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第七十三話 絶えることのない問題

 体育館の舞台ではダンス部が踊り、奥では剣道部が竹刀を振るっていた。

 体育館の広さは中学とそこまで変わらないように思える。

 天井に挟まったボールもあるし、床にも色とりどりのテープみたいな線がある。


「室内運動部の方にはマネージャー手伝いしてないのか?」

「多分運動部のマネは一通りやったんじゃないかな」

「一通り? マジで?」


 運動部だけで五〇は超えるのに?


「仮入部期間なら期待させることなくマネの練習出来るからね!」

「マネージャーってなにするんだ?」

「んースケジュール調整とか備品の交換要請、部員の様子見とかが主だって。人によっては練習メニュー考えたりするって」

「結構やること多そうだな」

「本格的にやるだけどね」


 それを近藤は一通りの部活でやったというのだ。

 

 俺と近藤が入口で話しているとジャージ姿の女子生徒が向かって来た。


「近藤じゃん。どうしたん?」

「彼氏候補を探してます! いい人いたら紹介してください」

「相変わらずだな~」


 近藤が敬語を使うってことは先輩か。

 てか仮入部の時から目的晒してたのかよ。流石だよ。


「その人は?」

「彼氏じゃないですよ? えっと……」

「どうも。鷹山来夢です。自作小説のネタ集めするのに彼女に案内して貰ってたんですよ」


 俺と近藤が一緒にいても不思議じゃない理由。俺が作家になればいいのだ。


「ふーん。あ、そうだ。またマネージャーしに来てよ」

「近藤って人気なんですか? 同じクラスですけど要領がいいとは到底思えないですけど」

「馬鹿にしてくれんじゃん」


 伸びてくる腕に抗いながら先輩の話を聞いた。


「ま、明るいからね。ダンス部は一日だけだったけど明るさとか人が好きとかは結構分かるよ。ほら、ダンスは表現力が重要だから」

「そういうもんですか」

「部長~」

「あ、ごめん。行くわ」


 片手をあげてダンス部の部長はステージ前まで戻っていった。


「人望ないとか言ってたけどあるじゃん」

「照れちゃうなー。ごめんね~? 鷹山より人望あって?」


 うぜぇ。


「俺は必要な人の手助けになればいいと思ってるから」

「あー逃げたー」


 逃げてねぇし。負けを認めたくなかったとかそんなんじゃねぇし。


「それで? 気は済んだか?」

「……気は済んだよ。結果に納得はしてないけど」

「なら帰って寝よう。そうすれば忘れるさ」


 恨みが籠った目をされるが出来なかったものはしかたないのだ。

 気長に運命の出会いを待つしかないのだ。

 バッグを持とうと教室へ向かうと中から椅子が倒れるような音が聞こえてきた。そのあとの「死ねよ」という冷たい声も。


 ドアを開けると机に座る長谷川と転がった椅子の間に倒れる藤堂の姿があった。


「ちょっと! なにしてんの!?」


 俺の後ろから飛び出した近藤が藤堂の傍へと駆け寄った。


「別に? 藤堂が勝手に転んだだけだし」

「ワイシャツに靴跡ついてんじゃん!」

「私らのとは限らないじゃん。もともとついてたのかもしれないし」


 耳障りな笑い声で笑う長谷川達。

 その時だ、藤堂が起き上がると俺のすぐそばを走り抜けた。


「近藤。藤堂を追ってくれ」

「分かった! 恵ちゃん待てーい!」


 そして教室に残ったのは俺と長谷川、本田、藤山。

 度々問題行動を起こす奴らだ。

 本当にメンタルの回復が速いな。今度は再起不能レベルで殴るか。

 勿論情報で。


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