嘘つきと呼ばれる少年
「ひであき、おじいちゃんの三回忌の法事なんだから早く準備しなさい!」
お母さんの声が聞こえる。日曜日くらいゆっくりしたいと思うのは老若男女とはないだろう。
10歳になった僕ももれなくそんな感じである。おじいちゃんが無くなった時の事は今でも覚えているけど事細かに覚えているわけじゃない。三年がたった僕にも色々と変化はあった。
いつの頃からか僕は『嘘つき』と呼ばれるようになっていた。別に嘘をつきたいと思ってしているわけではないけど見栄とかが先に行って嘘になってしまう事が増えてきているよう感じる。
「ひであき、早くしなさい。」
「お腹痛い・・・」
仮病である。お母さんもわかっているから
「そんなこと言ってないで早く用意しないさい。」
僕はゆっくりと起き上がって用意を済ませた。その様子を見てお母さんが
「もう、忙しいから早く準備してね。」
「はい・・・・」
僕が答えて準備も進み、法事も何事もなく終わった。
始まるまではなんか嫌だなという気持ちから拒否反応があったが始まってみれば特に何もないので緊張を無駄にしただけだった。
「ひであき、おじいちゃんにしっかり手を合わせときなさい。」
お父さんが言った。僕はなぜ手を合わせないといけないのかわからないが、そこで何かを言うとめんどくさいなと思い「はい。」と答えて手を合わせた。
おじいちゃんの写真は微笑んでいる物が飾られている。僕がおじいちゃんの写真を見ていると仏壇の方から風が吹いた気がした。本来ならあるはずないし家の中だからどこかにあたって仏壇の方から来たのかもしれない。そんな事を思いながら仏壇から離れた。
そんな事もあった法事も終わり家に帰り、次の日も学校があるから休む事にして布団に入った。
白いもやの中を飛んでいた。ああ夢なんだろうなとわかる風景が広がっている。
もやの中を進んで島のようなところに降り立った。どこか見た事もない風景に戸惑いながら周りを見渡してみた。草がやけに高く感じるし山とかもかなり高く見える。
どうやら自分の目線が低くなっているようだ。何かわからない夢だけどなぜか心地のよさを感じた。