第序話 喧嘩別れからの再会
「違うんだって!」
「いいえ! なにも違いません!」
俺、鷹山来夢の部屋に怒号が響き渡った。
さっきからこの調子で全く相手にして貰えない。
事の発端は十分前。
「なんですか? この写真」
そういって見せられたのは俺と従姉が買い物している写真。
別にラブラブってわけでもなく、成人女性に中学生が重い荷物を持たされげんなりしている写真。
「いや、普通に買い物してる写真だけど?」
「嘘はいいです」
彼女、鮫島彩音は二コリを笑った。
怒るでもなく呆れるでもなく笑った。
「どうして嘘をつくんですか? どうみても浮気じゃないですか」
「違う。落ち着け。俺が二股出来るほど器用じゃないことくらい知ってるだろ」
「どうでしょう。頭の回転だけなら私を上回るんですから出来るんじゃないですか?」
「無理だ」
無機質に否定をしても鮫島は信じなかった。
「どうせ! 私みたいながり勉女より少し遊んでそうな子の方が好きなんでしょ!」
「違うって。落ち着けよ。あれは……」
「いいえ! なにも違いません!」
子供のようにギャンギャンと喚くように叫ぶ鮫島。
泣いた子供の対処も出来ないのだから、泣き喚く女子の対処なんて出来るわけがない。
とりあえず今は鮫島を落ち着かせるしかない。
「あのな!」
「勉強漬けで楽しいと思っていたのは私だけってことですよね! 貴方はうんざりしていたんですよね! その証拠に! この人といる貴方はとても楽しそうです!」
「どこがだ! 重い荷物持たされてげんなりしてる顔だろうが! 俺の笑顔はそんなやつれてない!」
「いいえ、これは満面の笑みです!」
そんなげんなりした笑顔があってたまるか。
「私といる時だっていつも愛想笑いでこんな本気で笑うことはないじゃないですか!」
「そんなことない。愛想笑い気味なのは嫌われたくないからで……」
「ストック女にはなりたくありません。私の価値は私自身で決めるので」
スクールバックを肩にかけた鮫島は興奮冷めやらぬまま俺の部屋を出て行った。
結局俺の話は聞いて貰えなかった。
弁明の場を設けてもらうことは出来ず半年が経過した。
春。心地よいくらいの日が体育館にこぼれる。
更に校長の話という睡眠薬より催眠効果のある話を聞かされている。
まともに聞いている生徒は十分の一いるかどうか。
「ふぁぁ」
目立たないようにあくびをしてまた壇上に目を向けると丁度校長の話が終わるところだった。
『次は新入生代表の挨拶です』
放送委員であろう声が体育館中に響き、他の生徒もまだあるのかと不満を感じた矢先。
代表生徒が壇上に上がるとその不満は一気に解消された。
壇までの階段を一段一段上がるにつれ、会場全体が引き締まっていく。
肩口あたりにまで伸びたピンク色の髪と深海のように濃い青の切れ長の瞳。
口を開けば鈴の音のような声が体育館全体にマイクによって拡散されさっきまで大暴れしていた催眠効果を上書きしていく。
「新入生代表、鮫島彩音」
その名前を聞いて俺の顔は引きつった。
どうも。考えるプロットすべて恋愛主軸になったチョコです。
なんででしょうね。
数年前までは異世界と言ったらチートして暴れるものとかいう考えだったのに今じゃ異世界故の縛りとか出会い、結ばれ方の方に目がいっちゃいます。
既に考えついているプロットすべてが恋愛主軸ですから。
ケンカップルみたいなものもあれば、甘々じれじれもある。少年系のようなハーレムものも考えています。
五年は書くものには困らないかな。うん。
さて、今作ですが。
前作(好きすぎ系後輩)よりも表立ってのイチャイチャはとても控えめです。
なんせ冒頭のアレですから。
ですが、同じ中学出身ということで初対面じゃない故の煽りや一度深い関係になったからこその煽りというものをイチャイチャの変わりにしています。
私の動力源です。イチャイチャしてないと書けないんじゃよ。
初投稿時(9.1)の時点で33話まで書き終わっております。
五話目から毎日更新していきます。
それではこの辺でノシ
引き続き一話、二話とお進みください。投稿します。




