19・灰になる朝
にこにこ笑顔の陛下、きょとんとした顔のマリーさん、微笑みをたたえたジゼルさん、灰と化した私。
沈黙を破ったのは先輩侍女のジゼルさん。
ジゼルさんの旦那様は王宮付き侍医長さまで、ジゼルさん自身も看護の心得があるらしく陛下の侍女をまかされているらしい。現実逃避の小情報。
「まぁまぁまぁ、陛下、キャロルちゃん、おめでとうございます」
ジゼルさん満面の笑み。
おめでとうって何がーーー!?
絶対誤解してますよね。
陛下、ちゃんと否定を…。
「ありがとう、ジゼル。朝食は部屋でキャロルととるから準備を」
否定しろーーーーー!
「ち、ちがうんです! これは…っ」
「いいのよ、キャロルちゃん。いつかはこうなる事わかってたんだから。むしろ予想以上に時間がかかったと思ってるくらい。好きな子にはオクテなんだからヤになっちゃうわ〜。どんだけヘタレなのかしら」
早口でまくしたてるジゼルさん。
さりげなく陛下への悪口含んでなかったか?
不敬罪になりませんか?
って陛下はニコニコしてるー?
バカなの・変態なの? って私の方が不敬罪か。
「それよりキャロルちゃん身体辛くない? あ、キャロルちゃんじゃなくってキャロル様って呼ばなきゃいけないのかしら、ウフフ」
「いや、ですから…」
ちゃん、でいいから。
それより話をきてくれませんか?
「あ、そうそう、お洋服ね、すぐ準備するわ。メイド服ってわけにもいかないものね。マリーちゃん、朝ごはん二人分、陛下の私室に準備するよう侍従に伝えてくれる」
「ジゼルさん!」
だから話を聞いてーーー!
私の言うことなんて全く聞いてない(もしくは恐ろしいほどのスルースキルを発動している)ジゼルさんは、なぜか難しい顔でこちらを見ていたマリーさんに向かって指示を出す。
そして、言われたマリーさんは一転、納得したような表情を見せる。
「ようするに、陛下とキャロはヤったってことだね」
爆弾が投下された。
(本日2度目の灰化)
読みいただきありがとうございます。
ちょっと短めです。すみません。