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4話 転移と侵入

文章の書き方はこれでいこうと思います。

でもまだちょくちょく変わるかもしれません。


8月29日追記:文章に一部を追記、修正しました。

9月9日追記:見やすいように本文を修正しました。


「まあそれはおいておいて、早くイピュラの神殿へ向かうとしよう」


「む~…分かりました。急いでいけばすぐに着きますからね」


パラケルススにからかわれたことを少し不満に思いながらも、マリヤは彼に同意する。

イピュラの神殿のある南西の丘までは徒歩で一時間程度で行ける。定期的に王国の騎士団が魔物の駆除をしており道中で襲われる事は殆ど無く、襲われたとしても弱い魔物が多い。


「ふむ、そうしよう」


パラケルススはマリヤの言葉にうなずくがその場から動こうとしない。


「あの~、言っていることと動きが一致していないのですが……」


「君こそ何故店から出ようとする?早くこちらへ来たまえ」

そう言ってパラケルススは自分の方に手招きをする。


「お店から外に出ないと神殿に行けませんよ?また私をからかっているんですか?」


またバカにしてと内心で思いながらマリヤは言う。


「私は別にからかってなどいないさ。わざわざ外に出る必要は無いよ。これから転移でイピュラの神殿へ行くのだから」


「えっ!転移で行くんですか!?」

「あぁ、そうだとも」


パラケルススの口から出た『転移』という言葉にマリヤは驚く。何故なら転移は国と国との長距離移動などに使われるものであり、転移に使う転移石自体が非常に高価な物で使い捨ての魔法道具だからだ。


「そんなに時間はかからないんですから、いくらなんでも勿体無いですよ!」

「大丈夫だよ。私の転移石は特別製だ、幾ら使っても壊れることは無い。それに徒歩で移動なんて面倒だろう?私はあまり無駄な事に労力を割きたくないのでね」

「……凄いことは何となく解りましたが、それってどうなんでしょう…」


パラケルススの言い分にマリアは少し呆れてしまう。


(この人、普段の生活どうなっているんだろう……)




「さてと、転移先は神殿の入口辺りでいいだろう」


パラケルススはそう言って懐から綺麗な緑色の結晶石を取り出す。結晶石が淡く光り、彼の周囲を転移の魔法陣が展開される。


「ほ~ら、早く来たまえ。でないと私だけで行かせてもらうよ」

「あっ~!まっ…待って下さいよ!!」


慌ててマリヤはパラケルススを取り囲む魔法陣の中に入る。彼女が入ったと同時に魔法陣は更に広がり、周囲が強い光で満たされる。


「キャッ…まぶしっ……!」


圧倒的な光の眩しさに思わず目を瞑る。




「ふむ、イピュラの神殿に到着だ。君、何時まで目を瞑っているんだ?」

「あれ?もう着いたんですか!?」

「当然だろう。転移は一瞬で済む」


パラケルススに言われ、マリヤは目を開ける。目の前の景色は今までいた薄暗い店の中ではなく半ば崩れた神殿の入口に変わっていた。


「へー…イピュラの神殿ってこんなに大きいんですね。この辺りは来たことが無いから初めて見ました」

「そうかい。私にとっては見慣れた光景だ…昔は何度も来たからね。」


初めて見る神殿に少し感動しながら話すマリヤにパラケルススは言う。どこか昔の事を思い出しながら。だがマリヤはそのことには気付かない。


「よーしっ!それでは早く魔法薬の素材を探しにいきまっ…あだっ!!」


神殿の入口へと走り出したマリヤはいきなり何かにぶつかりその場で尻餅をついてしまう。


「う~…見えない壁?」

「あ~言い忘れていたが、この神殿は許可の無い者が入らないように王国の魔導師によって結界魔法が張り巡らされているんだよ」

「早くそのことを言って下さいよー!!というか許可が無いと入れないって…それじゃあ神殿の中に入れないじゃないですか!!」

「それなら心配はいらない」


マリヤは重大な事に気付いて慌てるが、パラケルススはなんてことは無いといった感じで落ち着いている。


「今から結界魔法の一部を破壊して入るからね」


そう言ってパラケルススは目の前の何も無い空間にスッと手をかざす。するとその手をかざした部分だけ結界魔法によって生み出された魔法壁がぼんやりと浮かび上がる。そして彼は魔法の詠唱を始める。


「『呪える霧よ、脆き者取り巻く仮初の防護を蝕み喰らいて引き剥がせ』」


パラケルススはそう詠唱すると魔法壁に触れている片手から黒い霧がもくもくと出始める。そんな様子を少し離れてマリヤは見ていてあることに気付いてしまう。


(えっ…?破壊するってことは無断で神殿に入るってことだよね。つまりこの人、神殿に入る許可をもらってないんじゃ!?)


「ちょっとストップ!ストップですっ!!これじゃあ犯罪ですよ!!」


慌ててマリヤはパラケルススを止めようとするがもう遅かった。魔法壁の一部は彼が放った魔法の霧によって溶かされ、人一人が通れる程の大きさの穴が開いてしまっていた。


「よ~し、これで入れる。うん?どうしてそんな顔で私を見る?」

「えぇ~!!こんなやり方ムチャクチャですよ!ばれたらどうするんですか!?私まで騎士団に捕まっちゃうよー!!」

「安心するといい。この程度では国の騎士団には気付かれたりはしない。神殿を覆っている魔法壁を丸ごと吹き飛ばしでもしない限り大丈夫だ」


魔法壁を溶かして満足げなパラケルススにマリヤはパニックになりながら問い詰めるが、彼は見当違いなことを言う。


「そうじゃなくて!ちゃんと入る許可をもらってか……あれ!?」


話しているマリヤを放ってパラケルススは神殿の中に入ろうとしている。


「神殿の入口で突っ立ていた方が騎士団に怪しまれる。君も早く来たまえ」

「あ~っ!待って下さいー!!」


マリヤは急いでパラケルススの後を追う。


(何かとんでもない人をわたしは頼っちゃったのかな……)


そんなことを考えながらマリヤはイピュラの神殿の中へと入っていく。


最後までありがとうございました。今回は少し文章の量が多かったかもしれません。

明日辺りから死に祈りを捧げたりするので、投稿がゆっくりになりそうです。


読んでいて誤字や脱字、その他気付いたことがありましたらご指摘をお願いします。

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