15話
ふーん、ここでは農業が盛んな様だね。
家へ案内させている間の殆どの道の両脇が畑や田んぼだった。
そんな事を考えている間に家に着いた様だ。
老人の家はここら辺で言えば一番地位の高い家の様で他ではあまり見られない門や庭などがあった。
「そちらの立派な騎馬はこちらです。」
そう言い庭の隅を指す。
僕は言われた通りの場所へ馬を置く。
本当はもう戻しても良いんだけどね驚くだろうからさ。
僕はそのまま馬から降りると改めて屋敷を見る。
ここら辺では一番大きな屋敷に恐らく貴族であろう紋章、そして隅々まで丁寧に手入れされた庭という風にただの村長などではなさそうだ。
「ではこちらです」
老人の案内で連れてこられたのは屋敷の一番奥の部屋だった。
コンコンと老人がノックすると入れた返事が返ってくる。
部屋に入ると豪華ではないが良い生地で作られたであろうカーペットに美しい調度品が置かれた部屋の一番奥に眉にシワがより険しい顔をした威厳のある男が机の前に座っていた。
しばらく睨み合っていると突然男は表情を緩めるとこちらへ向かってくる。
「どうも、私はこの地を治めているアルヴァンティア・ティルヘラヴィスと言います。一応辺境伯の地位を頂いております。」
やはり貴族か、なんか貴族ってメンドくさそうなイメージがあるから苦手だなぁと思っていると何を勘違いしたのか突然頭を下げてきた。
「あ、あの…どうしたんですか」
「いえ、私の眼では貴方が見抜けなかったのでかなり高位の方かと思いまして」
「みるって何をですか?」
「はい、実は私これでも昔は英雄と呼ばれておりまして、魔眼が使えるんですよ。それで貴方の力を測ろうとしたら見ることが出来なかったので、これはかつて対峙した中でも2人しかいませんでした。」
へぇ、魔眼か…あの2人が好きそうな話題だね。
「あの…もし良ければ手合わせしてもらえないでしょうか。私は元は平民の出なので力がある者には忠実なのですよ。それに見たところ貴方もそれなりの地位がありそうじゃないですか。どうです?」
面白い
「えぇ、是非!元英雄様の力見せてもらいますよ。」