表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

46/135

第四十五話 天才の弱点

一年生のクラス委員代表というのは、滅茶苦茶忙しい。

 午前午後の体育と少しの座学があり、放課後になれば部活をする生徒を横目に体育倉庫へ。

 備品チェックである。


「おっも!」

「なにを言うか若造。これくらい片手で開けられるだろう?」

「真野会長と一緒にしないでください。腕の太さ見ればわかるでしょう」


 筋骨隆々の真野会長と比べたら俺の腕なんてもやしだ。


「さて、鮫島の嬢ちゃんが持っているのが今回体育祭で開催される種目リストだ。必要なものは競技の横に書いてあるから使えそうならチェックを入れてくれ。もし備品がボロボロだったりした場合はチェックなしで。ここまでで質問は」

「俺はから特には」

「その間、真野先輩たちはなにを?」

「本部用テントの手配や生徒席の調整だな。ちゃんと仕事はあるんだぞ?」

「疑ってすいません」


 真野会長の説明は鮫島はすんなりと謝罪をした。


「それじゃあ。頑張れ! もしなにかあったら下校時刻ギリギリまでなら生徒会室にいる」


 爽やかで暑苦しい真野会長が立ち去り残された俺達二人。


「そもそもなんで俺達が代表ってことになったんだろうな」

「雨宮先生から説明がありましたが? 成績優秀でプレッシャーにも強そうだからとのことでした」


 あながち間違いではないが、成績優秀で豪胆というのと、労働力は比例しないからな。

 ほかの組のクラス委員も手伝ってほしい。

 しかし文句ばかり言っても仕事は終わらない。


「入るぞ」

「……私は外にいるので、貴方だけ入ってください」

「いやそれじゃ仕事にならんでしょ。……もしかしなくても虫嫌いだったりする?」

「そうですけど? なにか?」

「圧がすんごい」


 本当に虫が嫌いなようで。

「なにか?」の圧を常に放っていれば虫も近寄ってこない説を提唱したい。


「平気だって。常になにかしらの部活が利用してんだ、虫なんていないって」


 今俺の視界の上端には大きめの蜘蛛の巣がありますけども。バレなきゃいいか。


「……私実は埃アレルギーで」

「嘘はいいから」


 俺が冷たく突き放せば鮫島の目線はきつくなり頬が少し膨らむ。

 可愛い。


「……出来るだけ声張るから聞きとってくれ」


 運動部より大きな声で発声出来る自信はないけど。

 体育倉庫に入って電気をつける。

 中は埃っぽくてむわっとした空気が身体にまとわりつくように充満している。


「まず玉入れの籠」


 大量にある体育用具の中から俺の身長より遥かに高い玉入れ籠を発見。

 破けたり支柱がボロボロでないことを確認して鮫島にOKを出す。


「大丈夫そうだ!」

「では次です。障害物競争の網」


 網は体育倉庫の最奥の棚に置いてある。

 木製の棚は年季が入ってところどころボロボロで、その上では蛾なのか蝶なのか分からないが死骸があった。

 小学生の俺なら鷲掴みにして鮫島に持って行っただろう。今はもう触れないけど。


「どうしました?」

「なんか虫の死骸ある」

「そういうのは報告しなくていいですから! というか虫いるじゃないですか! 嘘つきましたね!」

「あくまで希望的憶測であり断言はしていません」

「うそつき!」


 今更だろ。


「障害物競走の網は平気だ。あと、パン食い競争のロープも」


 こんな調子で体育祭に必要な備品チェックをしていった。

 使い方がいいのかほとんどの備品は交換が必要ないレベルだった。

 ただ唯一、麻で出来た障害物用の袋だけは虫に食い破られた形跡があった。

 交換しやすいように出来るだけ手前に。


「あっつ……よくこんな暑いのに運動出来るな」


 五月の終盤である今日の気温は二三℃。

 動かなければ過ごしやすいが、少しでも運動すると暑いという中々に動きにくい気温だ。


「お疲れさまです。これで全備品チェックは終わりました」

「おつかれ」


 仕事を終えて報告へ。

 体育倉庫と言えば、「なんかよくわからんけど扉閉まって閉じ込められる」みたいなことが起こってもいいものだがこれはあれか。好感度不足による進行不可イベントか。

 結構楽しく出来た作業ではあるが、それは俺だけだったか。


「おう! お疲れさん。今日のところはこれでおしまい。また明日作業だ」

「まだ時間もありますし今日やりますが?」

「慣れないことして疲れてんだ。今日は休め!」


 一年主導の運営と言っても実際は予め引かれた線路を日ごとに歩いていくだけだ。

 ま、それでも初めてのことだから疲れるけど。


Twitter見ていない人用に進捗書いておきます、10月11日現在、八十一話まで書き上げ完了。

物語の進捗としては、ようやく夏休みに向かうぞーってとこです。

そうです。はい。あの、夏休みまだ入ってないです……はい。


この後にも書きたいことがあるので夏休みに入るまでもう少しかかるかなー。といった感じです。

進みが遅くて申し訳ない。ですが、反省も後悔もしていません。

底辺作家でも三桁PVは貰えているので頑張りたい所存。とても頑張ります。


ちなみに前作の「好きすぎ系後輩」は四十八話で夏休み突入しました。今回遅すぎぃ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ