11・(変態的)一途な思い
陛下の回想回です。
(変態的)目覚めの時!?
ボクがプロポーズをしてから、キャロルはお茶会にぱったりとこなくなった。
母上や公爵夫人に理由を聞いても笑ってうやむやにしてしまう。
誕生日や、クリスマス、その他諸々のイベントにも絶えずプレゼントや手紙を送ったが、ことごとく公爵子息から返却された。
あのプロポーズは失敗だったのだ。
そう理解するのに時間はかからなかった。
そして会えないまま時は過ぎた。
社交界にデビューする前からオーリンズ公爵家の末の娘の噂はどこに行っても聞くことができた。
勉強をすれば教師側が落ち込むほど優秀、剣を持たせれば騎士に負けるとも劣らない腕前、それにもかかわらず教会での奉仕活動をすれば、聖母のような微笑み。
オーリンズ公爵は約束通りにキャロルに教育を施しているようだった。
また、公爵や兄弟達の溺愛ぶりも有名で、デビュー前にもかかわらず毎日のように届けられる婚約申し込みの釣書を片っ端から突っ返しているらしい。
私の邪魔をした長男には文句がないわけではないが、くだらない縁談を受けないその姿勢はグッジョブだ。
とにかく公爵家自慢の娘に成長しているらしい。
私はその姿を想像しては一人で…うん、シタ。主に風呂場で。
余談だが、その為に風呂は基本一人で入ると決めていた。
キャロルが侍女になるまでは。
そんなある日、お忍びで街に出かけた。
するとなんと、教会で開催されていたバザーで偶然彼女を見かけた。
遠くからでもすぐにわかる。
子供の頃の面影の残る白い肌、バザーの手伝いだからか控えめなリボンで1つに束ねられた白に近い薄い金色の髪はフワフワと艶やか、パッチリとした薄いブルーの瞳、ふっくらとした唇、笑顔を浮かべる頬は健康そうなピンク色だ。
マジ女神!
しかも、それだけじゃない。
成長した体はスラリと手足が長く、胸も…年の割に大きそうだ。ゆるいワンピースを着ていても、形の良さがよくわかる。そしてきゅとしまったウエストと、滑らかに続くヒップのライン。
想像以上だ。
どうしよう。
今すぐ側に行き抱きしめたい。
その思いを止まらせたのは、一緒にいた侍従のジャミールが手を引っ張ったせいだ。
何をと思ったが、いつの間にか股間では息子が立派なテントを張っていた。
「この状態で側に行き話しかけたらそれだけで変態扱いですよ、自重して下さい」
「ぐぅ」
ぐぅの音は出るもんだ。
やってくる男達に笑顔で対応するキャロル眺め、客の男達に殺気を送ることしかできなかった。
それからというもの、私の風呂はまさに天国。キャロルを思ってやりまくった。
その頃には側女もいたのだが、全ての女をキャロルだと思ってやっていた。
失礼な話だが、そう思わないと息子はヤル気をださない。
そして私はいつかキャロルを抱くその日まで出来る限り上手くならなければならない。キャロルはハジメテだから、優しくリードしなくては。
側女を練習台にしながら、私は避妊薬を飲み続けた。
ジャミールには本当に子供が出来なくなってしまうかもしれないから女達に飲ませれば、と言われ続けたが、あんな女狐たちを信じるわけない。
本当に子種ができなくなり、キャロルとの子供ができなくなってしまったら…とは思うが、キャロルと過ごせるなら子供はいなくても良い。それこそオーリンズ公爵家から養子を迎えればすむ。それだけの家柄であるのだから。
日々キャロルへの想いは募るが一向に彼女のデビューは決まらず、だんだん焦りばかりが募る。
「かの姫君は15歳ではないですか」
とジャミールが呆れるが、心配なんだ。
あの溺愛してる家族のこと、彼女が政治利用されることはないだろう。
ただ有力貴族である以上絶対はありえない。
外交の手段として外国の王族に請われるかもしれない。
考えるだけで胸が潰してしまいそうだ。いっそ周りの国を潰してしまおうか、という気持ちにすらなる。
そんな時、事件がおこる。
父である国王と彼女の父である宰相が揃って事故にあってしまったのだ。
7月から3の倍数の日の朝7時に更新を目指しております。
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