表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

47/52

46:キス、しよ?


「先輩、こんにちは」


「あ、真田くんだ〜ヤッホー」


 今日も今日とて俺は先輩のお見舞いにやってきた。あいにく昨日まですごくよかった天気は下り坂で、雨が降ってしまっている。だから今日は先輩と一緒に中庭にいったりすることはできなさそうだ。


「今日は雨で残念だよ〜真田くんとまた一緒にお散歩できなくて」


「そうですね……俺も残念です。あ、これ持ってきたみかんです。一緒に食べましょう」


「あーみかんだぁ! 食べる食べる!」


「俺が皮むきますね。ちょっと待っててください」


「わぁーありがとう真田くん」


「これぐらい大したことじゃないですから」


 入院している先輩にわざわざ苦労をかけるわけにはいかないからな。俺は持ってきたみかんの皮をむいて、それを先輩に渡した。あ、先輩美味しそうにみかん食べてくれてる、嬉しいなぁ。


「んー美味しい。真田くんが剥いたみかんすっごく美味しい!」


「べ、別に俺は大したことしてないですけど……でも先輩に喜んでもらえてよかったです」


「そういえば真田くんさ、今日この後予定ある? バイトとか平気?」


「今日はバイトないので大丈夫ですよ。何かあるんですか?」


 先輩からこの後の予定を聞かれたので、もしかしたら何か俺に用があるのかもしれない。そう思った最中、先輩は唐突に俺の手をぎゅっと握る。


「せ、先輩!?」


「……」


 ど、どうしたんんだろう? いきなり手を握ったかと思えば、黙り込んでしまって。何か辛いことでもあったのかな。いつも明るく振舞っている先輩だけど、事故にあったトラウマとかがあったっておかしくない。もしそうなら、俺は絶対に先輩を支えられるよう努力しないと。


「……真田くん」


「は、はい」


「……キスしよ」


「……はい?」


 え、今先輩なんて言った? キス? 魚のキスが欲しいのかな。いや、流石に病院に持ってくるのはちょっとどうなのかなぁ……。


「キスしよ! 私とチューしよ!!!」


「……ええええええええええええええ!?」


 聞き間違いじゃなかったぁぁあああああああああああああああ! な、何をいいきなり言っているだ先輩は!? ど、どうしてキスをするなんてことを言い出したのかさっぱりわからないよ!


「な、何を急にそんなことを!」


「真田くんとキスがしたいからだよ!」


「へっ!?」


「あ、しまった本音が……。い、いや違うの!」


 いや本音がって言っちゃってますよ先輩。今更何か言われてもそれっぽい理由づけなんじゃないかってどうしても勘ぐっちゃいますから。


「あ、あのね……わ、私の記憶が戻るきっかけが何となくわかったの」


「え、本当ですか!?」


 それは俺にとっても大きな意味を持つ。だって先輩が忘れてしまった記憶はほとんど俺関連。それを取り戻せるのなら、俺もなんだって協力するつもりだ。


「そ、そう……で、でね。きっかけが何かはちょっと言えないんだけど……と、とりあえずキスしよう! あれこれ言ってても私の記憶は元に戻らないからね!」


「は、話が見えてこないんですけど!? なんで先輩とキスすることが記憶に繋がるんですか!」


「え、えっと……そ、それは……。も、もう! 私は真田くんとキスがしたいの! さ、真田くんは……私とキスするの、いや?」


「そ、それは……」


 めちゃくちゃしたいに決まっている。先輩の家にお泊まりさせてもらった時に、事故でキスをしてしまった時はすぐに気絶してしまって感触なんか何にも覚えていない。だからこそ、いつか先輩とまたキスを……なんて考えは、正直ずっとあった。


 それに、上目遣いで土屋先輩が「キス、しよ?」と言ってきているこの状況はあまりに誘惑が大きい。むしろ断る方が失礼な場面だし、幸い病室には誰もいない。バレることも多分ないはずだ。


 で、でもなんで俺とキスをすることが先輩の記憶を取り戻すのに必要なのかが全くわからない。一体全体どうしてそんなことになるんだ——


「真田くん!」


「は、はい!」


「キスしよう!」


「え、あ、そ、その……」


「するの!」


 あれこれ考えていた俺にしびれを切らしてしまったようで、先輩は両手で俺を引っ張り近づけて、もうキスせざるを得ない距離まで持ってこられてしまった。先輩、目はキョロキョロとしているし顔は真っ赤になっている。それぐらい恥ずかしいって思っているのに、こうやって俺にキスを懇願してくれている。


 だったら俺だって勇気を出さないと!


「先輩!」


「ど、どうしたの真田……んんんっ!?」


 俺は両手で先輩の頰を包み、自ら先輩にキスをした。長い間することはできず、ほんの一瞬だけだったけど……間違いなく柔らかくて甘い感触が俺の体に広がっていた。


「せ、先輩……どうでした?」


 これで先輩は無事に俺のことを思い出せたのかな? そもそも、俺がしたキスはこんな風なので良かったのかな? 初めて自分からキスをしたから全然わからないことだらけで不安だ。で、でも……先輩の反応を見れば何かわかる——


「せ、先輩?」


「……(真田くんとのキス最高……もう私の人生に一片の悔いなしだよ)」


「先輩!? な、なんで気を失っちゃっているんですか先輩!? ちょ、ちょっと、き、記憶とかはどうなってるんですか!? せ、先輩!」

読んでいただきありがとうございます!


よろしければブクマや評価よろしくお願いしまあああああああああああす!!!!!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ