお留守番だし……」
「良い事ばっかじゃないわよ~タカシったらすぐアタシを忘れそうになるし、
この前だって大学の先輩との飲み会で、飲み屋さんの机の上に私を忘れそうになったのよ!
もう……バカタカシ!」
「あれれ、それは大変だったね……タカシ君は酔っぱらってたの?」
「そうね、タカシは先輩に合わせてちょっと無理して飲んでたらから酔っぱらってたと思う。
アタシが飲み過ぎるな!って止められばいいのにね……」
スマホちゃんの表情はわからないけど、今きっと寂しそうな顔をしてますね。
私たちの想いをタカシ君に伝えられる方法があればいいのですが……
残念ですがありません。
……神様
……もしいらっしゃるなら
……たった一度だけでいいです
……私たちの想いをタカシ君に伝えてください
……お願いします
ん、そういえば……
私はようやく大切な事を忘れている事に気が付きました。
「聞くの忘れるところだった! ところで今日のタカシ君は……彼女さんはどうだった?」
今日大事なのはこっちです。タカシ君の彼女さんが出来た疑惑
果たして真相は如何に真相はいかに……
「あ~ごめん空振りだった。いつもの男メンツとカードゲームして終わり」
「そうなんですか……」(……よ、よかった!)
すごく残念な反面、それ以上に喜んじゃってるマウスちゃんです……
う~う~う~ちょっと嫌です。ごめんなさいタカシ君
「友達に服がヨレヨレなのを言われて仕方なく新しいのを買っただけみたい……
昨日、服と靴を買いに行った時アタシも勝手に舞い上がっちゃって、
ごめんねマウスちゃん!」
昨日スマホちゃんがタカシ君に彼女さんができたかも~って言ったところから
タカシ君に彼女さんできた疑惑は始まりました。
私達は恋愛経験がないから分からなくて、勝手に決めつけてました。
すみません反省します。
「スマホちゃんのせいじゃないよ。私もその……彼女ができたものだと思ってたし…… 」
「じゃあ、おあいこで!」
「うん!スマホちゃん……でもいつかタカシ君にも彼女が出来るよね!? 」
「タカシはバカだけど優しいからきっと好きなってくれる女の子がいるわ! 」
「ですよね!ですよね! スマホちゃん私もそう思います! 」
「アタシね自分の性能をフルに使ってタカシの初デートをエスコートするのが夢なんだ!
それでねタカシにいっぱいいっぱい幸せなってもらうの!」
今のスマホちゃんはきっとキラキラしています。
その真っ直ぐな想いはとてもとても眩しいのです!
「マウスちゃんの夢は?」
「私はスマホちゃんみたいにタカシ君の役には立てないけど、
一日でも長くタカシ君のそばにいることかな」
私は消耗品なのでいつか壊れてしまいます。
せめて一日でも長くタカシ君の……大好きな人のそばにいたいのです!
「マウスちゃんったら本当に一途だな~ かわいい!」
「スマホちゃんも同じだよ~!」
「ア、アタシは、スマホとしての役目よ……役目! ふ……普通の事でしょ」
素直じゃないスマホちゃん、そんなところがかわいいのです。
その後タカシ君が部屋に戻ってくるまで、私とスマホちゃんはずっとお喋りをしてました。
タカシ君には私たちの声を届かないけど、いつか私たちの想いが届いたら嬉しいのです。
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