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普通にあこがれる障がい者

作者: ムー

なんらかのきっかけで身体に障がいを持つ。


良くあることだ。


リハビリをへて、仕事をする。


良くあることだ、と言いたいところだが精神障がい者はそう言い切ることも出来ない。


精神疾患にもいろいろあるが、私がわずらった病の名前は統合失調症という。

基本的に完治しない。

もう一度言うが完治しない。


完治はしないが、比較的穏やかな状態になる寛解という状態には持っていける人もいる。ということは、そこまでいかない人もいる。


幸い、私はだい分良くなった方であった。



少し良くなると仕事をしたくなる。

通称、B型作業所というところをへて、A型作業所をへて、一般雇用を目指す。


私もその道を通っていった。が、常に付きまとうのは劣等感と焦りであった。



普通になりたい。



周りの話を聞くと、

・結婚した

・子供が生まれた

・昇格した



全て、違う世界の話に思えた。

ただ、ただ、ふつうを求め続けて。

障がい者雇用で雇ってもらい、働くことが出来た。


ホワイト企業と言うことができるくらい良い会社だった。

上司の言うことを聞いて仕事をした。

しっかりと教えていただいた。



だが、普通にはまだまだ手が届かない。


そんな時、今の師匠。ビジネスの先生と出会った。




きっかけは高校時代の同級生の紹介だった。

この人の動画面白いから見てみなよ、と言われ、嘘くせえ、と思いながらみたらハマってしまったのだ。


直感的に、この人は本物だ、と思えたのもある。


それから仕事をしながら、ビジネスの勉強を始めた。

ドンドン、ビジネスの知識がつく。

知識がつくと、その知識を会社の仕事に活かしたくなった。




私のいた会社の直属の上司のひとつ上の上司はよくこう言っていた。


「仕事では本気になっていいです。あなたの上司と仕事では喧嘩をしてもいいです。お互い譲れないくらい仕事に対して本気の思いがあるなら必ずいいものが出来ます」



その言葉を胸にかかえて、直属の上司と一緒に本気で仕事をした。

広告関係の部署だったが、新しい広告の手法を二人で試した。

お互いの意見を本気でぶつけ合い、何度も喧嘩をした。


言い争い、ひとつ上の上司も混じえ、私が折れる時もあれば上司が折れる場合もあり、相当な苦労をして新しい広告の手法を作りあげた。



結果として、コストは4分の1まで下がった。



上司と二人で思いっきり喜びあった。

お互い半分泣いていた。


仕事を本気でするとはこういうことなんだ。

あこがれの普通にかなり近づけた気がした。




ここで、人生の選択の時がきた。



このまま、会社で仕事をするか。

独立するか。



ビジネスの先生の知識は、実際に結果が出たので間違いない。

本物、であった。



どちらでも楽しい社会人生活が待っていると思ったが、私は独立をとった。

理由は、たった一度の人生だから、だ。


なら、やれるところまでやってみたい。

統合失調症で精神障がい者の私が、ビジネスで成り上がったら、かっこよくないか?という思いもあった。


もともと失うものは家族以外ない人生である。

やれるところまでやろう。



そう決めたのだ。

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