表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/9

4,一座との旅

短いです。


「石礫をな、こうして飛ばすと・・・」

クナイ投げの伴次はそう言って小さな小石を投げると、落ちてくる葉に当たった。

「「すげ~」」

縁と新平は次々と葉にあてる技に驚き、感動した。

「その技おいらたちにも教えてくれるんだろう?」

「縁にできるかなあ?」

「できるよ!」

「でも、これは人を傷つけるために教えるんじゃねえぞ?」

「「うん??」」

「相手の気をそらして、その間に逃げたり、相手に捕まっている時にその相手をひるませるためにやるんだ。だから、石礫は小さなものを使え。あてるのは相手の額や首筋だ。

俺がいいというまでは決して外で使っちゃいけねえぞ」

伴次がそういうと、二人はしっかりと頷いた。


伴次が舞台で見せるクナイ投げは、正確に紙風船に当たり、磔の状態でクナイを受ける者に決して当たることはない。

縁と新平は休み時間を利用して、伴次から教えられた練習を重ねた。


他にも、軽業を得意とするお軽さんからは、そのあたりの塀の上まで登る方法と、屋根の上を走るやり方を教わった。

「あんたたちはまだ体が軽いんだから、力じゃなく、反動を利用して飛ぶんだよ。

この軽業で女湯なんぞのぞいたら承知しないからね!」

「そんな事しねえよ」「おいらも、女湯のぞいたって仕方ねえじゃねえか」縁がそうつぶやくと。

「なんだって?まったく今どきの子は・・・」そう言ってお軽は笑った。




そして、燕からは何故か踊りを教えられた。

「踊りだからってバカにしちゃあいけない。体感を鍛えなきゃ、お軽の技もできやしない。

それにねえ、万が一の時、女のふりして逃げなきゃならないのに、がにまたじゃすぐにばれちまうだろ?指先まで女になりきるには踊りを覚えるのが一番さ。

無駄な事なんか一つもないんだよ。役に立つときが来たらそれがわかるさ」


都までの道中、縁と新平は練習を重ね、特に絡まれる前に逃げることで、無事に過ごすことができた。

その頃には縁と新平は石礫を軽く当てることも、塀を駆け上がることもできるようになった。

踊りについては、なんと化粧をされ、かつらをかぶらされて舞台の端で出演まで果たしたのだった。

「可愛い女子にしか見えないわねえ」

「本当に」

「なんて可愛らしいのかしら」

そう言って一座の皆がほめてくれるのだが、縁と新平はあまりうれしくなかった。

「「可愛いって言われても嬉しくないやい」」

そう言って頬を膨らませる二人に、一座の者はお腹を抱えて笑うのだった。


そんな風にして、一座と旅をつづけた縁と新平は、ようやく都にたどり着いた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ