22・セキュリティーとか不敬罪の問題とかはないのかしら。
久々の投稿になります。
よろしくお願いします。
のどかな朝の風景とは程遠い光景がそこにあった。
部屋の主である陛下はニコニコと機嫌の良さを隠そうとしていない。一方ウチの2人のお兄様方は怒りを隠そうともせず私の両脇に立っている。
ジャミール筆頭秘書官からは投げやりな空気が発せられており、ジゼルさんは無表情に控えている。
…なんじゃこりゃ。
「陛下、これは一体どういう状況ですか? 朝からマリーがくだらない噂話を広めておりまして、念のために見に来てみれば…」
「キャロルは侍女ですよね。あくまでも次女として王宮に勤めているのであって、あなたの朝食のお相手をするのは職務外と存じますが」
いつもより1オクターブ低い声音の次兄に続き、絶対零度のオーラをまとった長兄が恐ろしいほど静かに話す。
兄様ズ、激オコです。
「おやおや、マリーはどんな噂を広めていたんだろう?君たちをここまで慌てさせるようなものだったのかな」
ニコニコと笑う陛下。怒りの兄様ズ相手に笑ってるとか、どんだけ鋼のメンタルだこの人。
「ついにキャロルちゃんとヤったって⁉︎ よくやりましたわ愚息! ただのヘタレ変態ではなかったのですね!」
またもやババーンと勢いよく陛下の私室のドアが開く。
だからね、セキュリティーとかね不敬罪とかね、どーでもいいんですかね。飛び込んできたの皇太后様だから。
「あらまぁ、朝食中でしたの、失礼しましたわ。でも、母も一緒に朝食をとりたかったわ〜」
もはやぼーっと眺めていた私の手を皇太后様はキュッと握る。
「キャロルちゃん、うちの愚息はちゃんと優しくしたかしら?体は辛いところはない?今日から私のことはお母様と呼んでね」
「え、えーっとぉ…」
ぱしん
答えに困る私の手を皇太后様の手から振り解いたのは長兄。
「先走りすぎです、皇太后様」
「あら、あなたたちもいたの?」
「絶対見えてましたよね」
「あらやだ、オホホホホ」
なんだろう、この二人こわいよー。
しかも兄様、皇太后様の手、振り解いちゃダメしょ。もはやこの国に不敬罪は存在しないのか?
「先走りすぎってどういうことよー。もう王宮内が陛下とキャロルちゃんの噂でもちきりよ〜。私お姉さまにも報告しちゃったわ」
「はぁ? おい、マリーには口止めしたんだろう」
「当たり前だろう!」
長兄さまが次兄さまに問い詰める。
「ま、騎士団についてからマリーの口止めをしたところで、それまでしゃべってしまった人の口まではふさげまい」
横から口を挟んだのは陛下。
「実際私とキャロルの間には何もなかったのだがね、こんなキャロルにとって不名誉な噂が流れてしまうのであればきちんと責任は取るよ」
をを、やはり私たちの間には何もなかったのですね。つーかそれ言うの遅くねぇ? それになに誤解されるシチュエーションを作ったんだこの男?
「と言うことで、私のお嫁さんになってね、キャロル」
「はぁぁぁぁ?」
もはや不敬罪とか気にしない。
お読みいただきありがとうございました。




