アクションスター
俺の夢はハリウッドスターだ。その為に、まずはアクションスターを目指している。ほら、いるだろ?アクションから有名になってハリウッド進出した男が。俺はあいつを超えた世界的スターになってやるんだ。
「牧田~、出番だぞ~」
おっと、早速呼ばれちまった。さすがスター候補だぜ。
「スタート!」
監督の掛け声と共にぶん殴られる俺。
「お疲れ~」
出番終わり。
え?これっぽっちかって?待て待て、気が早いぜ。俺はスター「候補」なんだ。将来はビッグになっているが、今はその為の布石だ。アクションスターになるためにスタントマンから始めているのさ。
「牧田~」
おっと、また出番だ。人気者は辛いね。
それから数年後、俺はハリウッドにいた。
「Start!」
監督の掛け声と共にアクションを決める俺。次々と指示通りに動いて見せる。
「OK!」
今や俺はハリウッドになくてはならない存在となっていた。世界的に俺の名前は知られるようになった。…監督たちの間で。
スタッフが俺の全身に付けられた物を取り外していく。俺は汗だくで黒い全身タイツを脱いだ。
『モーションキャプチャ』。俺の動きが読み込まれて画面に3Dとして表れると言う技法だ。俺はこのスタントの有名人になったのだ!…監督たちの間で。
まあ、初めとは目的が多少ズレたが、アクションスターってことに違いはない!顔は画面に全然映らないけどハリウッド映画にバンバン出ている!
「Maki!」
おっと、呼ばれてしまった。さすが人気者だぜ。俺は今日もハリウッドで生きている。「黒タイツのスター」として!
拙い作品をお読みくださりありがとうございます。精進します。