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25/52

25:どっちが後輩くんにふさわしいのか、それを決める勝負の始まり


「……ふう」


「どうしたヨシト、緊張してるのか? この私がお前の彼女役をしてやるんだ、これ以上ないぐらい安心していいんだぞ?」


「……ま、まぁ……」


 今日は先輩に彼女を会わすと約束した日。カタリナには茶髪のウィッグをかぶってもらって、この前先輩に言った特徴にはできる限り近づけた。だから多分外国人だったことには驚かれるだろうけど、それ以外ならきっとなんとかごまかせるとは思う。


 だけど、やっぱり不安だ。先輩にこの嘘を突き通せるのか自信が持てないし、カタリナが変なことをしないか心配だし……。でもカタリナ以外に頼める人もいなかったからそれはどうしようもない。おい嘉人、男だろ!? だったらこのまま腹くくってやりきっていこうや!!!


「お待たせー真田くん!」


「せ、先輩!」


 しばらく待っていると、待ち合わせ場所に先輩がやってきた。ああ、やっぱり先輩はいつでもオシャレで可愛いし美人……はっ! 今日は先輩に見とれちゃダメだ。とことん彼女がいる風を装わないと!


「ごめんねー準備に時間がかかっちゃってさ」


「気にしないでください。俺たちもさっき来たので。あ、紹介しますね。お、俺の彼女の——」


「ヨシトのフィアンセのカタリナだ。どうも、ヨシトの先輩さん」


「フィ、フィアンセ…………!?」


「お、おいカタリナ!?」


 フィ、フィアンセって婚約者って意味だよな!? お、俺はそこまで頼んだ覚えはないぞ。な、何を言っているんだカタリナは! それじゃあ先輩に余計な勘違いをされちゃうじゃないか。


「Oh、失敬。まだガールフレンドだった。だが、私はいずれヨシトとそのような関係になりたいと思っているからな。つい先走ってしまったよ、AHAHAHAHA!」


「あ、あはは……」


 あたふたしている俺を楽しむように笑いながら、カタリナは一応フィアンセってことは訂正してくれた。でもこれ、絶対カタリナはまだ何かするつもりなんじゃないか……? い、いやいや、流石に高いフィギュアあげたんだから素直に言うことを聞いて……くれるよな? なんか、すげー心配になってきたぞこれ。


「いやー、カタリナはジョークが好きなんですよ。すみません、先輩、驚かしちゃって…………せ、先輩?」


 フィアンセと聞いた途端、先輩はいきなり呆然とし始めて声が届いていない様子だった。そりゃ確かにいきなりフィアンセとか聞かされたら驚くのも無理はないと思うけど、ここまでのリアクションになるのは大げさな気もするような……。


「…………(フィ、フィアンセ!? い、いやそれは違うにしてもそうなりたいぐらいの仲って……そ、相当進んでるってことだよね!? そ、それにそもそも何この人。めちゃくちゃ美人な外国人さんだ……スタイル抜群だし、おっぱいもでっかい……。し、しかも真田くんのこと「ヨシト」って下の名前で呼んでる……わ、私まだそこまでの段階ですらないのに!!!)」


「ヨシト、呆然としているみたいだから先輩さんにビンタしてもいいか? それなら意識も元に戻るだろ」


「いいわけないだろ」


 なんて失礼な提案をしているんだこいつは。むしろ許可が出ると思ったんだろうか。


「そうか。ならデコピンする」


「おい!」


 意識が抜け落ちてしまったかのように、呆然としている先輩にカタリナは容赦無くデコピンをしてしまった。な、なんて恐れ知らずなんだこいつは……。


「あいたっ!(はっ! こ、これはカタリナさんからの宣戦布告!? そ、そうだよね、まだまだ勝負はこれから、この日のために私はたくさん準備してきたんだから!)」


 カタリナがデコピンをすると、先輩は電源がONになったかのように意識を取り戻した。結果的にはよかったのか?


「どうだ先輩さん、目は覚めたか?」


「……うん、ありがとうカタリナさん。今日は楽しい1日にしようね」


「え、え??」


 なんでか先輩はデコピンされたのにカタリナにお礼を言って、なぜか握手までしていた。え、どういうことなのこれ? なんだか戦いのゴングが鳴り響いている雰囲気を感じたんだけど。


「さて真田くんいこう!」


「え、え、え!?」


「おー、ヨシト。いつものようにお手てつなぐぞ」


「えええ!?」


 そしてなぜか、俺の両手をそれぞれ先輩とカタリナが握ってきた。おいおい、これ……俺が無事に乗り切れるかすごく不安なんだけど!?

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