15・募る思い
それ以来、母親の元に通ったのは生まれて初めてというくらい何かにつけて通いまくった。
おそらく2日に1回は「ご機嫌伺い」と称して母の元に行っていたであろう。
王都で流行の菓子や、アクセサリーを入手しては自ら届けに行ったのだ(実際に入手に奔走したのはジャミールだが)。
自慢じゃないが今までこんなことしたことない。
しようと思ったこともない。
それでもした。
ただただキャロルに会いたかった。
母や侍女はすぐに私の目的に気づいた。
古参の侍女の中には、かつての私の黒歴史…もとい、若さゆえの向こう見ずなキャロルへのプロポーズの場に立ち会っている者もいる。
そんな彼女たちはすぐに母とのお茶の席にキャロルを同席させるようになった。
なんて協力的な。
こっそり給与UPを言いつけたことはナイショだ。
いまいちよく状況が飲み込めていないキャロルをとりあえず自分の隣に座らせ、さりげなくボディタッチをする。
…といっても手を握るくらいしかできないが、スベスベの手を握るだけで天にものぼれる…というか、元気になる息子を押さえつけた私の精神力をほめてくれ。
一度ばかり「手を離してほしい」とキャロルに言われたので、おとなしく離したが、気付けば私の手はキャロルのかわいい尻をさすっていた。
グッジョブ自分の手!
キャロルは恥ずかしそうにもじもじとしていたが、立場を考えてか私に文句を言うことはなかった。
ふ、可愛すぎる。
そのときは全力で押さえつけてた息子(半分ぐらいはやる気を見せていた気がするが、ゆるい上着に感謝だ)だったが、その夜風呂場においてまれに見る暴走をしたのはいうまでもない。
そんなこんなで微々たる時間であるが日々キャロルと同じ時間をすごすうちに、ますます彼女を愛すようになったのは言う間でもない。
もともと公爵家の厳しい教育を受けている彼女だ。
政治のことも経済のこともその辺の親父貴族よりはるかに詳しく、見識も深い。
最新のニュースにも詳しいが、流行の菓子やドレスにはちょっと疎い。
王妃となる資質は後宮にいる側女と段違いじゃないか?
もっとも後宮の女と比べたなどオーリンズの兄弟にしれたら半殺しにされそうだが(主に肉体的に)。
あぁやっぱりどうにかしたい。
彼女をもっと常に側においておきたい。
日々募る思いをどうしたらいい?
王としての権利を行使して強引に妻にしてしまうか。
とりあえず側女として?
しかし可愛いキャロルを後宮になんかおいておきたくない。
他の側女にいじめられてしまうかもしれない。
そんなことになったら私は側女を片っ端から処刑してしまうかもしれない(それはそれでアリかもしれないが?)
いやそれ以前に側女にしたらオーリンズの人間が黙っていないだろうし、彼女を可愛がっている母と母の侍女にも半殺しにされそうだ(主に精神的に)。
うーーーむ。
どんな政治的問題より困難だ。
日々、悶々とした思いを抱えていたとき、私付きの侍女が一人、暇を願い出た。
このチャンスを逃すわけにはいかない。
お読みいただきありがとうございます。
陛下の変態化がとまらない。




