13話
空に浮かぶ愚者に向かい全力の威圧を掛けるが奴はそんなもの気にかけず、ニヤっといやらしい笑顔を作りこちらを見てくる。
「チッ!鬱陶しい。」
俺は翼を出し、全身に魔力を纏わせると、一瞬で奴の真上に移動すると全力の
魔法を放つ。
「終焉魔法【序章】!」
魔法を発動すると俺の上の次元が歪む。
するとその歪んだ次元から黒い握り拳ぐらいの球が落ちてきた。
俺はすかさず後方に避難する。
あいつにはそれが見えてないようで突然後方に避難した俺を見て警戒している。
だが無駄だ。その魔法は感知できないからな。
「さぁ滅べ」
俺がそう言うと黒い球がどす黒い光を上げながら、爆散する。
しばらくし、魔法と土煙が落ち着くとそこにはさっきまでいたあいつと平原が綺麗に消え去っていた。残るのはただ荒れた大地だけだった。
俺は何も残っていない空間を眺めるが、どうやら本当に完全に消え去ったようだ。案外あっさりと倒せてしまったので初め感じていた危機感は忘れていた。
➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖
とある渓谷
そこには皆それぞれの仮面をした者達が円卓に12人座っていて、一人の仮面の男を見ていた。
「えぇ、私の分身が倒されてしまいました。今からその時の映像を流しますね。」
そう言うと仮面の男が壁に向かい魔法を使う。
すると先程の戦いが全て再生された。
「ほう、これは件の堕天王では無いのかね。」一人の仮面の男が問いかける。
「きゃはっ、そう見えるね。」と楽しそうに言う仮面を付けている少女が言った。
「では我々の最終目標に弊害が出ると思うかね?」
「それはどうだろうな。だが正面衝突ともなればコチラ側にも少なからず被害が出るだろうな。」
「でっでっでも、お、俺だちのい、居場所はわ、我がっでねんだろ。だっだっ、だっだら、大丈夫なんでねぇが?」
そう太った男が言うと。
「えぇそうですね。確かにコチラ側の居場所はバレてないようですし、それにコチラ側は奴の居場所はこちらは把握出来ていますわ。」
口から上が仮面の女性が、笑いながら言った。彼女はこの場に相応しくないひらひらのドレス姿であった。
「えー、ではこちらからはこれ以上は何もせず、今まで通りに我等が最終目標へ向かい準備を進めると言うことで、但しコチラ側の弊害になる様でしたら排除します良いですか、皆さん?」
「「「「「「「「「「「我等が主の為に!!」」」」」」」」」」」
そう言うと映像を写していた男を残し、他の全員が霧散した。
「さてと、そろそろ私もやりますか…」
そう呟いた声は、誰の耳にも聞こえることなく儚く消えた。
自分のもう一つの作品『機械王子の冒険譚』もよろしくお願いします。