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第八十九話 「それ舌打ちじゃない?」

二時間というのはあっという間で、近藤が持ってきたゲームも二回戦途中には着いてしまった。


「あっちぃ」

「山間部だから涼しいかと思ったが日本全国夏は暑いな」

「駅から民泊までは遠いんですか?」

「いえ、もう迎えが……あの車ですね」


 土屋が指さすのは黒いワゴン車。

 このまま誘拐されそうなくらい呆然と止まっている。

 俺達が近くまで行くと運転席からは男性が出てきた。


「お久しぶりです。山田さん」

「こちらこそ、毎度の支援ありがとうございます」


 歳は二十代後半と言ったあたり、身長は低く見積もっても一七〇。少しでいいから分けて欲しい。

 一見無愛想ではあるが、礼儀正しく優しそうな声。

 そうなると黙っちゃいない人物がいる。


「初めまして~。近藤玲奈、十六歳です。趣味は恋人探しで、今年の目標は彼氏を作ること、人生の目標は旦那さんと幸せな家庭を築くことです!」

「お、おう」

「落ち着け近藤」


 ぐいぐいと踏み込む近藤を落ち着かせて車に乗せた。

 こうでもしないと駅前で口説き始めるぞこいつ。

 助手席には近藤、俺の左右に土屋と鮫島がいる。

 両手に花状態で幸せ。


「護送中みたいですね」

「そうなると俺が犯罪者になるんですが」

「手錠要ります?」

「なにゆえそのようなものをお持ちで?」

「罪名は万引き……いえ、痴漢ですね」


 そして鮫島はなぜ俺を事あるごとに性犯罪者にしようとするのか。

 特にそういうことした覚えはないぞ。

 ただ美少女警官を両手に侍らせたいがために人生棒に振るわけにはいかない。

 駅から十分。

 送迎車というのなの護送車から下ろされ、オモチャの手錠も外された。


「ネットで見た外観より大きいですね」

「これでもオレが高校生の時から増築はしてないんだ」


 こんな広い家で暮らせるってどんな感じなんだろ。

 トランクから荷物を運び出して家に入った。


「おかえりなさーい!」


 舌足らずというか幼さを残す声で近藤と土屋のトランクを運ぶ男性に白い塊がタックルをかました。


「海老名。お客さんの前だから」


 男性がそうなだめると不満そうなながらも離れた。


「そこの名簿に全員分書いてくれ。男はトランク運ぶぞ」

「うす」


 文字書きは土屋に任せて俺は自分のトランクと鮫島のトランクをリビングまで運ぶことに。

 と言っても廊下のような真っ直ぐの道と部屋の境に壁はなく、玄関入れば部屋が丸見え状態の広々空間が広がっている。


「おつかれい! ご褒美の投げキッスだ! チッ」

「それ舌打ちじゃない?」

「いい男にはやっぱ奥さんいるんやなって」

「そうだね」


 夏に出会いを求めるって簡単だけど難しいよね。


 俺がトランクを運び終えるとその上に灰色の猫が乗っかって来た。


「みゃあ」

「おっと!」


 乗ったと思ったら飛びついてきた。

 見た感じまだ子猫なのに人見知りをしない。


「メロメロじゃん」

「彼は動物には好かれやすいんですよ」

「その人には好かれないみたいな言い方やめて」


 好かれようと動いてないから好かれないだけだし。

 ま、好かれたい人には大きな壁があって届かないけど。


「ユキと遊び終わったら部屋案内とここでのルールを説明する。今は遊んでやってくれ」

「鷹山、わたしにも抱かせて!」


 目を輝かせる近藤に子猫を渡した。


「うわぁ。可愛いぃ! 猫飼いたい!」

「飲食店って犬とか猫とか飼えるんですか?」

「客席にいる分には問題ないはず」

「所属する自治体によって許可が必要だったりしますけどね」

「ママに相談してみようかなー」


 猫の種類とかは分からない。

 がしかし、美少女と猫の組み合わせは抜群にいいということだけは言える。


やっぱり皆さんイチャコラな話が好きなんすね。


なろうにはアクセス解析というものがありまして、今日あげた話が何時くらいにどの程度読まれているか分かる機能があります。よく聞くPVなんかがそうですね。


物語に必要な伏線張りの話がだいたい800程度。

なにも考えずイチャコラさせた息抜き回が1600程度と倍近く違うんですよね。

伏線張りながら物語を面白くする技術がないという現れではあるんですが、こうも顕著だと私に求められているものが分かって嬉しいですね。


少ないものはこれから技術つけて増やせばいいです。もともと多いものはそれだけ認められているということです。

なにを練習してなにを昇華させればいいのかPVの変動だけで結構分かるものです。


これから水着回もありますから。期待しててください。

以上、実家で鍋奉行しているチョコからでした。

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