嘘の連鎖
僕が目を覚ましたら、玄関の方が騒がしかったので向かってみるとカズとその両親が騒いでいた。
「お宅のひであき君のせいでうちの子がクラスから友達がいなくってしまったんですよ。
どうしてくれるんですか?」
カズのお父さんがうちの母に向かって言っている。うちの母には昨日の話を全くしていないから何の話かも分かっていないようだった。僕が出ていき、
「すみませんが、カズからどのように聞いたのかは知りませんが給食費も払わない非常識な事をあなた達がしたことが原因で会って僕のせいではありません。」
「給食費を払っていない?」
「おじさんは知らなかったんですか?PTAの方で3か月以上給食費を払っていない家の子供には給食を食べさせないという事になっていたんです。昨日がその給食費の支払い期限でした。
そのことを教えてあげたのが僕だけだったのにカズが信じなかったから悪いんですよね。
その前に3か月も給食費を払っていなかったのがいけないですよね。」
僕が言うとカズの母親が
「今はそんな事はどうでもいいのよ!あんたのせいでクラスでうちの子が孤立したんだよ。」
「ああ、パチンコに給食費を使い込んだのをばらされたくなくて必死なんですね。」
「えっ?いや・・・・その・・・・」
カズの母親が焦っていうとカズの父親が
「どういう事かな?」
「クラスのみんな知っってますよ。特にカズの取り巻きのアホな奴らは知ってるんじゃないですか?
家に来てはゲームするのに居座るしお菓子も食べまくるし晩御飯まで食べる時まであるらしいですよ。
なんで帰らないのか聞かれたらお父さんがいないと晩御飯食べられないからって言ってたそうですよ。
お母さんがパチンコに行ってて家にいないからって話でしたよ。カズのいない所で取り巻きが愚痴ってましたよ。」
「あ・・・あの・・・その・・・・」
カズの母親が何も言えなくなって下を向いてしまった。その様子を見てカズの父親も色々と理解したようで呆れたように
「なるほど、こちらに完全に非があったようですね。朝早くからすみませんでした。
家で話し合ってまたお詫びにあがります。」
カズの父親は頭を下げて鬼の形相で二人を連れて帰って行った。何があったかわかっていないうちの親は終始きょとんとしていた。あそこの家も嘘を一つついたらその嘘をつき通すために新しい嘘をついてしまったのだろう。嘘の連鎖による今回の出来事は噓というものの危なさを痛感させた。