スキルレベル3の能力
名称:ケアル草
概要:トラヴィス大陸全域に広く分布する薬草。湿地や毒虫の多い地帯によく見られる。
効果:解毒軟膏の主成分となる植物で、軽度の毒素に対し排出を促す効果を持つ。葉は強い酸味とえぐみを有し、食用には不向き。旅人の間では毒消し草として知られている。
解毒力:20
名称:ダレ草
概要: 貧民街の路地裏や排水溝の近くに生える常緑草。匂いがわずかに酸っぱい。
効果: 茹でるとえぐみが和らぐ。腹には溜まるが、後味が微妙に残る。飢え凌ぎには有用だが栄養価は低い。
一部の薬草の効用を高める特性を持つが、単独では何の役にも立たない。
解毒力:×3
(並べてみることで、相乗効果で変化する数字を見られるようになっているのかしら?)
仮説を検証すべく、先ほど使ったヒル草のあまりとダレ草を比較してみることにした。
名称:ヒル草
概要:トラヴィス大陸の各地に自生する多年草。乾燥地帯から森林縁まで広く分布している。
効果:傷薬の基礎材料として用いられる。葉に強い苦味と特有の刺激臭があり、食用には適さない。古くから軽傷時の応急処置として用いられており、消毒および止血・皮膚再生を促す性質を持つ。
消毒力:30 再生力:15
名称:ダレ草
概要: 貧民街の路地裏や排水溝の近くに生える常緑草。匂いがわずかに酸っぱい。
効果: 茹でるとえぐみが和らぐ。腹には溜まるが、後味が微妙に残る。飢え凌ぎには有用だが栄養価は低い。
一部の薬草の効用を高める特性を持つが、単独では何の役には立たない。
消毒力:+20 再生力:×4
(今度は、項目の内容と、数字の前の記号が変わっていますわ。今度は以前成功したリフェルリーナ美容液の材料で確かめてみましょう)
名称:ヒル草
概要:トラヴィス大陸の各地に自生する多年草。乾燥地帯から森林縁まで広く分布している。
効果:傷薬の基礎材料として用いられる。葉に強い苦味と特有の刺激臭があり、食用には適さない。古くから軽傷時の応急処置として用いられており、消毒および止血・皮膚再生を促す性質を持つ。
消毒力:30 再生力:15
名称:クラン根
概要:トラヴィス大陸の湿地帯に自生する太い根を持つ植物。地下に広く根を張る。
効果: 粘性のある液を含み、煮出すことでとろみのある抽出液が得られる。保湿効果があり、薬草の加工をしやすくする補助材としても使われる。
消毒力:-15 保湿力:+20
名称:リュファの果殻
概要:トラヴィス大陸南部の峡谷地帯に自生するリュファ樹の果実の外殻。乾燥させて砕くと微細な粉末となり、古くは軟膏の練り材や皮膚の手当てに使われていた。
効果:皮膚表面の硬化を防ぎ、傷口周辺の柔軟性を保つ補助効果を持つ。止血・再生を促す作用はないが、他薬草の浸透を助ける目的で併用されることがある。
再生力:-5 消毒力:-5 浸透力:+20
(なるほど。合計すると消毒力:10 再生力:10 浸透力:20 保湿力:20 となって、傷薬としての効果は下がっても、美容液としての効果は十分という鑑定結果になるわけですわね。調合の仕方次第で、また数値の増減は変わって来そうな気もしますけれども。それにしても完成品には、数値の結果が表示されない辺り、ちょっと意地悪な仕様ですわねー。これじゃあ、逆算してレシピを再現できませんし……うん?)
レベルアップした鑑定能力の仮説と検証に夢中になっていたロクセラーナは、そこでようやくゼドとポルカが騒がしいことに気がついた。
「すごいぞ、ロシィ! 傷が一瞬で塞がった! ギルド製の薬と全く効果が同じだ!」
「だからって、ゼド兄さん! 自分で自分の腕を斬りつけることないじゃないっすか! 治らなかったら、どうするんすか!」
「うきーーー!?!?!?(何ですってー!?!?!?)」
ゼドが知らぬ間に自己犠牲精神を発揮していたことを知り、ロクセラーナは全身毛を逆立てる。
(ポルカの薬を試されていた時に、ご自分の体を大事になさってくださいと、あれほどお伝えしましたのに!)
残念ながら、役に立たない薬を捨てて、新たに薬を調合したロクセラーナの真意は、ゼドには伝わっていなかったらしい。
いくら愛しい人とはいえ、いや愛しい人だからこそ、ゼドをこのままにするわけにはいかない。ここは未来の妻として、ゼドをガツンと叱りつけなくてはなるまい。
「うきき! うきうきうきききうききき……(ゼド様! こんなことはもう二度となさっては……)」
「ロシィが何日も頑張って、レシピを再現してくれたんだ。検証の為に、俺が体を張らないでどうする」
心を鬼にして、猿語でお説教しようとしたロクセラーナの体を、ゼドが優しく抱き上げる。
「ロシィはすごいな。本当に、すごい猿だ」
(くぅぅーーー! 100万ザルンの笑顔! こんなかわいいお顔で褒められたら、怒れませんわー!)
間近でゼド笑顔を目の当たりにしてロクセラーナがめろめろに骨抜きになっている一方で、何故かポルカは頬を引き攣らせていた。
「……ゼド兄さん的にはすげえ優しい笑顔をしているのはわかってるんすけど、残念ながらオレには凶悪犯が獲物をロックオンした顔にしか見えないっす。何ならお猿師匠を、このまる飲みにしてもおかしくなさそうというか」
「……俺だって傷つくんだぞ。ポルカ」
「ほんと、ゼド兄さんは顔で損してるっすよね。その笑顔をかわいいと思ってくれる女性が、いつか現れること祈ってるっす。じゃなきゃこのまま一生独身……いてっ!」
「よけいなお世話だ」
「よし、これで傷薬が10本、毒消し軟膏が10個、完成っすね!」
出来上がった薬をホクホクと抱えながら、ポルカが深々と頭を下げる。
「ゼド兄さんの協力と、お猿師匠の奮闘のおかげで、オレでもレシピが再現できるようになったっす。本当、お二人……いや、お一人とお一匹には感謝してもし足りないっすよ」
ポルカの言葉に、ゼドが苦笑いを浮かべる。
「いや、俺は大したことはしていないぞ。全部ロシィのおかげだ」
「うききうききき!(そんなことはありませんわ!)」
ゼドがお金を工面してくれなければ、そもそも素材を用意できなかっただろうし、そもそもロクセラーナは協力を申し出ることもなかっただろう。
(本当にゼド様は謙虚でいらっしゃるんだから……でも、そういう所がす・て・き)
結果的にロクセラーナも【鑑定】レベルがあがったわけだし、いつでもゼドの為にギルド製と同じ効果の傷薬や毒消し軟膏も用意できるようになったのだから、成果としては上々と言えよう。
「だけどポルカは本当に、これ以上のレシピはいらないのか? よくわからないが、クスクが言うには、ロシィは特別なスキルを持っているんだろう? ロシィの協力があれば、もっと色々レシピを解明できそうだが」
「これ以上、お猿師匠をゼド兄さんと引き離すのも悪いっすから。それにあんまり知っちゃうと、製薬ギルドに目をつけられそうですし」
そう言ってポルカは、頭をかいた。
「傷薬と毒消し軟膏くらいだったら、いくらでもレシピ発見の言い訳はできるでしょ? デーブルみたいに、たまたま混ぜたら効いたとかで。それくらいでいいんすよ。そもそも、この薬も含めて貧民街で売れるかっていったらまた、微妙っすから。でも、いいんす。オレが救いたいと思った時に救える薬さえあれば」
「……あんまり慈善事業ばかりし過ぎるなよ。それでお前が飢えてたんじゃ、元も子もないからな」
「大丈夫っすよ。エンリケさんが、お猿師匠が開発した美容液の卸先見つけてくれて、毎月一定額収入が入って来るようになったんす。オレ一人食ってくだけなら、それで十分っすもん」
(私が開発したというか、元々は化粧品で有名な老舗、リフェルリーナのレシピらしいですけど。まあ、中身が同じだとわかる人は少ないでしょうし、ブランドなしで安く売るのなら問題はないですわね。きっと)
エンリケと聞いて、利益を大分掠め取られていないか心配にはなるが、伝手への仲介料がただでないのは当たり前。
配分が適正かどうかは、傷薬をただで処方したポルカの恩を、エンリケがちゃんと受け取っていることを信じるしかない。
(不衛生な処置のせいで化膿して悪化した傷を、ポルカが新薬で治した時に見せたあの感謝の涙は、本物でしょうしね)
「それで、ゼド兄さんとお猿師匠は、これからどうするんすか?」




