12・暴走陛下の行く先は?
陛下の回想シーンが続きます。
陛下の妄想暴走は止まらず…(哀)
私は王位を継ぎ、オーリンズ公爵子息はオーリンズ公爵の名と宰相の職を継いだ。
喪中ということもあり、大きな夜会は控えられたが、それでも多少の夜会は開かれる。
その中で社交デビューする者もいる。
オーリンズ公爵令嬢もその一人だった。
キャロルを差し置いて、自分の娘を先にデビューさせたのだ。あの男は。
その話を聞いた時の怒りとやるせなさは筆舌に尽くしがたい。
まさか、オーリンズ全公爵がなくなった途端、キャロルは冷遇されているのではなかろうか。
このまま領地に帰ってしまうのか? まさか領地に帰らされ、土地の適当な権力者と結婚とか…。
考えるだけで苦しく、また血の気が失せてくる。
なぜ、国王になったのに私には何もできない。
父の喪中ではキャロルを正妻として迎える話など議題にできない。
そうしている間にもキャロルを失ってしまうのではないかという恐怖感。
私の恐怖感など御構い無しに自分の推しの娘を王妃にしようと企む側女の取り巻き。
何一つうまくいかない。
何一つ思い通りにならない。
私はどうしたら…。
悶々とした日々を過ごしていた時、思いがけない朗報がまいこんだ。
オーリンズ公爵家のキャロル嬢が皇太后陛下付きの侍女として王宮に上がってくる!
そう聞いた時全身に喜びのあまり鳥肌がたった。
会うことはもちろん、垣間見ることすらできなかった彼女がやってくる。
しかも彼女の方から。
何という僥倖。
やっぱり神さまありがとう!
そうとなれば彼女の労働環境を整えてあげなくては! 女の世界は怖いからな。
幸い母の周りは古参の侍女ばかりだから、間違ってもイジメなどないだろう。
…まてよ。
女の世界より男が問題なのではないか。
あのクソ可愛いキャロルだ。社交デビューしてないとはいえ若い男いや、全ての男が放っておくまい。
…可及的速やかに彼女を私のものだと知らしめる必要があるな。
部屋も快適にしてあげなくては。寒い思いなどしないように寝具も新しくしよう。
そうそう、彼女の寮の部屋のセキュリティも強化しなくてはならない。不埒な男が忍び込もうとするかもしれないからな。
あぁそれでも心配は尽きない。
彼女は天使なのだ。
いっそ私の部屋で囲いたい。
ん、その手があるじゃないか。
私付きの侍女にすればいいのか!
そうすれば人目につくことも制限できるし、強引に部屋を近くにする事も可能だ!
しかし今は人員は足りているからなぁ。しばし機を待つしかないか。
私は思い付く策を使用人の待遇改善の名の下にジャミールに実施させた。
「まぁ使用人の待遇改善に繋がるからいいけど、陛下もだいぶキテますね」
と、呆れるジャミールはとりあえず無視だ。
あぁ、早くおいで。
私の可愛いキャロル。
この改善のせいで使用人思いの優しい陛下と評価が上がったのは嬉しいオマケだ。
実は暴走陛下、書いててちょっと楽しいw




