1・侍女になる
説明回です。お付き合いいただければ幸いです。
私はロザリア王国オーリンズ公爵家の末娘、キャロル・オーリンズ。
…と言っていたのは5年前の話。5年前にお父様が急逝し、一番上のお兄様が公爵家を継いだ。
当時私は社交界デビューもしてない13歳。
けれど正直、来るべき時が来たという感じだった。
なぜって7人兄弟の我が家、一番上のお兄様とは20歳年が離れてる。一番年の近いお兄様とも9歳年が離れている。
どう見てもお父様アンドお母様の失敗により私が誕生した、としか思えないわけで…。
他のお兄様やお姉様はすでに結婚したり独立したりしてたのでなんの影響はなかったのだが、13歳にしてロザリア王国3大貴族と呼ばれる名門に生まれながら、私は行き場を失った。
もちろん家を追い出されるなんてことはなかったのだけど、私の2歳下には新たに公爵となられたお兄様の娘(私の姪っ子、兄弟より姪っ子の方が年が近い)がおり、前公爵令嬢と現公爵令嬢、どっちをお嫁さんにしたいって言ったら現だよね、やっぱり。
その結果嫁の貰い手もなく、お兄様のお荷物として生きて行くしかないわけで…。
と、なーんてことに、ならないようにお父様は私に普通の公爵令嬢とは違うお嬢様教育をしてくれていたのです! とーさまグッジョブ!
さて、そのお嬢様教育とは……
★ルート1 めざせ女性騎士!
騎士団に所属しているお兄様から剣術等指南を受けています。けっこう強くなりました。
★ルート2 めざせ女性官僚!
まだまだ数少ない女性官僚への道を歩むべく、当時宰相補佐官だったお兄様に政治・経済のお勉強をみてもらいました。
★ルート3 めざせ学者!
王立大学の教授を目指すルートです。王立大学で薬の研究・開発にあたっているお兄様に数学・理科のお勉強を見てもらいました。
★ルート4 まだまだ諦めない奥様への道!
公爵令嬢として当然レディの振る舞いはきっちりお母様に仕込まれています。いうまでもない基本装備です。
と選択肢は色々あるわけですが、私が選んだのは、そのいずれとも違うルート5!
王宮にて侍女になる!
というものです。
私がそれを家族へ言ったところ、お兄様方は皆さん声を揃えて反対しました。
一方お母様をはじめとしたお姉様方は賛成してくれました。
王宮の侍女というのは専門の学校を卒業なさった所謂プロフェッショナルの方が大多数を占めているのですが、貴族の女性の方も中にはいらっしゃいます。ご夫婦で王宮勤めをしている方や、未亡人になった方など理由は様々ですが。
とりあえず反対する一番上のお兄様を泣き落としに近い形で説得し、使えるコネを使いまくり、15歳になると同時に、一通り貴族としてのマナーを身につけていた私は皇太后様付きの侍女として採用されたのでした。
お読みいただきありがとうございます。
もうちょっとこまめに更新したいと思います…が予定は未定です。すみません。