6話 地下へ移動(落下)
投稿が遅れてしまいました。申し訳ないです。
9月9日追記:見やすいように本文を修正しました。
「白い草…白い草…。う~ん中々見つからないよ…」
イピュラの神殿の一階を歩いて探しながらマリヤは呟く。
神殿内は魔物が徘徊しており立ち入りが制限されいることもあって余り整備されていない。だから所々に植物も生えているが色の違う別の薬草かあとは雑草くらいである。
「はあ…この神殿本当に広いな~。これだけ広いと疲れちゃうし、少し休憩しようっと」
マリヤは休憩でするのに丁度良さそうな所を周りを見渡して探す。
「あっ!石の柱ちょうどいいかも!」
少し先に途中から折れて床に倒れている石柱を見つけて彼女は駆け寄る。
「よいしょっと。ふう、少し休憩と…」
石柱に腰掛けてマリヤは一息つく。
(そういえばあの人神殿の地下に行くって言っていたけど大丈夫なのかな?)
別行動をとっているパラケルススのことを思い出して少し心配になる。
(でもこの神殿のことをよく知っているみたいだし、なんかすごい魔法も使えるみたいだから大丈夫だよね)
だが先程置いてけぼりにされてから全く合流することも出来ていないのでマリヤは不安になってくる。
(も…もしかして魔物に襲われて身動きがとれないとか?もしそうだったらどうしよう…。探しに行った方がいいかな?でも神殿の地下は危険だし…う~ん……)
探しに行こうかと思い彼女はその場で考え込む。
『あ~…聞こえているかね?』
「ひぃあっ!!」
突然パラケルススの声が辺りに響きマリヤは驚く。
「お…驚かさないでくださいよ!!心配で探しに行こうかと思っていたんですから!」
『ふむ?それは悪かったね』
彼女は声の聞こえてくる上に向かって大声で言うがパラケルススの声は適当に謝るだけであった。
「はぁ~…それはいいとして。急にわたしを呼んだりして何かあったんですか?」
マリヤは彼の声に問いかける。すると直ぐに返答がきた。
『ああ、君に伝えておかないといけないことがあってね』
「伝えておかないといけない事ですか?もしかして見つけたんですか白い薬草!?」
『いや、それではないよ。呪い祓いの白草はまだこちらも見つけていないよ』
「じゃあ何でしょうか?」
マリヤは首をかしげながらパラケルススの声に言う。
『実はね呪い祓いの白草を探していたら、途中で貴重な魔法薬の素材になる魔物に遭遇してね』
「あの…何道草をしているんですか?」
パラケルススの声に彼女は呆れながら言う。
『中々に金になるからね。まぁ~それで倒して回収しようかと魔法を放ったら、外れて地下の天井に当たってしまった』
「それがどうしたんですか?」
マリヤはいまいちパラケルススの言っていることが理解できない。
『まあ~簡単に言うとだ、その魔法の当たった天井の場所が神殿の一階で言うと…』
「それって…まさか……」
彼の言っていることに嫌な予感がしてマリヤは訊き返す。その時彼女の周囲の床がパキパキと音を立て始め亀裂が入り始める。
『ふむ、察しが良いね。丁度君が今いる辺りだ。崩落するから気を付けたまえよ』
「なにやってるんですかー!!」
パラケルススの声に向かってマリヤは叫ぶ。そして彼女が叫んだと同時に床がバゴンッ!!と大きな音が鳴り崩れだした。
「こんなの嘘でしょーー!!」
床が崩れて空いた大穴に落ちながらマリヤは叫ぶ。
(どうしよう…このままじゃ…てっ…あっ!!)
大穴から落下しながら下の方を見ると地下一階にパラケルススが立っており、彼女の様子をまるで見物客みたいにお~っといった感じで眺めていた。
「そんな所で見ていないで助けてくださいよーー!!」
マリヤの声に気付いて、やれやれといった感じでパラケルススは何やら魔法の詠唱を始める。
「『柔らかな風よ、大地へと降る者…いや…落ちる間抜けを包み込みて庇護したまえ』」
魔法が発動するとマリヤの体は光の膜に覆われてふわりと浮きながらゆっくりと落ち始める。
(は~…助かった……)
彼魔法の光に包まれゆっくりと下に降りながら彼女は内心でホッとする。
「まったく君は手を焼かせてくれるね」
着地したマリヤに近づきながらパラケルススは言う。
「助けてくれたことには感謝しますけれど、そもそもの原因はあなたにありますよね!それに助ける時に間抜けって言ってましたよね!?」
「ああ言ったとも。私が君に警告をしたのに落ちてくるのだからね」
少し怒り気味のマリヤに彼は当然といった風に言う。
「というか薬草探しのはずなのになんで魔物を倒そうとしているんですか!?」
「高く売れる魔法薬の素材になるからね。倒して回収しても損は無い」
「もう!真面目に探してくださいよ。このままだと時間だけが過ぎちゃいますよ」
「いや、もっと時間が掛かるだろうね」
「えっ…どういうことですか?」
パラケルススの言葉に怒り気味のマリヤは意味が解らず訊き返す。
「私が魔法を放って仕留めようとした魔物に気付かれてしまってね。何とか逃げ切ることは出来たんだが、今のでばれただろう」
「それってマズくないですか…」
「ああ、とてもマズいことだね。中々に察しがいいじゃないか君」
そう二人で話している間に少し離れた所からドスリドスリと大きな足音が近づいて来る。そして二人の前でその足音は止まる。
「あ…あの~、ここ…これって」
震える声でマリヤは目の前にいるものを指差しながらパラケルススにきく。そこには岩の塊のような巨体の魔物が、大きな銀色の大斧を両手で持ちこちらを睨むように見つめている。
「ふむ、こいつは『銀斧振い』。腕の立つ冒険者が束になって挑んでも手の付けられない魔物だよ」
「どうするんですかーー!!」
巨大で凶暴な魔物を前にしても呑気なパラケルススにマリヤは叫んで言う。
次は戦闘になりますが、錬金術師が規格外設定のためインチキ臭い倒し方になります。
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