8・永遠に逃避したい現実
現在に戻ります!
結局、皇太后様には「事情が事情だから仕方ない」と渋々私を送り出そうとしていたんだけど、「たまには公爵令嬢として母上のお茶に付き合う時間を取れるよう配慮しますよ」と言う陛下の言葉に、皇太后様は大喜びで私を売った。
ううむ。
そしてその後、当然の如く事後報告を受けた長男次男の兄様達(王宮勤めだからね)が飛んできて、今すぐ辞めて公爵家へ帰る様3時間程粘られた。
粘られていたところに陛下の秘書官のジャミール様がやってきて、王宮勤めの人間用の寮から、陛下の私室のほぼ隣にある控え室に私の住居を移すよう言われ、また兄様方と一悶着あり…。
翌日、陛下の侍女となってからは…あぁ、思い出したくもない。
はへー、っと大きくため息をつく。
「おや、退屈でしたか?」
「っ!」
いつの間にか目の前には…
「陛下」
私は慌てて頭を下げる。
「熱心に何か考えてたね」
陛下はいつも通り私の髪を一房手に取ると、ちゅと唇を寄せる。
ひぃぃぃぃ
「途中から目も合わせてくれなくてなってしまったし、私の閨の技術はお気に召さなかったかな?」
陛下が眉尻を下げて首をかしげる。
「そ、そんな事より服! なんでハダカなんですか!」
覚醒しましたよ。
私、陛下の生えっちを強制的に見せられていたのでした。
「なんでハダカって、今までシテたからですよ」陛下はにっこり笑うと耳元で囁く「それに私のカラダは貴方が一番見ているのですよ」
「〜〜〜っっっ!」
そりゃわかってるわ。
お風呂も着替えもほぼ毎日手伝ってるもの。
私が休みで他の侍女さんが担当する時は全て自分でするクセに、私のときは何もしない。
「せめてご自分でガウンを羽織って下さいませ」
私は予備のまっさらなガウンを陛下に羽織らせようとするが…。
「ヤダ」
「…」
なんなんですか、この大きな赤ちゃんは。
「カラダがベタベタして気持ち悪い」
「では先にお湯の準備を…「ヤダ」」
「……」
このクソガキ〜〜!
「お風呂は部屋で入ります。いまは拭くだけで良いです」
「……」
それが一番嫌なんですけど。
だって、たった今まで全力で働いていたであろう彼の自慢の働き者の息子さんは、未だ威張りん坊の様に上を向いている。
ご立派なことで。
はっきり言って見慣れた。
処女なのに見慣れたって、どういうことよ。
「さ、早く拭いて下さい。早く部屋に戻ってゆっくりしたいのです」
「かしこまりました」
ご自分で後始末まですればもっと早く帰れますよ。
怒りなのか哀しみなのか諦めなのか、もはやわけのわからない感情を抱きつつ、濡れた手ぬぐいを準備する。
遠くのベッドでは、気を失うように眠っている奥様がいた。
実はムーンライトに移動するか迷っております。
ガチのものは書がないつもりですが、陛下の暴走がひどくて…。
念のためR18にするか…迷い中です。