番外編 映像記録第9号
XX県K市P区W町
20XX年 6月1日 22時18分
以下の映像記録は、伊藤誠司(のちの発症者1739号個体番号12番個体名”人狼1号”)
とその知人である井川研一(のちの発症者1745号個体番号15番個体名”浮遊金魚1号)によって撮影されたものと見られるものです。
映像は二人の失踪現場であるK市市民公園から回収された伊藤誠司のスマートフォンから発見されました。
映像開始
井川「ほんとに見たんだって!」
伊藤「またなんかの冗談だろう?」
井川「ほんとにいたんだよ!UFOが!」
二人は階段を登っている。
井川「この階段を登ったところでさあ!確かに見たんだよ!この目で!」
伊藤「信じるわけねぇだろ」
井川「そんなこと言って、ちゃっかり映像撮ってるじゃん」
伊藤「お前が撮れって言ったんだよ!!」
階段は残り半分を切った。伊藤の舌打ちが聞こえる。
伊藤「今時UFOなんて出るわけないだろう」
井川「俺だってそう思ってたよ!でもいたんだ!確かに!」
伊藤「んなこと言ったって、、、」
井川「ほら、急ぐぞ!まだいるかもしれねえ」
伊藤「はぁ、、、」
井川が駆け出し、伊藤が後を追う。映像が激しく揺れる。
井川「あと少しだ!」
二人の足音が止まり、映像の揺れがおさまる。階段上についた様子が映し出される。
映像が上を向く。空には無数の星が浮かんでいる。UFOらしき物体は確認できない。
井川「おかしいな、、、」
伊藤「やっぱり、見間違いか何かだろう?」
井川「でもさっき、、、」
伊藤「ほら、もう諦めてさっさと帰るぞ」
伊藤が後ろに向き直る
井川「おい」
伊藤「なんだ?」
伊藤が後ろに向き直る
井川「なんだ?あれ、、、」
井川が何かを指差している。
伊藤「え?」
井川が指差す方向にカメラが向く。
カメラが向いた先30メートルほどの地点に、黒い人影のようなものが映し出される。
人影は身長が5メートルほどあるように思われる。性別はおそらく男性。コートを羽織り、帽子をかぶっているように見える。周囲が暗いため、顔等の細部は確認できない。
男が二人に迫ってくる。
伊藤「逃げろ!」
伊藤が駆け出す。
画面が激しく揺れる。
直後、井川の悲鳴が背後から聞こえる。
伊藤「クソッ!」
伊藤は振り返らず階段を駆け降りる。
伊藤「ぎゃっ」
カメラが地面に落とされる。
男のものと思われる呻き声と、伊藤の悲鳴が記録される。
直後、画面が暗転する。
映像終了
備考
その後二人は失踪。現場からは二人の着用していた衣類と所持品が発見された。
回収された所持品はその後、警察から対策本部に引き渡された。
今回確認されたコートの男(仮称 スレンダーマン)については現在所在を捜査中。
爆破性異常症状対策本部
番外編を読んでくださった皆様へ
本当にありがとうございます!
今後もたまにこんな感じの番外編を挟もうと思っています。
よろしければ、感想等お伝えくださると幸いです。