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透明色  作者: 神木駿
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日常の色

次の日、僕はいつもと同じ時間に家を出て学校に向かった。いつもと同じように満員電車に乗って学校のある水野駅で降りいつもの通学路を通って校門をくぐり教室へと向かった。教室に入ると


「おはよう」


声をかけてくれたのは彼女だった。僕はいつも教室に入るのは一番だったので声をかけられてびっくりした。


「おはよう、今日は早いね」


「宿題するの忘れちゃって学校来たら誰かいるかなーって思って早く来てみたんだ。けど早すぎて誰もいなかった」


「そっかいつも僕が一番に来るからびっくりしたよ。それより宿題って何か出てたっけ?」


「数学の宿題が出てたよ。もしかして寝ちゃってて聞いてなかったの?」


「かもしれないどうしよ早くやらなくちゃ」


昨日のんきにテレビを見ている場合じゃなかった。


「じゃあ一緒にやろうよ」


僕は彼女と一緒に問題を解き始めた。


朝のホームルームの時間が近づき教室の中にみんなが集まり始めたころ


「終わったー」


二人同時に声を出し何とか一時間目の数学に間に合わせることが出来た。


「良かった。星月さんがいなかったら宿題やらずに一時間目受けるとこだった」


「わたしも一人だったら一時間目間に合わなかったかもありがとう」


「こちらこそありがとう」


そう言って僕は自分の席に戻りホームルームに出た。一時間目の数学では昨日寝ていたのがばれていたのかどうかわからないが先生に指された。朝宿題をしていなかったらと思ったら心臓がバクバクしていた。


何とか無事乗り越えたが次からは寝ないでちゃんと授業を受けようと思った。


その日の放課後僕は彼女にお礼がてら挨拶をして帰ろうと思い、彼女の方を見たが友達としゃべっていたので邪魔しないように帰ろうと教室を出ようとした。だけど後ろから


「水篠君またね」


僕は振り返って


「うん、またね」


と小さく手を振り教室を後にした。彼女の友達からは水篠と仲良かったのなんて声が聞こえてきたが彼女の答えは聞こえなかった。


彼女以外の人は色を視れば僕のことをどう思っているか分かってしまう。だから敵意や悪意を持った人を避けながら生きてきた。けど彼女の色は透明で色が無いから彼女がどう答えたのか少し気になった。


廊下を進んでいると、背は小さいのにものすごく明るくてはっきりした色を持った女子が向こうから歩いてくる。


『秋人と同じくらい明るいな』


と思いながらその女子を見ていたら


「えっと何か用ですか?」


といきなり言われたので


「あ、いや、何でもないですごめんなさい」


だいぶ挙動不審な返し方をしてしまった。その女子は不思議そうな顔でこっちを見たが、すぐに僕の後ろに向かって歩いて行った。


『変なやつだと思われたかな?』


そう思いながら歩き出した。色が視え始めたころは色をよく視ようと人のことを見すぎてしまうことが多々あった。しかし最近は視慣れてきて少し視ただけで色の判別ができるようになってきていたから、そこまで人のことを見ることが無かった。


今回は秋人と同じぐらい明るくてはっきりした色だったから珍しいなと思って視すぎてしまった。高二にもなって変な噂が広まるのは嫌だから気を付けないと。秋人が入っているサッカー部が走っているのを横目に見ながら僕は校門を出た。

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