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鬼畜陛下の愛され侍女  作者: 瑜月
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0・現状の私

 …ナゼコンナコトニ…。


 私キャロル・オーリンズは目の前で繰り広げられる光景に頭を抱えたいのをぐっとこらえる。

 ロザリア王国王宮。だだっ広い王宮の中でもここは“後宮”。ようするに国王陛下のオクサマたちがその美を競っているところで、今は夜で、私は国王陛下の侍女で、目の前では主人(あるじ)である国王陛下がオクサマと夜の営みっちゅーのを営んでいる真っ最中である。


 これはイジメですよね、イヤガラセですよね、セクハラですよね!


 オクサマの甘い嬌声と微かな水音ーーだー!私処女(バージン)だってーのに!ーーが響く薄暗い部屋。オクサマはもはや私の存在なんて気にしていないみたいだけど、陛下はしっかり気にしている。というか奴の意識は8割以上私に向いているのではなかろうか。下を向いていれば刺すような視線を感じ、顔をあげれば目が合い、ニヤッと()()笑みを送って来る。もちろん腰を動かすのも忘れていないし、てきとーな睦言も忘れない、器用なヤツである(違)。


 あーもーやだ(涙)


 軽く意識を飛ばしつつなぜこんな状況になったか考える。

 今日も陛下は晩餐からのお茶、そして湯浴みといういつも通りのコースを辿り、どうやって決めてるかは知らないが6人いるオクサマの一人のところにやってきた。


 うん、ここまでは間違いなくいつも通りだ。


 陛下はほぼ毎日後宮を訪れる。どんだけだ、と思うが個人の自由だし、お世継ぎが必要なのもわかるので、口にはしない。しかし、陛下はやることだけやってとっとと自室へ帰る。オクサマのところにもお泊まりをしたことは1度もないらしい。本人曰く『寝てる間に子種とられそーだからねー』だそうだ。自分で散々蒔いているくせに何を言っているんだか。

 とにかく、陛下をオクサマのところに送り、お部屋を辞し控え室に行こうとしたとき、オクサマに熱烈歓迎(せったい)を受けていた陛下が爆弾を投下した。

「キャロル、そこで控えていてくださいね」

「「はい?」」

 声がハモったのはオクサマとだ。

 この男…もとい陛下は何を言った?

 ここで控えろ…と、ここって寝室内(ここ)? これから営むんでしょ、バカかこの男…じゃなくて陛下。

「へ、陛下っ!」

 私が口を開く前に陛下にしなだれかかっていたオクサマが抗議の声をあげる。

 お願いだから私を睨まないでほしい…。

「サラファ、あなたはいつも通りでいいのですよ。あなたとの仲の良さを誰かに見せつけたくってね」

 麗しいお顔でニッコリ微笑んだ陛下はちゅ、とオクサマの額にキスを落とす。そうするとオクサマーーサラファ様とおっしゃるらしいーーの頬はみるみる赤くなる。


 キモ…


 正直私の魂は体から離れかけていたが、こっちだって3年のキャリアを持つプロの侍女だ。私はいつも通りを心がけ口を開く。冷静に冷静に。

「私はいつも通り隣の控え室におりますので、何かありましたらお声がけいただければすぐに参りますの…」

「キャロル」

 言い終わる前に陛下は短く私の名前を呼ぶと「NO」と言わせない迫力で、濃すぎて黒色に見える真紅の瞳をつと細め微笑む。オクサマに送ったのとは180度違う微笑み。オクサマに向けたのが春の日差しのようなら私に向けたのは真冬のブリザードだ。これは逃げられないヤツ。だいたい微笑みがブリザードってどうよ。

「……」

 もはやひきつる口元を抑えることもせず、私はしぶしぶ扉の横に佇む。ヘタに反抗すれば後でもっと面倒臭いことになるのは経験的に知っている。陛下はその様子を見、ニヤッと薄く()()笑うと、またもや表情を180度変え穏やかな笑顔でとオクサマといちゃいちゃしはじめた。


 どー考えてもイヤガラセですよね!


 オクサマ付きの侍女たちが部屋の明かりを落とし、静かに部屋を出て行く。扉の横に立ち尽くす私に、ある人は哀れみを向け、ある人は「空気読め」的なオーラをぶつけて来る。私だって好きで寝室(こんな部屋)に残るわけじゃない、ってゆーの!


 かくて私の罰ゲーム的時間が始まったのである…。


はじめまして。お読みいただきありがとうございます。

キャロルと陛下の恋物語…になるはずです。

拙い文章ですが生暖かい目で見ていただけると幸いです。

よろしくお願いします。

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