草原を抜けて
学校で言いたい事を言い放ち、たまたま通りかかった他のクラスの先生に話を聞かれてしまった事もあり面倒な事にはなったしカズに関しては親が給食費も払わないような非常識な家だと広がってしまったためにカズを中心としたグループはなくなりクラスでカズは完全に孤立した。
僕としてはどうでもよかったし、こちらからあいつに話しかける事なんてそもそもなかったから僕のクラスでの立ち位置はたいして変わっていなかった。
僕は何事もなかったような顔で家に帰り、宿題などを終わらせてから寝た。
今日もまた白いモヤの中を走っていた。
どうやって走っているのかと気になったので足を見ると、それは人間の足ではなく白い毛の生えた動物の足だった。不思議な夢だとは思っていたが僕は人間の姿ですらなかったのだ。まぁ、夢なのだから深く考える事自体が間違っているように思った。次になぜ走っているのか?という疑問について考えたが周りは一面真っ白で景色すら見えない。考えても仕方ないから走っている理由もどこに向かっているのかも考えるのを諦めて足の着いている地面を見る事にした。
それまでは周りと同じように真っ白だったが、僕が見ようと思った瞬間に地面は草が茂り、緑と茶色が広がった。誰かが絵を描いていて、地面を描きあげたかのように色鮮やかな地面が周りに広がっていった。僕の足元はきれいに色づいたが相変わらず横も上も真っ白のままである。
まったく不思議な夢だと思っていると走り続けていた地面が途切れた。草や土ではなく青い流動している物が目にはいる。川だろうか湖だろうかそれとも海だろうか?僕が首をかしげると僕の前面だけが白から青に変わって行く。
少し離れた所には陸地も見える。相変わらず右も左も真上も真後ろも真っ白のままで、この水が湖なのか海なのかもわからないままだが、足は止まり岸にたたずんでいる。
この夢には意味なんてあるのだろうか?
そんな事を思っていると僕の意思とは関係なく、口が動き
「このウミを越えてあっちの世界に行きたいな。
何か方策を考えないといけないな。」
僕の口がそう言った所で目覚ましのアラームが鳴った。
おかしな夢を見たし、その内容までしっかり覚えてるなんて珍しいなと思いながら学校へ行く準備を進めた。今日も気の重い一日がはじまるのであった。