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部活に入部は聞いてない

 俺は学校でボッチだ。だが俺はこれが悪いとは思わない。中学の頃は途中から友達もいた。だがめんどくさかった。休憩時間になると常に話す。そして休日は遊ぶ。俺はそんな人生がめんどくさくてしょうがなかった。本があればそれだけで良かった。

 周りから見れば調子乗んなと言われるかもしれないが、しょうがない。これが俺だからだ。だから俺は高校では誰とも話さずボッチだ。

 小説の様に明るい幼馴染もいたが、小学三年生の頃親が離婚してそれから引っ越して疎遠になり明るい幼馴染なんてものもいない。そんな普通なボッチの高校二生だ。


 ……だった筈なんだけどな。


 「それこっちに持って来て」


 「オッケー!」


 二人はキャピキャピと話しながら教室に使っていなかった机を持って入る二人の金髪の女。


 「ちょっと。吉条も手伝ってよ!」


 ………ほんとどうしてこうなった。


 ~その日の朝~


 本を落として、相当テンションが下がっていた。

 絶対にあの時だ。俺が昨日助けた金髪のせいだろう。俺は金髪を許さない。

 苛つく気持ちを抑えながら教室に入る。

 教室には俺が助けたであろう金髪の二人もいたがリア充のような男達と後ろで仲良く喋っていた。


 あいつら昨日あんな目にあったが明るい様子だ。だが、昨日知らない人呼ばわりした金髪の方は少し一歩身体を引いて話している。やはり昨日の事が残っているのだろう。

 ……まあ、俺には関係ない話だがな。

 背後にいる金髪二人を遠目に見つめながら自分の席に座る。

 毎日のルーティンである朝礼の前までイヤホンして周りの雑音を消して、本に没頭するのだが今日はその本がない。マジで金髪許すまじ。

 俺が金髪に怨念を抱いていると、背後から声が聞こえる。


 「ねえねえ」


 これ俺に言ってるわけじゃなさそうだ。俺の名前はねえねえではない。

 俺の思い過ごしだ。

 中学の頃にこんな出来事がある。

 『ねえねえ』


 『どうした?』


 『え?あ、ごめん。こっちの子に話しかけたんだけど……ごめんね?』

 

 あの時のごめんがこの世で一番傷ついたかもしれない。

 挙句の果てに、それを近くの男に見られ、当分の間は勘違いの広と言われるようになったのを今でも黒歴史として覚えている。


 俺は馬鹿ではない。同じ過ちは犯すつもりはない。


 「ねえ。ねえてば!」


 「痛い!」


 誰に話しかけているのか分からない背後の人物はスパンと良い音を奏でながら頭を叩く。

 何故、叩かれなければならない。うん、無暗に人を叩くのはよろしくない。だからこそ、俺は少し睨みつけながら、背後を振り返るとそこには昨日助けた二人がいた。


 「呼んでるんだから返事しなさいよ!」


 何だこいつ。ツンデレが似合いそうな奴だな。俺はそう思いながらも口にしたらどうなるか分かったもんじゃないので言わないでおく。


 「俺に言われると思っていなかったんだ。それよりどうした?」


 早く要件を聞きたい。なんか周りからとても見られている。それもそうだろう。この二人は美人で相当目立つ。正直に言うと要件を聞かずに今すぐ立ち去ってほしいぐらいだ。


 「昨日もお礼を言ったけど改めてお礼を言おうと思ったのよ。ありがと」


 そう言ってもう一人もお辞儀してお礼を言った。


 「昨日は知らない人とか言ってごめんなさい!ありがと!」


 「だから気にするなって。偶々助けたが次は知らんからな」


 俺はこれで終わりかと思ったが違うらしい。


 「それとこれあんたの?」


 そこには俺が昨日落した筈の小説があった。


 「これ!探してたんだ!ありがとな!」


 金髪最高だ。金髪許さないとか言ってほんとごめんなさい。

 俺は心で謝罪する。


 「あんたって金髪好きなの?」


 金髪の一人がニヤニヤしながら聞いてきた。その原因は偶々俺が買った小説の表紙が金髪のじょせいだったからだろう。


 「ち.....違うわ!偶々だ!」


 慌てて弁明する。決して金髪が好きなわけではない。俺はどの髪型も好きな男子だ。決して金髪が好きなわけではない。


 「ほんとかな?」


 そう言いながら二人で笑い出す。


 「この金髪ビッチが」


 ぼそっと言うと、二人が笑いを止めてこちらを睨んできた。

 どうやらこいつらは耳が良いそうだ。


 「今なんて?」


 一人の金髪が笑ってない笑顔で聞いてきた。

 

 「可愛いらしい金髪って言ったんだ」


 「......え」


 「騙されたら駄目よ!こいつ今失礼な事を言った筈よ!」


 二人の内一人が驚きの声をあげる。

 どうやら誤魔化せたかな?俺は内心冷々してやばい。


 「ほれ。もう戻れ。お前らと話していると周りからめっちゃ見られるんだよ!」


 俺はもうぼろが出ないようにそう言ってこいつらを帰らす。それに、ほんと皆から見られてるんだよな。俺は前も一度言ったが事なかれ主義だ。目立つことなど絶対にしたくない。


 「ちょっと!あんた私達と話すのが嫌だって言うの!?」


 今までそういう経験が無いんだろう。追い払われたツンデレ金髪が慌てた様子で呟くがそんなものは知らん。


 「大迷惑だ。周りを見てみろ!めっちゃ目立ってるじゃねえか!本を返してもらったことには感謝しているが助けたのでチャラだ!」


 そう言って俺は改めて戻ってきた本を読むことにした。

 周りからぼそぼそ言われているが知った事ではない。


 ~放課後~


 早く帰って小説の続きを見たい。なんたって良い所で終わったのだ。あれから主人公がどうなるのか気になってしょうがない。

 すぐに帰る支度をし、教室を出ると、


 「ちょっと」


 俺の目の前にはまたしても金髪の二人がいた。


 「はあ。またか、今度は何だ?」


 「今は放課後なんだからいいじゃない。それより付いてきて」


 「なんだ?告白でもするならここでお願いします」


 「馬鹿じゃないの?」

 

 そんな軽口を叩きながら来たのは職員室だ。何でこんな所に?

 そう思いながらも金髪の二人は入っていくので、ここで帰ってやってもいいが、そうした場合、また明日も俺に話しかけてきそうなので一応ここは従った方が良いだろう。


 「妙先生、ちょっと用事があるんですけど」


 二人が呼んだのは俺らのクラスの担任である萩妙先生だ。教鞭は音楽であり、吹奏楽の顧問でもある女性だ。

 聖職者の教師であるが、茶髪に髪を染めているが、黒に染めていない所を見ると、あまり何も言われていないようだ。

 ただ、周りからの立ち聞きでは三十代に近づいて結婚を焦っているとも噂がある人だ。


 「あら、どうしたの?」


 「部活を作りたいんだけど」


 「タメ口は止めなさいと何百回言えば気が済むのよ」


 「それよりも部活」


 「無理よ。あれ色々めんどくさいのよ。やるのが私なんだから嫌」


 俺はその会話に置いてけぼりだった。何で部活を作るのに俺がいるのか全く分からない。というより、嫌な予感しかしない。


 「先生。お願いよ。いいじゃんそんぐらい」


 二人は抗議するが先生は嫌らしい。しかも先生の無理な理由がめんどくさいからだから凄い。気持ちは分かるが。

 すると、正攻法では無理だと思ったのか、二人は顔を見合わせ頷いた。


 「先生。これ見てください」


 すると、何やらスマホを先生に見せる。

 スマホを覗き込んだ先生は驚愕して、慌てて南澤からスマホを取り、真剣に見つめる。


 「これに招待してあげてもいいんですけど。先生が私達のお願い聞いてくださらないなら」


 何やら取引が行われているらしい。俺の予想では婚活パーティーの招待状とみた。


 「よし。分かった。いいだろう。しかしメンバーは三人以上が必要だがここの三人でいいのか?」


 あっさりと懐柔されてしまう萩先生。もうちょい頑張ろうぜ。

 ただ、今はそれ所ではない。

 ……ここにいる三人?それって俺も含まれてませんかね?いや、含まれてますね。


 「いや。俺は入らんぞ。絶対に入らん」


 ここははっきり言っておかないと、後々流されて入らないといけないやつだ。


 「こう言ってるんですよね。どうにか出来ませんか?先生」


 金髪の一人がスマホをぶらぶらさせながら先生を脅す。

 俺は何でこんな不良娘を助けたのだろうか。ちょっと後悔してしまう。

 先生が俺の方を向いて何やら考え出す。俺は絶対に屈しない。何があっても。


 「そういえば、吉条は三年になったら就職希望だったよな?」


 確かにその通りだ。俺は母が離婚してそこまで稼いでいない。なので大学に行くお金はない。よって、必然的に就職と言う形になっている。


 「そうですけど」


 「部活に入った方がいいんじゃないか?」


 「どうしてですか?」


 「入学した時にも話したが、就職を希望したものは部活に入ってると、それだけで有利なんだ。内申書にも掛れるからな」


 おっと。この人説得が上手すぎるだろ。簡単に屈してしまった。


 「……分かりました。入りますよ」


 どうせ幽霊部員になるし俺には関係ない。

 そう思い話は終わったと思い、職員室を出ようとすると、


 「幽霊部員だと逆に内申下がるからな」

 

 萩先生は最後にそれだけ言っておくように伝える。

 それを早く言いやがれクソババア!俺は心の中で悪態をついたが口には出さなかった。


 冒頭に戻る。


 「お前ら何で俺を誘ったんだよ」


 「面白そうだったからよ」


 「俺は面白くないぞ」


 「今まで私達と話す奴は大概嬉しそうに話すのに、あんたは違ったのよ。そんな人初めて見たわ」


 それにもう一人も頷いている。


 「俺はお前らの玩具か何かかよ」


 「確かにそれも間違ってないかもね」


 笑顔でそう言う。そんな風に言われたら俺もどうやって返したらいいのかが分からないんだが。


 「それよりここは何の部活だ?」

 

 「聞いてなかったの?ここはお悩み相談部よ!」


 「まあ、なんともテンプレの様な部活なことで」


 「テンプレ?」


 「何でもない」


 お悩み相談部ってもう単語が最近では聞き覚えがある気がする。もしかして、こいつら隠れオタクなんじゃねえの?とは思わずにはいられない程だ。


 「それよりも自己紹介がまだだった。私は南澤真澄(みなみさわますみ)

 

 顔立ちは日本人で、目が青色の金髪の美人が南澤。どうみてもツンデレお嬢様と思わされる雰囲気を醸し出している。


 「私は寺垣真由美(てらがきまゆみ)


 こっちは美人の日本人で、髪は染めただろう金髪が寺垣。こいつは心で不良娘と名付けよう。


 「俺は吉条宗広何だが......」


 苦難しか待ち受けていない気がする。

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