『力が欲しいか──』「欲しい!生産者一名の二次創作を覇権にする力を!」
『位置エネルギーしか与えられない──』
神の声に私は盛大に泣いた。それはもう、本当に盛大に。
「神様なんでしょ!」
『与えようがないだろう──』
「正論止めなさい!何様よ!」
『神様だが──』
突然の天の声は、どうやらレスバも天才級らしい。これには、さすがの私も神様と認めざるを得なかった。
『レスバにすらなってないと思うが──?』
「レスバでしか人を語れない……まさに、レスバの神」
『力を与えるの辞めよっかな──』
それは困る。力は欲しい。欲しいのだけれど。
「位置エネルギーもらってもしょうがなくない」
『手っ取り早いからな──』
手っ取り早さだけで、与える力の方向性を決めないでほしい。
与える力っていうのは、だいたい私にとって都合のいいものであるべきなのだ。
つまり。
「私が欲しいのは、『刻をかけるキミと僕』の鉄壁の相棒たるアットと、旅の途中で仲間になったナツミのカップリングをずんどこずんどこざくざくぼこぼこどしどし生み出せる力なの!」
『もう少し擬音の使い方を考えたらどうだ──?』
「ぬめぬめべちょべちょぎあっちょぎあっちょ産み出してほしい!」
『オノマトペの才能が皆無──ぎあっちょってどういう擬音語─────?』
うるさい。仕方ないじゃないか。私に文才があったら、そもそもこんな力を神ごときに頼るつもりはない。
でも、どうしても。
あの原作で繰り広げられる甘酸っぱい二人の掛け合いを、私では再現できないから、祈るしか無かったのだ。
「マイナーカプの生産は、祈りに近いのかもしれない」
『そうか──??????』
人間の先祖は洞窟の壁に、彼らの神を描いた。思いがあふれたら、どうしても、外に出さないと、ヒトは成り立たないのだろう。
それが、私にとっては、アツナツ(※カップリング名称・表記ゆれあり)なのだ。
ああ、そうか。
「目が覚めた」
なんて当たり前だったのか。
私の祈りは私のものなのだ。何が神の力だ。神ごときの力で、尊みを可視化できてたまるものか。
私が生みだすしかないのだ。
きっと百年後には、私の推したちは神話になる。私の作品は教典になるに違いない!
『というか、今その作品を知ったのだが──』
私の決意をよそに、なんか神がごちゃごちゃいい出した。
『再現も何もまともな会話シーンはトータルで4行ほどじゃないのか──』
「だーかーら!マイナーカプって言ってんでしょ!さっさとあんたは位置エネルギーを私に与えてどっか行けや」
『結局いるのか──』
◆
3ヶ月後
「──が、力が──。力が、欲しい!」
『ならば与えてしんぜよう──』
「なんか界隈の発信力はなぞにあるタイプのオタクの地雷を踏んじゃってたみたいでなぞにしてる炎上を収める力を!」
『それは無理だ、反重力しか与えられない──』
「なんか強そうだね!?」




