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第二十八話 答えにくい質問

 居間に戻るとだらける近藤の姿と、それを無視して問題を解く鮫島の姿が。

 なんでこの二人が友達になれたのか俺には分からん。


「あ、遅かったじゃん」

「迷ってた。ふすまとかの装飾が見事でな。よそ見しながら歩いてたら見たことない場所に」

「なにそれ、迷路で迷った人の感想じゃん」


 まさに迷路だった。

 目印となるものはなく、右も左も分からない。場所によっては暗く一人で進むのは躊躇われる所もあったし。


「お腹減ったー!」


 俺が座るなり近藤が一言。

 テーブルの真ん中にはお菓子の空き袋だったり空き箱が散乱している。

 こんだけ食べてまだ足りないのか。


「食べすぎだろ」

「おやつとご飯は別腹なんだよ」

「デブ」

「おおん!? 今なんつった!」

「暴飲暴食は太りますよ」

「ふん。これでも家で小麦粉とか運んでるから運動には困ってないんだよ」


 業務用の小麦粉とか恐ろしいな。

 どこぞの菓子パンマンなら空飛びながら大量運搬が可能なのに。


「それなら軽食を作りましょうか? おにぎりくらいだったらすぐに」

「美少女のおにぎり!」

「なら私も手伝います。流石に任せっぱなしというのも悪いので」

「美少女ズ!」


 なんだその頭の悪い複数形。

 なんでも後ろにSつけりゃいいってもんじゃないんだよ。


 土屋と鮫島がキッチンに向かい、今には俺と近藤だけ。


「どう? 女の子が昼食作ってくれるって」

「俺のために作ってるんじゃないだろ」

「いーや、つちやんはそうだと思うよ?」


 ん? 既に近藤達には相談済みなのか? 

 いやでも、負担にはなりたくないから内密にと言われたばかりである。


「どういう意味だ?」

「ふふん。鷹山とつちやんが帰って来た時、つちやんは乙女の顔をしていたんだよ。なにを話したか言うてみ?」

「別になにも。この家のこととかだけだが」


 嘘は言ってない。


「ふーむ。教えてくれない感じかぁ」


 俺ってば結構顔に出やすい?


「悪いな。内緒って言われてるんだ」

「いいなー。あ、わたしとも作る? 二人だけの内緒」

「どんな秘密だよ」

「実はわたしさ、コーヒー飲めないんだよね」

「不思議ではない」

「可愛くなりたい、おっぱい大きくなりたい、つちやんの胸そぎ落としてくっつけられないかな」

「なるほど。秘密にしておいた方がよさそうだ」


 そんな猟奇的な発想、友達に話すわけにはいかない。しかもかなり距離の近い友達に。


「嘘嘘。ブラックは無理だけど砂糖とか入れれば飲めるって」

「え、猟奇的な発想の否定は?」

「男って胸は大きい方がいいの?」


 無視するってことは、そういうことだろう。


「人に寄るんじゃないか? C以上は欲しいって人もいれば、むしろC以下がいいって人もいる。奇形レベルのサイズじゃなきゃ嫌だって人もいるだろうしさ」


 そこはマジで人それぞれ。


「カッコイイ人ってやっぱ目が肥えてるんかな」

「それは多少なりあると思う」


 顔面イケメンにしろ、性格イケメンにしろカッコイイことに変わりない。

 それなりの美人から声をかけられるわけだし、声をかける側にもそれなりのスペックというのは求められると思う。


「やっぱりかー」

「近藤は全人類共通のイケメンじゃないとダメなのか?」

「そうであるに越したことはないけど、わたしがカッコイイと思えればそれでいいかな」

「なら手頃そうな嘉川あたりにしておけば?」


 俺がそういうとあからさまに嫌な顔をした。


「嘉川はもう長谷川のものでしょ。手を出そうものなら殺されるよ。リアルにね」

「やっぱその認識か」

「ま、嘉川自身はどうか知らないけど」


 顔面と性格のイケメンだからな。

 好きになる女子は多いだろうよ。


「え、じゃあ鷹山はさ、わたし達三人の中なら誰くらいのサイズが好き?」

「……答えづらい質問だな」


 女子からの質問で一番答えづらい質問。

 どう答えても落とし穴とか四面楚歌すぎて泣けてくる。


「大丈夫! 参考までに! 幻滅したりしないから!」


 大真面目に考えるなら鮫島サイズが一番好き。

 大きすぎず小さすぎずなサイズ。

 ま、水着でしか見たことないけど、しかも中学の水泳の授業っていうね。

 

「鮫島……かな」

「へ~見たことなんの?」


 ノリが変態オヤジのそれ。


「中学の水泳でな」

「ほーん」


 目を細めもちもちの頬をこれでもかと上げる近藤。

 そんなに嬉しいか。なんの参考にもならない俺の好みを聞いて。


「水泳の授業とは、水難事故を極力防ぐ役割と共に普段使わない筋肉の発達を目的として行われます。異性の水着を堪能するわけではありません」


 事務的な水泳授業の目的が頭上から聞こえてきた。


「近藤、俺の後ろになにがいるかだけ教えてくれ」

「鮫」


 主犯。どうにかして怒りを収めて収集をつけろ。

 やめろ、舌を出してごめんじゃないねんて。俺このままじゃ死ぬんだって。


 弁明タイムが始まったのは言うまでもない。


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