灰色の少年
点滅している 青い明りを
見ながら君は 立ち止まり言ったね
「ほら見てごらん 信号機だって
やっぱりぺらぺら 薄いんだ」
ああ 君は前から そんな冷たい目で
世界も僕も ずっとずっと見ていて
そんなことを考えていた時 突然君の体つぶれて
ぺらぺらに収まりきらない分 全て僕に付着して
濁った君の目が 僕をずっと睨み続けてる
「なんで」って睨み続けてる
「お願い」って睨み続けてる
点滅している 僕の視界に
映る景色は 灰色の様で
動く人、人、 たくさんの車
そればかりが 映ってて
ああ なんでこんなに たくさんいるんだ
君はもう 立体的に動けないのに――
そんなことを考える僕の 右手にはいつの間にか
鋭いナイフが握られて それを前に突き出して
灰色の視界の中 一人叫んでる
二人、三人 叫びは増えてく
叫びは全て 僕が殺した
全ての命がつぶれていき
僕だけ動いている
君と同じ場所に 行きたいだけだったのに
一体僕は 何を 何をしているんだ
そんなことを考えた 僕の前に飛び込んだ
少女が笑顔で僕を ずっと見つめている
ああ 入ってこないでくれ 僕の目にはもう
つぶれた「君」の顔しか 映らないんだ
イレギュラーを潰す そのためだけに
僕の右手が動いて ころす
付き刺された少女 何故か嬉しげ
「やっと殺してくれた 私に触れてくれた」
その少女の瞳 やっぱり濁っていて
僕の視界の 点滅は終わり
青い光も 赤に変わった様で
次の瞬間 潰れていった