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CHU♡LA Beach Garden LOVE

作者: ケーズKS

◇登場人物


ヒーロー・宜保琉生(ぎぼりゅうせい・25歳)

ヒロイン・砂川美海(すながわみう・24歳)

CHU♡LA Beach Garden店長・仲村渠雄大(なかんだかりゆうだい・47歳)

CHU♡LA Beach Garden副店長・新垣夕凪(あらがきゆうな・35歳)

アトリエNARUMI社長・上江洲成巳(うえずなるみ・53歳)

アトリエNARUMI先輩リーダー・藤堂篤志(とうどうあつし・30歳)

アトリエNARUMI女性先輩・福田衣織(ふくだいおり・27歳)

なかまクリニック院長・仲間大雅(なかまたいが・43歳)

なかまクリニック先輩・比嘉琴乃(ひがことの・27歳)

Club JOKERキャバ嬢・リラ(23歳)

Club JOKERキャバ嬢・カノ(21歳)

CHO-TSU Nature店長・具志堅晴次(ぐしけんせいじ・31歳)

Bar.栄店長・外間幸栄(ほかまこうえい・31歳)

琉生の父・宜保晋一(ぎぼしんいち・55歳)

琉生の母・宜保由紀乃(ぎぼゆきの・51歳)

琉生の弟・宜保達郎(ぎぼたつろう・22歳)

琉生の妹・宜保詩(ぎぼうた・20歳)

琉生の母方オジー・平良照義(たいらてるよし・享年81歳)(回想、遺影のみ登場)

琉生の母方オバー・平良エツ子(たいらえつこ・78歳)

美海の父・砂川暁(すながわさとる・46歳)

美海の母・砂川那美(すながわなみ・46歳)

美海の妹・砂川碧(すながわあおい・19歳)


◇登場人物端役


◎CHU♡LA Beach Garden

上原(うえはら・30代男性従業員)

池間(いけま・20代女性従業員)

波名城(はなしろ・20代女性バイト先輩)

松田(まつだ・20代女性バイト後輩)


◎沖縄県立芸術大学

与那覇(よなは・男性友人)

島袋(しまぶくろ・男性友人)

當間(とうま・50代男性ゼミ教授)


◎沖縄歯科衛生士学校

仲宗根(なかそね・女性友人)

前川(まえかわ・女性友人)

仲田(なかた・女性友人)

安仁屋(あにや・40代女性担任先生)


◎アトリエNARUMI

岡田(おかだ・40代男性専務)

服部(はっとり・40代男性常務)

西原(にしはら・20代男性先輩)

上岡(かみおか・20代男性先輩、後異動)

菅(すが・20代女性先輩、後退職)

佐々木(ささき・20代男性後輩)

成田(なりた・20代女性後輩)


◎なかまクリニック


宮里(みやざと・30代女性先輩)

又吉(またよし・30代女性先輩)

宮平(みやひら・30代女性先輩、後結婚退職)

儀間(ぎま・20代男性先輩)

上地(うえち・20代女性後輩)


◇登場人物の性格等について


◎ヒーロー・宜保琉生(ぎぼりゅうせい・25歳)

那覇市出身でオリオン座の輝く12月生まれ。器用で優しく包容力もあるが一人の時間も大切にする傾向もある。元野球部(ポジションはセンター)で開邦高校卒。運動神経もあり、成績もわりと優秀である。宮古島で単身赴任中の父とあまり仲良くない。


◎ヒロイン・砂川美海(すながわみう・24歳)

宜野湾市出身で沖縄では梅雨明けする6月生まれ。おっちょこちょいだけど芯が強く一途。人を信じやすいところがある。家族と仲が良い。元陸上部(短距離)で中部商業卒。


◎CHU♡LA Beach Garden店長・仲村渠雄大(なかんだかりゆうだい・47歳)

明るい性格で歳にあわずわりとミーハーである。店名CHU♡LA Beach Gardenは開店当時小学生だったJKの娘の案をもとに名付けられた。店は今年で7年目。娘はこの作品には登場しない。


◎CHU♡LA Beach Garden副店長・新垣夕凪(あらがきゆうな・35歳)仲村渠が立ち上げたCHU♡LA Beach Gardenに立ち上げ当初から在籍してる唯一の人物である。二人の息子の関係で休みをとる事も多いが、姉御気質で相談役に乗る事も多く、琉生や美海がバイトで在籍してた時は慕われていた。


◎アトリエNARUMI社長・上江洲成巳(うえずなるみ・53歳)

沖縄の高校卒業後、大阪の大学に行きそのまま大阪のデザイン会社に就職。就職して5年ほどで退職し、大阪でデザイン会社アトリエNARUMIを立ち上げる。会社を立ち上げて25年で新社屋創設5年。渋い口調で沖縄弁と関西弁混じりに話すのが特徴。渋く見られがちだが結構おしゃれに気を遣っていておもしろい性格である。


◎アトリエNARUMI先輩リーダー・藤堂篤志(とうどうあつし・30歳)

琉生が所属する部署のリーダー。ややプライドが高く人によって態度を変える傾向が少し見えるが、琉生の事は非常に買ってる。キャバ嬢二人の前では知的で口達者なように振る舞う。4月から別部署から異動してきた福田にも好意を抱く。


◎アトリエNARUMI女性先輩・福田衣織(ふくだいおり・27歳)

琉生が所属する部署の女性先輩。4月から別部署から異動してくる。しっかり者で愛想も良く藤堂に好意を持たれている。一方、本人は琉生に好意を抱き、琉生が彼女(美海)が居る事を知ったり、その話を盗み聞きすると妬いてしまう場面も。


◎なかまクリニック院長・仲間大雅(なかまたいが・43歳)

高校卒業後、名古屋の大学で歯学を学びそのまま名古屋で就職。7年間名古屋の歯科で働いてたが、退職して沖縄に戻り、なかまクリニックを立ち上げる。明るい性格で学生時代は美海同様陸上部に所属していた。


◎なかまクリニック先輩・比嘉琴乃(ひがことの・27歳)

美海が特に世話になってる先輩。優しく気遣い屋、心配性な一面がある。若くして結婚し、幼稚園に通ってる娘が1人いる。


◎Club JOKERキャバ嬢・リラ(23歳)

あざと可愛い性格で藤堂をその気にさせ、藤堂に特に気に入られてる。


◎Club JOKERキャバ嬢・カノ(21歳)

ボーイッシュでさばさばした性格。リラとは違ったタイプだが、リラ同様藤堂に気に入られてる。  


◎CHO-TSU Nature店長・具志堅晴次(ぐしけんせいじ・31歳)

パリピっぽい風貌と言葉遣いでチャラく見られがちだが、自らアパレル店CHO-TSU Natureを立ち上げるなどこれと決めた事には一本義がある。Bar.栄店長外間と幼なじみ。エッチ目的で美海をナンパする。


◎Bar.栄店長・外間幸栄(ほかまこうえい・31歳)

CHO-TSU Nature店長具志堅と幼なじみ。名古屋の名古屋のバーで2年修行後、沖縄に帰省しバーを立ち上げた。キレると怖そうなオーラもあるが、普段は落ち着いた性格。愛妻家で子煩悩である。


◎琉生の父・宜保晋一(ぎぼしんいち・55歳)

やや厳格な性格だが、学生時代は野球部(ポジションはショート)で多くを語るタイプではないが風格があってモテた。銀行員で当時同じ職場で働いてた妻・由紀乃にアピールされた。琉生が大学生になった年から勤務先の関係で宮古島で単身赴任中。支店長をしている。琉生とあまり仲良くない。


◎琉生の母・宜保由紀乃(ぎぼゆきの・51歳)

旧姓平良。おしゃべりで世話好きな性格。若い時はわりとミーハーな一面もあった。学生時代はバドミントンをしていた。弟が二人居るが、二人の弟は親元を離れたのもあり、由紀乃がオバー(亡くなる前のオジーとも)と共に暮らしている。


◎琉生の弟・宜保達郎(ぎぼたつろう・22歳)

琉生に比べたら不器用な一面もあるが、優しい性格で大学に入るとおしゃれにも目覚め始めた。兄琉生と同じ開邦高校に進学後、福岡大学に進学し、親元を離れる。沖縄空手をしていた。


◎琉生の妹・宜保詩(ぎぼうた・20歳)

年頃で少し強がりな一面もあるが、好きな人、物に対しては結構一途である。小禄高校卒業後、沖縄大学に進学し栄養士を目指している。母同様、中学、高校はバドミントン部だった。


◎琉生の母方オジー・平良照義(たいらてるよし・享年81歳)(写真、遺影のみ登場)

沖縄戦争経験者。若かりし頃は電力会社で働いていた。口数はやや少なめで優しい一面もあるが、発した言葉には重みがあり、取っ付きにくさを感じさせるところもあった。


◎琉生の母方オバー・平良エツ子(たいらえつこ・78歳)

優しくて涙もろく、ややお節介な一面もあるが、琉生を含め孫三人から非常に慕われてる。沖縄民謡を趣味で習ってる。


◎美海の父・砂川暁(すながわさとる・46歳)

優しくて気さくな性格。旅行や食べ歩きが好みで娘の美海や碧と三人でスイーツ食べに行く事もある。沖縄市のビジネスホテル勤務。


◎美海の母・砂川那美(すながわなみ・46歳)

少し気が強くざっくばらんな性格だが美海や碧が岐路に立ってる時はわりと背中を押してくれる。暁とは同級生で宜野湾市内の同じ中学校に通い、同じ陸上部で短距離をしていた。口喧嘩になると夫の暁より強い。


◎美海の妹・砂川碧(すながわあおい・19歳)

おしゃべりな性格でツボにはまるとしゃべりながら笑ったりすることろも結構ある。姉美海と同じ中部商業に通ってて陸上部で中長距離をしていた。現在は美容師を目指し専門学校に通っている。家族仲は良いがどちらかというとファザコンである。


◇あらすじ


1-1・~二人の出会いから学生生活卒業まで~


沖縄で生まれ育ったデザイナーの宜保琉生(ぎぼりゅうせい25歳・当時21歳)と歯科衛生士の砂川美海(すながわみう24歳・当時20歳)は、琉生が那覇市内の沖縄県立芸術大学3年、美海が浦添市内の沖縄歯科衛生士学校2年の時に北谷のビアガーデン付きレストランCHU♡LA Beach Gardenのアルバイトで知り合いました。

琉生は沖縄県立芸術大学1回生の夏休みからCHU♡LA Beach Gardenでアルバイトしており、琉生のアルバイト出勤日はだいたい火、金、土の週3日。

出勤日はだいたい店長の仲村渠雄大(なかんだかりゆうだい当時43歳)、副店長の新垣夕凪(あらがきゆうな当時31歳)、上原(30代男性従業員)、池間(20代女性従業員)、波名城(20代女性バイト先輩)が一緒に切り盛りしていました。

そして、琉生が3回生になった春、おっちょこちょいだけど芯が強く一途な沖縄歯科衛生士学校2年になったばかりの美海が入店してきます。

そんな美海は、入店したての頃、お客さんからの注文をミスしてしまい、違うメニューを持ってきて怒られたところを、アルバイト3年目の琉生が代わりに謝罪し、ミスした美海を庇いました。これが二人の出会いの始まりでした。

これをきっかけに一つ年上で何でも器用にこなし、包容力のある琉生に惹かれて積極的に琉生にアピールし、琉生もその美海のひたむきさに心を打たれてしだいに二人の距離は縮まりました。そして、知り合って約3ヶ月後の7月、バイトにも少しずつ慣れてきた美海は店長の仲村渠と副店長の新垣に相談します。

美海「相談に乗ってほしいのですが。」

仲村渠「何さ?思ってる事あったら言ってほしいさ。」

美海「実は私好きな人が居て。」

新垣「誰さ?もしかして宜保くん?」

美海「そうです(恥ずかしがりながら)。」

新垣「美海ちゃんが宜保くんに話かけてるのよく見るからなんとなく感じてたさ。」

美海「好きなら私から言っても良いですか?それとも女は待つべきですか?」

仲村渠「好きと思うなら自分からいくのも良いさね。女の子であってもさ。」

新垣「そうさ。積極的にいく女の子を好む男性だって居るさ。女の子はおとなしくなんて考え方は古いさ。宜保くん優しいから彼女いないならOKするんじゃない?」

仲村渠「例え振られても俺たちがどうにかするさね。なんくるないさ~。」そして翌日の土曜日、店長の仲村渠と副店長の新垣に背中を押された美海はバイト後に琉生を美浜サンセットビーチに連れ出します。

美海「宜保さんちょっとビーチまでついてきてもらって良いですか?」

琉生「良いよ。でも何さね?ちょっと気になるさ。」

と琉生は戸惑いながらも美海の後ろについて行き、美海は人気の少なくなった夏のビーチの星空の下で琉生に告白。

美海「私ここでバイト始めた時から宜保さんに憧れて今までずっと好きでした。良ければ私とお付き合いしてください。」

琉生「ビーチに俺を呼んだのその事だったんだ。うん、俺も美海ちゃんが入った時から積極的に話しかけてくれる美海ちゃんをずっと愛おしく思ってたさ。俺で良ければよろしく。」

と、琉生も美海の告白にOKして、二人は付き合う事になりました。

そして、美海は琉生が出勤しない月曜日にバイト出勤した時、店長仲村渠と副店長新垣に報告。

美海「店長、夕凪さん。宜保さんに告白して付き合う事になりました!」

仲村渠「そうか、良かったさ。やっぱ女性からも積極的に言ってみるもんだな。」

新垣「そうさ。宜保くんきっと美海ちゃんの事大事にするだろうし、ちばりよ!私応援してるさ。」

美海「ありがとうございます!」

と二人も祝福してくれました。

二人がデートするのはだいたい土曜日のバイトが終わった翌日の日曜が多く、美ら海水族館や浦添PARCOや国際通り、カラオケなどといったデートを楽しみ、自分の時間を大切にする傾向にある琉生は時々、束縛心の強い美海を少し煙たがりながらもわりと順風満帆に交際を重ね、告白当時はまだ知り合って3ヶ月程度で宜保さん、美海ちゃんと呼び合ってた二人も、気づけばりゅうちゃん、美海と呼び合うようになりました。

それまでは原付でバイト通いしてた美海も、琉生の中型バイクの後部座席に乗せてもらってバイト出勤やデートをするようになり、バイトのシフトも琉生と全く同じ日になり、CHU♡LA Beach Garden公認カップルとなりました。

そして、オリオン座の輝く12月に入り、琉生は21回目の誕生日を迎えます。

琉生はバイト先のCHU♡LA Beach Gardenで祝ってもらい、この日は副店長の新垣が子どもの幼稚園の関係で不在だったものの、美海や店長の仲村渠を始め、バイト仲間にケーキやご馳走で祝ってもらい、

仲村渠「ギーボー(琉生の苗字宜保を伸ばして)、美海ちゃんとも交際半年になるな。結婚とか考えてるの?」

琉生「店長やめてくださいよ。みんなの前で。まだ学生ですよ(苦笑い)。」

仲村渠「アハハ、そうだな。」

美海は恥ずかしそうにはにかみますが、その場には笑顔が巻き起こりました。

そして、宴会も終わり、琉生と美海はサンセットビーチに出ると、

美海「りゅうちゃん、改めてお誕生日おめでとう。」

と、美海は琉生にグレーのマフラーをプレゼント。

そして、

美海「りゅうちゃん、巻いてみてよ。似合うかな?」

琉生「ありがとう、どうかな?」

美海「似合うよ、りゅうちゃん。」

琉生「美海と付き合って初めての誕生日さね。大事に使うさ。」

と言い、琉生と美海はオリオン座の輝く12月のサンセットビーチでキスしました。

そして、さらに時は過ぎ、琉生の弟・達郎(たつろう当時18歳)は福岡大学に進学する事になり、実家を出る事になります。

琉生は元々母方のオジー・平良照義とオバー・平良エツ子、父・晋一、母・由紀乃、妹・詩と達郎も入れて7人家族でしたが、オジー照義は昨年81歳で他界し、父晋一は働いてる銀行の関係で支店長として宮古島の単身赴任のため、現時点では5人暮らし。

そして、達郎が家を出るため、

オバーエツ子「たっちゃん大学進学はめでたいけど、てるちゃん(オジーの呼称)は逝ってしまって晋一さんも宮古に行って、どんどん家族が減って寂しいさ。いずれはりゅうちゃんも詩ちゃんも出ていってしまうさ。」

としみじみ語っていました。

妹・詩「オバーの気持ちもわかるさ。たつにいにいが出てりゅうにいにいもいずれ出ていくかもしれないけど、私はもちろん、たつにいにいもりゅうにいにいもずっとオバーの味方さ。」

と言い、詩とオバーはハグし合いました。

そして、達郎は父晋一を除く家族に見送られて福岡へ旅立ち、琉生は大学4回生、美海も歯科衛生士学校3年となり、ともに就職活動を迎えます。琉生は大学の友人与那覇や島袋と、美海は専門の友人仲宗根や前川、仲田とともに行動し、就職の事や互いの事でキャンパス内で談笑していました。

そして、バイト先のCHU♡LA Beach Gardenには松田という女性の後輩が入り、去年入店した美海も先輩になりました。

とある日、琉生はいつものように美海をバイクの後部座席に乗せて深夜バイトから帰る時、

美海「りゅうちゃん就活どう?」

琉生「一応デザイナーになりたいって考えはあるさね。でもまだこれといった会社には出会えてないさ。」

美海「そうだよね。私は歯科衛生士の専門行ってるから歯科衛生士しか選択肢ないけど、どこのクリニックで仕事するかってところかな。ねえ、りゅうちゃんは就職先によっては沖縄から出たりとかするの?」

琉生「わからない。この人についていきたいと思える会社があれば沖縄から出る可能性もあるさね。」

美海「そっか。」

美海は琉生の沖縄から出る可能性を示唆する言葉に対し、琉生のバイクの後部座席で寂しげな表情を浮かべていました。

美海は自宅前まで琉生に送ってもらった後、

美海「ありがとうりゅうちゃん。おやすみなさい。」

と言い、

美海「ただいま。」

と帰宅すると、遅い時間にも関わらず妹・碧(当時高校1年)が起きていて、

妹・碧「ねえねえ、お帰り。」

美海「あおまだ起きてたの?」

妹・碧「うん、今日はパパもママも居ないからつい友達と長電話しちゃって。」

美海「もぉ!(呆れ気味に)」

そして翌日、父・暁と母・那美が旅行先の宮崎から帰宅しました。

妹・碧「お帰り!パパ、ママ。」

父・暁「ただいま。美海と碧に土産買ってきたさ。」

妹・碧「ほんとさ!すご~い、いっぱい!」

母・那美「もうパパは子供みたいにいろんなものに目移りしちゃってね。」

と呆れ気味だったものの、家族4人で和気あいあいとした雰囲気でした。

ところが、美海は少し元気なさそうに映ります。

父・暁「美海どうしたさ?元気ないさね。」

美海「ちょっとりゅうちゃんの事で。りゅうちゃんに就職したら沖縄から出るか聞いたら、この人と思える人が居る会社に出会えたらその可能性はあると言ってたさ。彼女としてりゅうちゃんの事はでーじ応援したいけど、私は沖縄で就職するつもりだし、遠距離って考えると切なくて。」

父・暁「美海の気持ちもわからなくもないけど、遠距離になったからって琉生くんはきっと美海の事は捨てたりしないさね。俺が見る限り琉生くんはそんな人には見えないさ。」

妹・碧「そうさ。りゅうちゃんバイトの時とかいつもねえねえを送り迎えしてくれてるんでしょ?もし何かあっても私達家族はねえねえを応援してるさ。」

母・那美「美海も就職する時はここを出るか知らないけど、何かあったらいつでも言ってきたらいいさね。」

と家族皆が美海を後押しし、美海と妹碧は抱き合って一緒に泣いていました。

そして、お互いの就職活動も本格的になり、琉生は大学のキャンパスで大阪に本社を置くデザイン会社のアトリエNARUMIの求人が目に止まります。

デザイナー志望の琉生にぴったりの職種で、社長は沖縄県豊見城市出身で大阪に出て独立後、アトリエNARUMIを立ち上げた上江洲成巳(うえずなるみ・当時50歳)。

沖縄から大阪に出て会社を立ち上げた上江洲社長の生きざまを聞いてみたいと思った琉生は第一志望をアトリエNARUMIに絞り込み、書類選考などを突破して大阪の本社で上江洲社長の最終面接を受ける事になりました。そして、那覇空港から関西国際空港に飛び立ち、大阪市内のホテルに泊まって翌日アトリエNARUMIの本社へ。

琉生「失礼します。」

会議室のドアを開け、上座には社長の上江洲が座っていました。

上江洲「わが社を志望した理由は?」

琉生「はい、僕は沖縄から来ました。大学でデザインの勉強をしていてそれを活かせる仕事がしたいと思ったのと、上江洲社長も沖縄から大阪に出てデザイナーとして成功されたとの事で、同じ沖縄県民として上江洲社長の生きざまなども間近で感じてみたいと強く思い、御社を志望させていただきました。」

(二人の面接は続き…。)

上江洲「実は私も沖縄から大阪に出た人間として沖縄県民の後輩がいつか入ってきてもらいたいと思っててね。それで初めて今年沖縄に求人出したんやけど、宜保くんの熱意がはっきりと伝わってきたさ!来年から一緒に頑張ろう!」と内定を匂わせる発言し、

琉生「ありがとうございます。」

と言うと、上江洲社長は満面の笑みでうんと頷き、一週間後、琉生の実家にはアトリエNARUMIからの内定通知が届きました。

この日、バイトのない琉生は大学から帰宅すると、

母・由紀乃「りゅうちゃん内定通知届いてたさ。」

琉生「ほんと?でも母さん勝手に封開けないでほしいさ。俺が自分で開けたかったさ。」

母・由紀乃「ごめん、でもそれなら来年からりゅうちゃん大阪で暮らすの?」

琉生「そうさ。まあ美海の事考えたら遠距離になるけど、社長の上江洲さん沖縄から大阪に行ってこの会社作った人だし生きざまを間近で感じたいって思ったさね。」

そして、妹・詩も高校から帰宅し、オバーエツ子も居間にやってきます。

妹・詩「りゅうにいにい内定もらったの?おめでとう!」オバーエツ子「りゅうちゃんおめでとう。でもやっぱりりゅうちゃんまでいなくなるのは寂しくなるさね。」

琉生「ありがとう。オバーも詩も。でもまたオバー寂しくなるとか言ってるさね。達郎の時も言ってたし。」

と来年から琉生が大阪に行く寂しさも持ちながらも、この日は内定もらった事を祝い、父晋一と弟達郎を除いた一家でオードブルを食べました。

そして食後、琉生は亡くなったオジー照義の遺影を見つめて仏壇に手を合わせ、琉生「オジー、内定もらったよ。来年から大阪行くけどこれからも俺の事空から見守ってほしいさ。」と心の中でつぶやきました。

一方の美海はというと、歯科衛生士学校に通ってるため、歯科衛生士になるのが既定路線ではありますが、内定通知が出なかったり職場環境で折り合わなかったりなど悪戦苦闘していました。

校内では友人にも、

美海「県内で良いクリニックなかったら沖縄から出る事も考えてるさ。」

と打ち明ける程にまでなっていましたが、専門の求人で那覇市にあるなかまクリニックの求人に目が止まります。

そのクリニックは院長・仲間大雅(なかまたいが・当時40歳)で設立10年とわりと新しく若いスタッフが活躍中と書いており、数日後、美海はなかまクリニックの面接を受ける事になります。

仲間「このクリニックを選んだ理由は?」

美海「はい。まだ設立して10年と若く、仲間院長をはじめ若いスタッフが活躍中というキャッチコピーに目が止まりました。また、人数もわりと少数なので一致団結しやすいのではないと考えております。」

(しばらく面接続く…。)

仲間「砂川さん、学生時代何か部活動はしてたの?」

美海「はい、私は陸上をしてて短距離をしていました。高校3年の時にはインターハイにも出場し、そこでは結果を残す事はできませんでしたが、父も母も学生時代は陸上部で、妹も現在高校で陸上部で中長距離をしていて陸上一家です。」

仲間「そうか。実は僕もね、学生時代陸上やってて走り幅跳びやっててインターハイ出場した事あるさ。同じ陸上なら仕事でも何か通じ合うものあるかもしれないしさ、家族皆陸上やってたなら体育会系で根気強さもあると思うさね。1月から研修で来てもらって、4月から正式な歯科衛生士として働きませんか?」

美海「ありがとうございます!是非、よろしくお願いします。」

こうしてアトリエNARUMIから内定をもらった琉生に続き、美海も4月(1月から研修生)からなかまクリニックで働く事になりました。

それに伴い、琉生と美海は二人そろって12月でCHU♡LA Beach Gardenのバイトを辞める事になりました。

最終日には皆で琉生と美海の送別会を開き、仲村渠「ギーボー、美海ちゃんお疲れ。このバイトで出会った二人で揃って辞めていくのは寂しいさね。でもギーボーは4年、美海ちゃんは2年間一緒に頑張ってくれて感謝してるさ。ありがとう。」

と言い、送別会終わって帰る頃には、新垣「宜保くん、美海ちゃん、辞めても決して他人とかじゃなく、何かあった時はいつでも連絡してほしいさ。それじゃあ元気でね。」

と言い、送り出してくれました。そして、3月に入り卒業式。

琉生はゼミの担任だった當間教授から、美海はクラスの担任の安仁屋先生から卒業証書とはなむけの言葉をもらい、琉生は友人の与那覇や島袋らと、美海は仲宗根や前川、仲田ら友人と最後の時間を分かち合い、学舎を後にしました。

それぞれ家族からもお祝いされ、琉生は福岡にいる弟達郎からもLINEで、

弟・達郎「にいにい卒業おめでとう。これから大阪行ってもにいにいのペースで頑張って。」

と言われ、琉生「ありがとう、達郎。お前も福岡での生活はどうさね?お互い体壊さんようちばっていこうや!」

と返信しますが、父晋一からは、

父・晋一「琉生卒業おめでとう。」

とLINEは来るものの、達郎の時とは違って何も返信しませんでした。

そして、4月から社会人になるに伴い、琉生は大阪、美海は那覇でひとり一人暮らしを始める事になります。

美海は宜野湾の実家から那覇市内のアパートに引っ越し、父暁、母那美、妹碧も手伝いに行き、

妹・碧「ねえねえ実家から出るの寂しいけどいつでも帰ってきてね。私もねえねえのとこ行ったりして良いかな?」

美海「うん、いつでも帰ってくるしあおもパパもママもいつでも来てほしいさ。」

と言い、美海と妹碧は涙目になりながらハグし合いました。

数日後には琉生も沖縄から大阪に旅立ち、母由紀乃、妹詩、オバー平良エツ子が玄関前で見送りましたが、空港までの見送りは拒否し、琉生はスーツケースを持ってタクシーで那覇空港へ。

那覇空港には那覇への引っ越しを終えた美海が琉生を見送りに来ます。

美海「りゅうちゃん、これから離れ離れになっても私達ずっと繋がっているよね?」

琉生「ああ。離れても美海にLINEするし時間ができたらいつでも沖縄に帰ってくるさ。」

と言い、琉生は美海のおでこにキスし、そして、二人は抱き合い、再度二人はキスして琉生は関西国際空港行きの飛行機で大阪へ旅立ちました。


1-2・~社会人1年目、2年目~


4月に入り、琉生は大阪のアトリエNARUMIの正社員、美海も1月から研修生として働いていましたが、4月から正社な歯科衛生士としてなかまクリニックで働く事になりました。

琉生が配属された部署にはリーダーの藤堂篤志(とうどうあつし・当時28歳)、西原、上岡、女性の菅といった先輩が居て、さらにトップでは社長の上江洲をはじめ専務の岡田、常務の服部らが在籍。美海の職場には就活の面接でも担当だった仲間院長中心に宮里、又吉、宮平、男性歯科衛生士の儀間、そして後に美海が最もお世話になる比嘉琴乃(ひがことの・当時25歳)といった先輩が在籍していました。

歯科衛生士の美海はちょくちょくミスをしながらも真面目で頑張り屋なところ先輩にも受け入れられ、仕事以外のプライベートな時間もわりとあり充実した生活を送っていました。

特に美海の教育担当もしてた比嘉は、1人暮らしを始めた美海に食事面でもアドバイスしてくれたり、琉生との遠距離恋愛の事も相談に乗るようになりました。

一方の琉生は新人の時から仕事も出来て出世もわりと早いものの、多忙で深夜残業も多く、なかなかプライベートな時間を持つ事ができないでいました。

そんな琉生はある日、社長の上江洲に社長室に呼ばれます。

上江洲「宜保くん、今日社長に来てくれへんか。」

琉生「えっ!?僕が何かしたのでしょうか?」

上江洲「いや悪い話やないからあまり深く考える必要はないさね。」

と沖縄弁と関西弁を交えて言い、琉生は仕事が終わって社長室に行きます。

琉生「失礼します。」

上江洲「うん。宜保くんうちの社員と働いて3ヶ月ほど経つけどどうや?」

琉生「はい、覚える事もたくさんあって大変ですが、会社の雰囲気にも慣れ、リーダーの藤堂さんをはじめいろんな先輩方に支えられて頑張ってます。」

上江洲「うん。私も社会人なりたての頃は宜保くんと同じような心境でさ…。」

(二人の話は続く…。)

上江洲「テレビとかで沖縄から内地に出て活躍してるウチナンチュに憧れて私も沖縄から出てきて、7年サラリーマンとして働いてこの会社立ち上げたんやけど、ウチナンチュが1人も入社しなくてさ、それで私のような志を持ったウチナンチュに入ってきてもらいたい一心で初めて故郷沖縄の大学に求人を出したさ。そしたら宜保くんが上江洲社長の生きざまを肌で感じたいと志望してくれて、宜保くんがうちの会社のウチナンチュ第1号さね。」

その後も話は続き、上江洲は社長室の隅に忍ばせておいた泡盛とサーターアンダギーを琉生にも差し出して自分の生きざまなどを琉生に語り、

琉生「社長、今日はありがとうございました。より一層頑張ろうという意欲がさらに湧いてきました。それでは失礼します。」

と言い、琉生は社長室を後にしました。

そして、琉生と美海の社会人1年目の仲はというと、琉生は美海に会いたい一心で時間があれば沖縄に帰り、美海が沖縄から大阪に行く事もあったりし、美海が大阪に来た時はUSJや甲子園球場での阪神✕巨人戦の観戦もしました。

美海「りゅうちゃん甲子園連れて行ってくれてありがとう。球場での野球観戦も楽しいね。」

琉生「うん、大阪に来たからには一度甲子園行ってみたかったさね。巨人ファンだけど今日は阪神応援しちゃったさ。」

美海「ところでりゅうちゃんは野球してたのに何で野球辞めちゃったの?」

琉生「ああ、ちょっとね。肘壊しちゃってね。プロ行きたかったけどあれで無理だなって思ったさ。」

美海「そうなの。折角連れて行ってもらったのに重い話しちゃってごめんね。」

琉生「いや、気にしなくて良いさ。」

ただその時、琉生の頭の中は父晋一に他に得意だったデザインを活かすため、推薦で受かった沖縄尚学高校で野球続けるのを断念させられ、野球を諦めてデザインで開邦高校に進んだ事がフラッシュバックしました。

琉生は父晋一が同じ野球部でプロ目指してたけど靭帯断裂して野球を諦めた事を知らないのもあり、その時から琉生と父晋一の間には溝ができました。

それを察するかのように父晋一は琉生が大学進学後、那覇から遠く離れた宮古島の支店に支店長として単身赴任し、二人はほとんど顔を会わせる事もなくなりました。

そして、琉生と美海がお互い社会人2年目、交際3年目になると、多忙な琉生がLINEを返信できない日も多くなりがちになり、2泊3日のような感じで琉生と美海が沖縄で会ったのも年に3回程度でした。

学生時代は交際中もケンカする事はほとんどなかった琉生と美海ですが、LINEをなかなか返信できない琉生に対して美海が苛立つ事も目立つようになり、電話したりLINEする度にケンカになる事もしだいに増えていきました。


2・~社会人3年目、紆余曲折を経てプロポーズへ~


そして、交際4年目の春を迎えます。お互い仕事でも琉生の部署は上岡が他部署に異動、女性先輩の菅が退職。

美海の職場は宮平が結婚退職するのですが、琉生は男性の佐々木と女性の成田、美海は女性の上地といった後輩を持つようになり、琉生も美海も出世していき、特に琉生はさらに多忙に。

また、琉生の部署には他部署から琉生より2つ先輩にあたる女性先輩・福田衣織(ふくだいおり・27歳)が異動してきました。

福田はしっかり者で愛想も良く、琉生が入社時から特に世話になってるリーダー藤堂にも好感を持たれるようになります。

仕事中によくコーヒーを淹れて飲む福田を見て藤堂は、

藤堂「衣織ちゃんコーヒー好きなの?」

福田「はい。スタバとかも好きやけど自分で豆から淹れるのも好きですよ。」

藤堂「良いね~。俺のお袋も豆から淹れるの好きでさ、実家に居た時はよく淹れてもらってたわ。」

ただ、福田の方はと言うと、藤堂より年下の琉生の方がお気に入りなようで、

福田「宜保くんは彼女とか居てるの?」

琉生「ええ。沖縄に居て遠距離ですが、大学の時から付き合ってます。」

福田「へぇ~。そうなんや。遠距離大変やけどケンカとかするの?」

琉生「たまにする時ありますね。LINEの返事が遅かったり些細な事なんですけど。」

福田は気丈に琉生を応援してるように振る舞うのですが、1人になると妬いてるのかどこか心が晴れないように映りました。

ある日、藤堂は琉生に、

藤堂「宜保、たまにはどや?残業ばっかり疲れるやろ?遠距離やし黙ってたらばれる事はないねん。」

と誘われ、ミナミのキャバクラ店・Club JOKERに行きました。

藤堂は福田に好意を寄せる一方、この店の常連客でもあり、ここ数ヶ月はリラ(23歳)とカノ(21歳)の二人のキャバ嬢を指名してるとの事で、初めて琉生を誘ったこの日もリラとカノを指名。

そして、リラとカノが出迎えます。

リラ「あっちゃん(藤堂篤志って事であっちゃんと呼ばれてる)いらっしゃい。そちらの方初めましてかな?」

藤堂「うん、今日は職場の後輩連れてきたんや。」

カノ「そうなんや。(琉生に向かって)お兄さんお名前は?」

琉生「宜保琉生。りゅうちゃんって呼んでほしいさ。」カノ「わかった。ほなりゅうちゃんで。じゃああっちゃんりゅうちゃんこちらへ。」

と案内され、4人で盛り上がっていきます。

ちょうどその時、美海から琉生の携帯に電話がありました。器用で女性受けの良い琉生は、リラとカノにおだてられて酒も飲み出来上がった状態。

その時琉生はキャバ嬢に愛想笑いしながらも誤って通話ボタン押してしまいます。

美海「もしもし、りゅうちゃん?もしもーし!」

という美海の声が電話口から聞こえ、キャバクラに行ってる琉生はまずいと思い、ソッコー電話を切りました。

その時キャバ嬢リラは、

リラ「りゅうちゃんさっきの何の電話やったん?」

琉生「いや、全然何でもないさ。友達からだけどまた後で電話するさ。」

と言い、またキャバ嬢のリラとカノ、藤堂と4人で盛り上がりました。電話が切れた後、不審に思った美海は琉生にLINE。

美海「りゅうちゃん今年のGW沖縄帰ってこなかったね。ところでりゅうちゃんさっき何で電話切ったさね?ってか後ろで女の人の声聞こえてたさ。もしかして浮気とかしてない?」

と送信。

盛り上がってる琉生は横目でチラチラLINEを既読をつけずチェックし、今度はキャバ嬢カノが、

カノ「りゅうちゃん何気にしてはるの?なんか元気ないやん?明るくいこうよ。」

と言うと、また琉生はキャバ嬢二人に愛想笑いし、夜遅くまで盛り上がりました。

結局キャバクラを出て藤堂とも別れ、琉生が帰宅したのは深夜一時前。

琉生は美海の電話やLINEを気にしながらも電話は折り返さずLINEも既読にせずそのまま就寝。

その後、美海から何度か電話やLINEがあったものの、気まずさを感じた琉生はそのまま放置し、それでも諦めず電話してくる美海に対して琉生は久しぶりに電話に出るものの、

美海「もしもし、りゅうちゃん。」

琉生「お前何さね!俺は仕事で忙しいさ!ほっといてほしいさ!」

と言って電話を切り、やがて二人は音信不通になってしまいました。

その後、琉生は美海への気まずさを心の隅におきながらも仕事はそつなくこなしていきましたが、美海は琉生の事が気が気でなくなり、仕事もうっかりミスが多くなってしまいます。

仲間院長や比嘉はそんな美海を心配そうに見つめていました。

そして、6月に入り、6月半ばの土曜日夜、元気のない美海を気にした先輩比嘉が美海を飲みに誘います。

比嘉「美海ちゃん最近元気ないよ?話聞くから飲み行かない?」

美海「比嘉さんごめんなさい。体調悪くて。でも大丈夫です。すぐ良くなると思います。」

比嘉「そうなの?美海ちゃん最近ボーッとしてる事多いから気になってたさ。体調悪いなら無理はダメさ。」美海「ありがとうございます。」

しかし、美海は断り、美海は心配した比嘉に隠れるように一人でおしゃれな居酒屋に行き、一人カウンターで海ぶどうサラダを食べながらパイナップルチューハイを飲んでいました。

すると、美海の隣に奥のカウンター席に座ってたパリピ風の男性が座ってきます。

パリピ風の男性に、

具志堅「お姉さん元気ないね。せっかく飲みに来たなら明るくポジティブにいきましょうよ。」

と言うと、

美海「ありがとうございます。一人で来られたのですか?」

具志堅「うん。でもこの店俺の連れが経営しててよく仕事終わりに来てるさ。で、俺の名は晴次(せいじ)って言うさ。」

と言い、美海に名刺を渡します。

そこにはそのパリピ風男性が働いてるアパレル店名CHO-TSU Natureと男性のフルネーム、具志堅晴次(ぐしけんせいじ・31歳)と書かれており、

美海「ありがとうございます。晴次さんって言うんですね。何の仕事してらっしゃるのですか?」

具志堅「俺は服屋の店長してるさ。ちっこい店だけど那覇の小禄の方に店構えてるさ。せいやんって呼んでくれたら良いさね。お姉さんは名前何って言うの?」美海「私美海って言います。砂川美海です。歯科衛生士の仕事してます。」具志堅「美海ちゃん良い名前さね。」

美海「ありがとうございます。」具志堅「ところで美海ちゃん彼氏とかいないの?こんなちゅらかーぎーなら絶対モテるでしょ?」

美海「彼氏こないだまで居たんですけど、遠距離が原因で別れたんですよ。」

とまだ琉生と別れてないものの、遠距離と時間のすれ違いが原因でギクシャクしていることを苦に、具志堅にうそをついてしまいます。

具志堅「まあ遠距離はすれ違いになる事多いもんな。俺も遠距離やないけど元カノ他の男と二股してて別れたさ。」

と話してたところ、具志堅の友達だという店長の男が現れます。

具志堅「お、幸栄どこ行ってたさね。美海ちゃんって娘が元気なくて心配だったさ。」

外間「せいやんごめん。他のお客さんの接待してたさ。」

と言い、今度は美海と目を合わせ、

外間「美海さんって言うんですね。いらっしゃいませ。せいやんとは小学生の時からの幼なじみです。僕、この店の店長してます。」

と言い、美海に名刺を渡します。

名刺には店名Bar.栄、店長・外間幸栄(ほかまこうえい・31歳)と書かれていました。

外間は店の仕事もあるため、途中で抜けたりもありましたが、外間は結婚していて2歳男の子が一人いるとの事。そして、この日美海は具志堅、外間と3人で和気あいあいと話し、具志堅とはLINE交換して帰宅。美海は琉生とギクシャクしてる事を忘れてしまうくらい元気を取り戻し、具志堅にLINE。

美海「せいやん今日は声かけてくれてありがと。店長の幸栄さんと3人で楽しかった。」

具志堅「美海ちゃん元気取り戻して俺も嬉しいさ。そそ、次は二人でどう?」美海「うん、喜んで。水曜空いてるけどせいやんはどうなの?」

具志堅「水曜良いね。俺も水曜仕事だけど早上がりだから夕方から大丈夫さ。」

とやりとりし、水曜美海と具志堅は再度会う事になります。

仕事後、具志堅は美海のアパート前まで愛車のジープで迎えに行き、瀬長島ウミカジテラスでパンケーキ食べて夕景を堪能。

そして日も暮れて夜になり、お互い楽しかったねと言い合い、具志堅は、

具志堅「ちょっと行きたいところがあるさ。」

と言い、美海を人気のない公園を連れて行きました。

そして、車を止めて具志堅は美海に突然キスし、美海はいきなり何するの?みたいな表情を浮かべます。

そこから具志堅は豹変し、

具志堅「俺何か嫌な事した?もう男と別れたんだろ?だったら良いだろ?お前とセックスしたいさね!」

と言い、そこから具志堅は強引に美海の服を脱がそうとしてきます。

美海「やめて!離して!」

と言うも、具志堅は美海に強引にキスし、ほぼ監禁に近い状態にしてきました。そこから美海は一瞬の隙を見て具志堅にビンタし、車のロックを解除して逃げました。

そして、美海は泣きながら歩いて帰宅。

歩いて帰宅途中、突然どしゃ降りの大雨に見舞われ、その光景は今の美海の心の状態を物語っていました。

美海はびしょ濡れになりながらなんとか帰宅。

そして、この前の土曜日に交換したばかりの具志堅のLINEをブロック削除しますが、エッチが目的だった具志堅のナンパに引っ掛かってしまった腹立たしさと、琉生と連絡取れてない寂しさで泣き崩れていました。

そして、数日後。

沖縄では6月23日に慰霊の日があり、沖縄は祝日で休み。美海や美海の家族、さらに琉生の家族や美海の職場の人々、バイトしてたCHU♡LA Beach Gardenの人々は皆黙祷していました。

さらに沖縄を離れてる琉生や弟達郎、さらにアトリエNARUMIの上江洲社長もそれぞれ社内や大学で黙祷しました。

黙祷後、琉生のオバー平良エツ子は亡くなったオジー平良照義の遺影を見つめ、

オバー平良エツ子「てるちゃん。」

と呟いて涙ぐんでいました。

そして、7月に差し掛かろうとしてるある日の昼、琉生は再度リーダー藤堂からこないだ会ったリラとカノが居るキャバクラに誘われます。

藤堂「宜保、最近ずっと残業続いてるやろ?どや?またこないだ行ったキャバ行かへんか?特にリラちゃんはお前の事気に入ったみたいでまたお前に会いたい言ってたで。」

しかし、琉生は、

琉生「藤堂さんすいません。僕今日用事があって行けないです。そして、急なんですが、明後日お休みいただきたいのですが。」

と断りました。

藤堂「そうか。わかった。で、後宜保お前が有給取るんも珍しいな。」

琉生「実は…。(続きはあるが場面切り替わる)」

藤堂「まあお前も入社した時からずっと頑張ってたもんな。ゆっくりしてきーや。」

琉生「ありがとうございます。」

この話も琉生に好意を持つ福田は盗み聞きしてたようで、誰にもわからないよう切ない表情を浮かべていました。

そして、琉生はこの日は残業なしで上がり、ジュエリー店に向かいます。

琉生「すいません。宜保ですけど…。(続きはあるが場面切り替わる)」

その頃、美海は藤堂とキャバクラに行って以降音信不通が続く琉生の事を考えてLINEを開き、琉生の別れを切り出そうとする内容の文章を打とうとしていたちょうどその時でした。

琉生から美海に電話がかかってきます。

美海「え!?りゅうちゃん!?」

美海は一旦一呼吸置き、緊張しながら通話ボタンを押します。

美海「もしもし?りゅうちゃん!?もしもし?」

琉生「もしもし、ごめん、美海。」

美海「りゅうちゃん!?何で今まで連絡くれなかったの!?」

琉生「ごめん、美海。それは謝る。だけど少し話聞いてくれないか?」

美海「何?話って?」

琉生「急だけど明後日沖縄帰るさ。仕事辞めるとかじゃないさね。だから明後日美海も仕事休みとってほしいさ。」

美海「りゅうちゃん帰ってくるの嬉しいけどでも急だね。昼からとかでも良い?」

琉生「うん。大丈夫。」

そして、明後日琉生は仕事を休みとって沖縄に帰る事になり、美海も仲間院長に連絡し、昼から半日有給をもらい、二人は再会する事になります。

ちなみにその日は美海の24回目の誕生日。

本来なら誕生日が重なるし琉生が沖縄に帰るので喜びを爆発させたいところですが、しばらく音信不通が続いてたのと、電話してもあまり琉生が多くを語らなかった事で美海は嬉しい気持ちと不安な気持ちが交錯していました。

そして、当日。

大阪は梅雨で小雨の雨がぱらついていましたが、琉生は朝、関西国際空港を飛び立ち昼過ぎに那覇空港に到着。

沖縄は大阪とは対照的に梅雨明けしたばかりで天気も快晴でした。

そして、那覇の実家に一旦帰宅。

すると母・由紀乃とオバー・平良エツ子が出迎えます。

琉生「ただいま。」

母由紀乃「えっ!?どうしたの?りゅうちゃん?帰るなら連絡してくれれば良かったのに。」

琉生「ごめん。」

オバー平良エツ子「でも最近ずっとりゅうちゃん帰ってきてなかったから顔見れて嬉しいさー。」

由紀乃「そうそう、りゅうちゃん沖縄そば作るから食べない?」

琉生「母さん、オバーありがとう。」

この日、父晋一は宮古島で単身赴任、妹詩は学校、弟達郎は福岡の大学に行ってるため不在ながらも、琉生は母手作りの沖縄そばを食べ、その後母由紀乃とオバーエツ子と3人でサーターアンダギーとさんぴん茶飲みながら束の間の一時を過ごします。

琉生「達郎と詩はちゃんと学校行ってるの?全然連絡とってなくてさ。」

由紀乃「たっちゃんはこないだ連絡あって福岡の不動産屋さんから内定もらったって言ってたさ。詩ちゃんもちゃんと大学行ってて今日はゼミの会議があって帰るの遅くなるってさ。」

琉生「そうか。二人とも元気そうで良かったさ。達郎も来年は就職か。早いな~。」

平良エツ子「たっちゃん就職は嬉しいけど、りゅうちゃんが出ていってたっちゃんも福岡で就職と思うと寂しいさ。」

とオバーエツ子はしみじみとしていました。

そして、琉生は美海に会いに行く時間になり、

琉生「オジーただいま。またすぐ大阪に戻るけどゆっくり休んでな。」

と言い、オジー平良照義の遺影と仏壇に手を合わせました。

そして、

琉生「母さん、オバー。行ってくるよ。」

と言い、実家に帰ると運転してる黒のハリアーの運転席に乗り込み、美海を迎えに行きました。

琉生を見送る時、母由紀乃とオバーエツ子はうっすら涙を浮かべていました。

そして、琉生は美海と再会。

美海「りゅうちゃん!会いたかったよ!」琉生「美海、ただいま。ずっと寂しい思いさせてごめん。」

と言い、

琉生「じゃあ行こうか。」

と美海を助手席に乗せて車を走らせます。

そして、向かった先は二人が出会った思い出の場所、北谷のアメリカンビレッジでした。

夕方頃到着し、車から出ると、

琉生「美海、観覧車乗らない?」

美海「良いよ。でもりゅうちゃん観覧車とか珍しいさ。バイトの時もそんな事なかったさ。」

と言い、観覧車に乗ります。

最初はここから見えるアメリカンビレッジも良いねみたいな他愛もない話でしたが、頂上が近づくと少し沈黙になります。

そして、琉生はカバンの中から箱が入った袋を取り出します。

琉生「美海、ここ最近ずっと寂しい思いさせてごめん。美海の事ずっと好きだし美海を思ってずっと必死に働いて今日やっと沖縄に帰ってこれて嬉しく思ってるさ。これからも大阪に居て美海に嫌な思いさせる事はあるかもしれない。でも俺は美海の事幸せにしたい。美海誕生日おめでとう。そして、俺と結婚してください!」

とプロポーズし、琉生は美海に婚約指輪の入った袋を差しだしました。

美海「りゅうちゃんありがとう。よろしくお願いします。」

と言い美海は琉生のプロポーズを承諾。

そして、観覧車も頂上にいき、二人は観覧車の中でハグ。

そして、観覧車が下に到着するまで二人は観覧車の中で何度もキスしました。

そして、二人は観覧車を降り、当時二人がバイトしてたCHU♡LA Beach Gardenでディナー。

店に入った時、二人がバイトしてた当時から店長してた仲村渠店長と新垣副店長が出迎えます。

仲村渠「ギーボー(琉生の当時のニックネーム)、美海ちゃんおめでとう。実は数日前にギーボーからLINEがあってね。美海にプロポーズするからプロポーズ成功したらサプライズで祝ってほしいって。今仲がギクシャクしてるけど美海に内緒で寝る間も惜しんで頑張ってきたから絶対成功させたいってね。それでプロポーズ成功したからまたさっきギーボーがLINEしてきてね。一部貸し切りにしてるから楽しんでいって。」

新垣「宜保くん、美海ちゃんおめでとう。最近ずっと連絡なかったら元気かなって気にしてたさ。でも久しぶりに会って結婚するって店長から聞いたから私もでーじ嬉しかったさ。じゃあこっちにおいで。」

と席へ案内。

琉生は事前に仲村渠店長に連絡してサプライズを仕込んでおりました。

そして、琉生と美海が座った席にお酒や料理が運ばれてくると、美海ちゃん誕生日おめでとう、ギーボー(琉生の当時のニックネーム)、美海ちゃん婚約おめでとうと書かれたケーキも運ばれ、当時のバイト仲間数人も来てて、当時は居なかった新しいバイト店員も琉生と美海の婚約を祝いました。

ディナーしてる頃、美海の左手薬指には琉生からプレゼントされた婚約指輪がはめられており、その薬指が明るく輝いていました。そして、ディナーを終えると夜で外も暗くなり、琉生と美海は仲村渠店長や新垣副店長、そして当時のバイト仲間とともにサンセットビーチへ。

夕日は沈んだけど、二人は仲村渠店長や新垣副店長、そして当時のバイト仲間に胴上げされ、その後、琉生と美海は当時の仲間らに促されてキスし、改めて祝福されて仲村渠店長が奏でる三線で皆で唐船ドーイを唄って指笛混じりにカチャーシーを踊り、二人にとって忘れられない1日になりました。

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